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レポート
ほとけをめぐる花の美術
根津美術館 | 東京都
花はもちろん、猫にも注目
無憂樹(むゆうじゅ)の花の元で生まれ、菩提樹の木陰で悟りを開き、沙羅の木の下で入滅した釈迦。三大聖樹をはじめ、仏教にはさまざまな花や緑が登場します。仏画や工芸品に表現された花にテーマを当てた展覧会が、根津美術館で開催中です。
(左から)《尊勝曼荼羅》鎌倉時代 / 重要文化財《愛染曼荼羅》鎌倉時代
重要文化財《釈迦八相図》MOA美術館
(左から)《仏涅槃図》鎌倉時代 / 重要文化財 行有・専有筆《仏涅槃図》南北朝時代 康永4年(1345)
(左から)重要美術品《聖観音像》鎌倉時代 / 重要文化財《大日如来像》平安時代
《蓮池蒔絵経箱》平安時代
《神護寺経》平安時代
《種子華鬘》江戸時代
重要文化財《十二因縁絵巻》鎌倉時代
(左から)《日吉山王垂迹神曼荼羅》南北朝~室町時代 / 《春日社寺曼荼羅》南北朝時代

釈迦の誕生を祝う4月8日の灌仏会(かんぶつえ)が「花まつり」と呼ばれるように、花と縁が深い仏教。その美しさは浄土のイメージにも通じ、仏教絵画や工芸品ではさまざまな花が表現されています。


釈迦八相は、釈迦の生涯に起きた重要な出来事です。MOA美術館蔵の重要文化財《釈迦八相図》は、元の絵を切り取って四幅に仕立てたもの。吉祥草を敷き、菩提樹の下で瞑想する釈迦など、各所に植物が描かれています。


ただ、気候が違うため、インドボダイジュは日本では育ちません。日本の寺院に植えられているボダイジュは、葉の形が似ている別の植物です。


「花」とは少しずれますが、三点並ぶ「仏涅槃図」の中で、中央の作品は必見です。


入滅する釈迦を弟子や動物たちが嘆き悲しむ仏涅槃図では、一般的に猫は描かれませんが、修復を終えたこの作品には、猫の姿が確認できました。あまり可愛くは無いですが、会場で探してみてください。



蓮華は、仏教を代表するイメージです。濁った水から茎を伸ばし、水に触れずに美しい花をさかせるハスは、煩悩に汚される事なく境地を目指す仏教の教えにたとえられます。


ただ、ハスの花は基本的に白と赤のみ。仏教でいう蓮華には、青紫や黄色の花を咲かせるスイレンも含まれています。ハスとスイレンも、別の植物。葉に切れ込みがあるのがスイレンです。


浄土図の《兜率天曼荼羅》には、植物が満載です。弥勒が居る場所である兜率天。青や赤の不思議な植物、金の宝樹には羅網(らもう)、蓮華の花の中からは往生した人が生まれます。


本展メインビジュアルの重要文化財《愛染曼荼羅》は、枠の部分に美しい花をあしらった「蓮華唐草文」が。近年、一番外側の枠も植物を描いた「吉祥草文」である事も分かりました。


日本の仏教では、しばしば桜も表現されます。《春日宮曼荼羅》では、桜花に彩られた春日社を、神が住む美しい聖域になぞらえています。


日に日に温かくなり、散策にも良い季節。ぜひ天気の良い日を選んで、根津美術館自慢の庭園もお楽しみください。


[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2019年2月27日 ]


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青い日記帳(監修)

世界文化社
¥ 1,728

会場
会期
2019年2月28日(木)~3月31日(日)
会期終了
開館時間
10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日
月曜日
住所
東京都港区南青山6-5-1
電話 03-3400-2536
公式サイト http://www.nezu-muse.or.jp/
料金
一般1,100円、学生[高校生以上]800円
*20名以上の団体、障害者手帳提示者および同伴者は200円引き、中学生以下は無料
展覧会詳細 ほとけをめぐる花の美術 詳細情報
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