第1展示室の展示対象は、文字通り日本最古の時代。日本列島に人類が出現した3万7千年前の旧石器時代から、中世への扉が開き始める10世紀までの約3万6千年間までになります。
歴博では、土器に着いていたススや煮焦げ、樹木年輪など約5000点を対象に、高精度の炭素14年代測定を実施。その結果、従来の説よりも、縄文時代は約3500年、弥生時代は約500年早く始まっていたことが、明らかになりました。
こうした研究成果は、2007年の「弥生はいつから!?」や、2018年の「
世界の眼でみる古墳文化」などの企画展示の中で発表されてきました。
総合第1展示室「テーマⅠ~テーマⅢ」年代観が大きく変わった縄文・弥生時代を中心に、リニューアルされた第1展示室。民衆生活史、環境史、国際交流の基調テーマと、多様性、現代的視点という二つの視点をもとに、中国・朝鮮半島や北海道・沖縄との関係を重視した新しい展示になりました。
これまで⼀部分としてしか紹介されていなかった、旧石器時代もテーマⅠ「最終氷期に生きた人々」を設けて大きく取り上げ、時代区分にとらわれない6つの大テーマと、2つのテーマ、全8テーマという構成になりました。
総合第1展⽰室「テーマⅣ~テーマⅥ、沖ノ島」考古学の展示でしばしば目にするのが、錆びた青銅器や割れた土器など。もちろん重要な史料ですが、そのままの展示では当時の生活の姿が分かりません。歴博では、史料の展示とともに、使われていた当時の道具も忠実に再現。ジオラマで展示しています。
東大寺正倉院に伝えられた、正倉院文書を紹介するコーナーも。戸籍や計帳、正税帳などに分類される公文書(オモテ)と、写経ができる過程で使用された文書群などの写経所文書(ウラ)を展示。下級役人の典型例として、正倉院文書に掲載された写経生の日常が紹介されています。
テーマⅣ「倭の登場」では、羅城門の背景が朝から夜へ変化。「沖ノ島」のコーナーでは、耳を澄ませると波の音が聞こえてくるなど、細部までこだわった今回のリニューアル。ここだけでもかなりのボリュームですが、総合展示は6室まであります。くれぐれも、履き慣れた靴での鑑賞がおすすめです。
[ 取材・撮影・文:静居絵里菜 / 2019年3月14日 ]