「長野が生んだ鬼才・河野通勢—新発見作品を中心に—」展

　河野通勢（こうのみちせい・1895-1950）は、大正から昭和にかけて活躍した画家で、岸田劉生や武者小路実篤も絶賛した早熟の天才でした。善光寺の近く、長野市南県町で育った彼は、長野師範学校附属小学校、長野中学校時代から、画家になることを志します。美術教師で後に写真館を営んだ父・河野次郎や、父の蔵書を通して知ったルネサンスを始めとした西洋古典絵画の強い影響を受け、9才で洗礼を受けたハリストス正教への篤い信仰心を背景に、独自の画風を育てていきます。 　二科会や文展などに出品した後には、岸田劉生の率いる草土社へ参加。白樺派とも交流し、やがて大衆小説の挿絵画家として活躍しました。