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レポート
伝説の劇画師 植木金矢展
弥生美術館 | 東京都
90歳の伝説的劇画師、初の本格展
戦後の混乱が残る昭和28年に発表された、チャンバラ時代活劇「風雲鞍馬秘帖」。それまでの絵物語でも漫画でもない、全く新しい構成は、当時の少年たちのハートをつかんで大ヒットしました。90歳の伝説的劇画師、植木金矢さんの初の本格的展覧会です。
「三日月天狗」のモデルは市川右太衛門です。
テレビ放送された人気漫画「快傑 鷹の羽」のカルタも描いている。
旺文社の「中学時代一年生」に連載された偉人伝「感激物語」。挿絵を描きたいという夢が叶った作品で「感謝の気持ちで一生懸命描いた」そうです。
1964年からは青年劇画の世界にも進出。
デッサン帖
忠臣蔵も植木金矢さんの世界観にピッタリ。
近年手がけている日本画。こちらも独学。
「お前をここまで生かしておいたのはこの絵を描かせるためだ」という天の声を聞いたという、原爆の絵。
植木金矢さんは大正10年生まれ。子どもの頃から挿絵画家に憧れていましたが、長男だったためにその夢をかなえることは容易ではありませんでした。

鋳物工場で働いた後に出征、中国で終戦を迎え、捕虜生活の後に昭和21年に復員しました。ちなみに、出征した世代の漫画家といえば水木しげるさんが知られていますが、植木さんは水木さんより1歳年長です。


1階の展示。大ヒットした「風雲鞍馬秘帖」など

挿絵画家の道を諦められなかった植木さん。昭和25年ごろに出版社めぐりをしたところ学芸出版に採用され、挿絵画家としてデビューします。その絵は「痛快ブック」の編集長の目にとまり、チャンバラ時代活劇「風雲鞍馬秘帖」を発表。一躍大ヒット漫画家となりました。


2階の展示。植木金矢の忠臣蔵の世界。

実は植木金矢さんは、美術学校や絵の先生に師事したことは一度もなく、全て独学です。アラカンこと嵐寛寿郎、市川右太衛門、片岡千恵蔵ら、銀幕の時代劇スターの似顔絵で物語を描いた植木さん。臨場感あふれる立ち回りは、綿密なデッサンの積み重ねによるものでしょう。武士や江戸の娘を描いたデッサン帖が目をひきます。


デッサン

1966年には青年劇画の世界へも進出。人の世の無情と不条理を描いていますが、作品はあくまでも正義を追求したものばかり。描かれるのは豪快な活劇ですが、ご本人は誠実で真面目なお人柄。作風にも反映されているようです。


青年劇画への進出

近年は日本画にも挑戦、こちらも独学です。さらに、「このために生かされているのと感じた」という使命感から原爆の絵画を手がけるなど、さらに活動の場を広げています。劇画も2004年から再び描きはじめし、現在でも年一回程のペースで新作を発表し続けています。

まさに「伝説の劇画師」と呼ぶにふさわしい存在。会場には当時を懐かしむ世代のほか若い世代も多く来ているそうで、関心は年代を超えて広がっています。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2012年1月24日 ]

劇画師伝説: 昭和の天才劇画家・植木金矢の世界

松本品子 (編集)

国書刊行会
¥ 2,940

 
会場
会期
2012年1月3日(火)~4月1日(日)
会期終了
開館時間
午前10時00分~午後5時00分(入館は午後4時30分までにお願いします)
休館日
月曜日、展示替え期間中、年末年始
住所
東京都文京区弥生2-4-3
電話 03-3812-0012
公式サイト http://www.yayoi-yumeji-museum.jp/
展覧会詳細 伝説の劇画師 植木金矢展 詳細情報
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