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    レポート
    Meet the Collection ―アートと人と、美術館
    横浜美術館 | 神奈川県
    平成の時代とともに
    1989年に開館した横浜美術館。丹下健三による重厚感ある建物と、1万2千点を超える質の高いコレクションは、美術ファンにはすっかりお馴染みになりました。30周年のメモリアル年度のスタートは、全館を利用したコレクション展。4人のゲスト・アーティストも参加しています。
    Ⅰ-2章「いのちの木」
    (左から)安田靫彦《松風》 / 佐多芳郎《むさし野『伊勢物語』一二段》
    (左から)フランシス・ベーコン《座像》 / 工藤甲人《地の手と目》
    奈良美智《春少女》
    (左から)イヴ・タンギー《風のアルファベット》 / ポール・デルヴォー《階段》
    (左から)田中敦子《作品 79X》 / 田中敦子《作品 67E》
    サルバドール・ダリ《ヘレナ・ルビンシュタインのための装飾壁画 幻想的風景 ─ 暁、英雄的正午、夕べ》
    岩崎貴宏《アウト・オブ・ディスオーダー(コスモワールド)》
    (左から)福田美蘭《睡蓮の池 朝》 / 福田美蘭《睡蓮の池》 / 横尾忠則《黒いY字路 11》 / 横尾忠則《黒いY字路 7》

    美術館の周年記念展といえば「自慢のコレクションを大公開」というスタイルが定番。幅広いコレクションがある横浜美術館だけに、それでも十分な展覧会になると思いますが、今回はさらにひとひねりしました。活躍中のアーティスト4人が参加し、コレクション作品と同じ空間に並べる事で、作品同士の化学反応を狙っています。


    会場は大きく2部構成。さらに細かく分かれ、全体では7章構成になります。動線はいつもと逆、入って左側のエスカレーターから上ります。


    第Ⅰ部は【LIFE:生命のいとなみ】。冒頭の「こころをうつす」の章に、一人目のアーティストが登場。束芋(1975-)さんの映像作品《あいたいせいじょせい》です。周囲に流されてしまう女性をテーマにした映像。同じ展示室に並ぶコレクションは、日本画を中心に、女性の情念を感じさせる作品がセレクトされました。


    束芋さんは、2009年に横浜美術館で個展「束芋:断面の世代」を開催しました。同館での展示は、ちょうど10年ぶりとなります。


    「いのちの木」の章には、淺井裕介(1981-)さん。淺井さんはテープや泥などの身近な素材で、大きな空間を飾るような作品を制作します。横浜美術館では、2007年に若手作家支援プログラム「New Artist Picks」で、個展「根っこのカクレンボ」を開催しました。


    今回は約2週間かけて、円筒形の展示室の壁面全てに作品を制作。ミロ、エルンスト、シャガールなどによる、植物や動物を主題にした作品が、淺井さんの作品に包まれます。



    第Ⅱ部は【WORLD:世界のかたち】。ここも最初の「イメージをつなぐ」の章に、ゲスト・アーティストの今津景(1980-)さんの作品があります。


    イメージを集めてコンピューターで繋ぎあわせた上で、油彩画にする今津さん。その制作プロセスは、シュルリアリスムを彷彿させます。展示室には、エルンスト、マン・レイ、マグリット、ダリなど。最奥に展示された、今津さんの大作《Repatriation》から溢れ出ているような構成です。


    他の3名と異なり、今津さんは横浜美術館での展示経験は無し。初めての接点が、大きなチャレンジとなります。


    「モノからはじまる」の章には、菅木志雄(1944-)さん。「もの派」の代表的作家で、精力的に活躍している菅さんは、20年間に横浜美術館で個展「菅木志雄―スタンス」を開催。展示空間に合わせた、大規模なインスタレーション作品をつくりました。今回は20年ぶりに再展示、あわせて、師といえる斎藤義重らの作品も並びます。


    いつもは写真が並ぶ最後の展示室では、横浜美術館の活動のあゆみを、平成の時代背景とともに紹介。横浜美術館が開館した1989年は、ちょうど平成元年。本展の会期中に平成は終わりを迎えます。


    横浜美術館は、今年度いっぱいが30周年の記念イヤーです。7月からは「原三溪の美術」、9月からは「ルノワールとパリに恋した12人の画家たち」が開催されます。


    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2019年4月12日 ]


    美術館&博物館さんぽ 首都圏版美術館&博物館さんぽ 首都圏版

    ぴあ(編)

    ぴあ
    ¥ 994

    会場
    会期
    2019年4月13日(土)~6月23日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00~18:00
    (入館は閉館の30分前まで)
    休館日
    木曜日(5月2日は開館)、5月7日(火)
    住所
    神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1
    電話 045-221-0300
    公式サイト https://yokohama.art.museum/special/2019/MeetTheCollection/
    料金
    一般 1,100(1,000)円 / 大学・高校生 700(600)円 / 中学生 500(400)円 / 65歳以上 1,000円 / 小学生以下 無料

    ※( )内は20名以上の団体料金

    【前売券】
    一般 900円 / 大学・高校生 500円 / 中学生 300円

    ※前売券販売期間:2019年1月4日~4月12日

    ※2019年6月2日(日)は観覧料金
    ※毎週土曜日は高校生以下無料(要証明)
    ※障がい者手帳をお持ちの方と介護の方1名は無料
    ※その他割引料金については、美術館へお問い合わせください
    展覧会詳細 「横浜美術館開館30周年記念 Meet the Collection ―アートと人と、美術館」 詳細情報
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