「黒澤明　絵コンテの世界」

　世界中の映画人に多大な影響を与え、映画界に計り知れない功績を遺した世界の「クロサワ」。彼が映画制作のなかで描いてきた「絵コンテ」を紹介します。 　18歳で二科展入選を果たし、一時は画家を志していた黒澤は、イマジネーションを映像で表現する過程、つまり絵コンテで、その画才をいかんなく発揮しました。「影武者」の製作が予算面で暗礁に乗り上げた際も、彼は内なる熱い想いを絵コンテに込め、その質の高さに動かされたF・F・コッポラとG・ルーカスのおかげでついに製作が実現したというエピソードも残るほどです。 　彼の絵コンテは、単なる映画製作のための階段を超越した、アートとしての独創性に溢れており、1990年代にニューヨークで公開されて以来、美術関係者を瞠目させ続けています。 　本展では、約二千点の絵コンテから厳選した作品を展示します。黒澤映画の名シーンを鮮やかに蘇えらせる、きらめく作品の数々をお楽しみください。