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ブルーノ・ムナーリ ―― 役に立たない機械をつくった男

■優れた絵本、だけではないです
20世紀イタリアを代表する美術家、デザイナーのブルーノ・ムナーリ(1907-1998)。絵画、彫刻、グラフィック・デザイン、インダストリアル・デザイン、絵本、著述、教育と幅広く活動しました。あまり知られていない初期の作品を含め、全体像を俯瞰する展覧会が、世田谷美術館で開催中です。
日本国内の所蔵品とイタリア国内の作品、あわせて300点超を揃えた日本最大級のムナーリ回顧展。ムナーリはWikipediaでも「多くの顔があるため、その全体像が掴みにくい」と記されていますが、その活動全般を紹介していきます。

ムナーリはミラノ生まれ。10代後半で未来派の一員として活動をはじめます。

未来派は、伝統的な美を否定、工業化社会を賛美し、それを新たな美として芸術に取り入れようとしました。絵画に「運動」を取り入れる事も未来派の特徴で、モビール状の《役に立たない機械》は、さながら‘動く抽象絵画’といえます。

1948年に自身が創設に関わった「具体芸術運動」の展覧会や機関誌は、ムナーリ作品の発表の拠点になりました。《陰と陽》シリーズは、画面を数色のみで色分けしたもの。《読めない本》は、ページをめくるごとに色面と線の組み合わせが変わります。

子どものための絵本シリーズは、5歳になった息子に与えたいと思える絵本が無かった事から生まれました。ページのサイズに変化をつけたり、紙だけでなくフェルトや木を用いたりと、子どもがさまざまな経験を積むことで、理解につなげようとしています。



《直接の映写》は、スライド・プロジェクターを用いた作品です。35mmスライドに、カラーセロファンのほか、ガーゼ、昆虫の羽、植物の一部などを装着し、スクリーンに投影するもの。油絵のように時間をかける事なく、自分だけの作品を作る事ができます。

金網を折り曲げて留めただけの《凹凸》。極めてシンプルですが、天井から下げて光を当てると、作品とともに影が動き、複雑な形状が現れます。他の人が見過ごしてしまう現象から美を見出すのは、ムナーリならではといえます。

切れ込みが入った金属板を差し込んで行く事により、立体造形ができる《くりかえしの構成》は、制作する人によって最終形が異なります。美術は、特別な能力をもった制作者と、見るだけの鑑賞者ではなく、多くの人が参加する事が重要と説きました。

言葉を用いないコミュニケーションの可能性を探っていたムナーリ。ありふれたフォークの歯や柄を軽く曲げた《ムナーリのフォーク》は、まるでフォークが語りかけて来たように見えます。

日本にもファンが多いブルーノ・ムナーリですが、多くは「優れた絵本作家」としての評価。美術家としての活動や、誰でも楽しみながら美術やデザインに触れるための試みには、あまり光が当たっていなかったようにも思われます。改めて、その幅広い視野と、知的なアプローチに驚かされます。

神奈川、福岡、岩手とまわった全国巡回展。世田谷美術館が最終会場です。

[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2018年11月16日 ]

ムナーリの機械ムナーリの機械

ブルーノ・ムナーリ (著), 中山エツコ (翻訳)

河出書房新社
¥ 3,132

 
会場世田谷美術館
開催期間2018年11月17日(土)~2019年1月27日(日)
所在地 東京都世田谷区砧公園1-2
TEL : 03-5777-8600
HP : https://www.setagayaartmuseum.or.jp/
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