パリに魅せられた洋画家・西村功(1923-2003)の生誕90年・没後10年に際し、その画業を振り返る展覧会を開催いたします。
西村は1923年に大阪市に生まれました。3歳の時に悪性の中耳炎のため聴覚を失いましたが17歳で大阪府立聾ロ話学校中等部の美術教師・神山恒に師事し、中之島洋画研究所にて洋画を学びました。1943年に帝国美術専門学校(現武蔵野美術大学)に入学。在学中は夏期休暇を利用して坂本繁二郎に教えを乞うなど、研鎖を積みます。卒業後は関西に戻り田村孝之介に師事。聾学校で教鞭を執る傍ら、二紀会を主な発表の場として制作活動を行いました。
あるとき、佐伯祐三の「郵便配達夫」に感銘を受けた西村は、友人から借りた赤帽を被り自画像を描くようになり、これらがのちに「赤帽シリーズ」として知られるようになります。そして「赤帽」から連想される「駅」をテーマとする作品を次々と発表しました。1966年には「ベンチの人びと」(東京国立近代美術館蔵)で第9回安井賞を受賞。1970年に初めて渡欧した後は、頻繁にパリを訪れパリの街景を多く描き、とりわけメトロの駅やそこに行き交う人々を題材にした画を固有のフォルムで描き続けました。
また、西村は1971年より神戸市東灘区にアトリエを構え、神戸の街と人をこよなく愛し、描いた画家でもありました。1982年には神戸市文化賞受賞、1988年には兵庫県文化賞を受賞、1995年には神戸新聞平和賞を受賞しています。
本展覧会では、西村功コレクションで知られるシスメックス株式会社のご協力を得て、独特の人間スケッチでパリの人々が織りなす日常の機微を、メトロの駅や街景をモチーフにして詩情豊かに描いた油彩画や水彩画、デッサンなどでご紹介し、長年に亘る画業に迫ります。