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    レポート
    リニューアルオープンした東洋文庫ミュージアム「ニッポン再発見」(レポート)
    東洋文庫ミュージアム | 東京都
    約1年間の休館を経て、東洋文庫ミュージアムがリニューアルオープン
    日本を訪ねた外国人にとってのイメージを、資料から読み解く展覧会
    マルコ・ポーロからラフカディオ・ハーンまで。異文化の足跡をたどる

    アジア全域の歴史と文化を対象とする東洋学の専門図書館であり、その貴重なコレクションを公開するミュージアムとしても知られている東洋文庫ミュージアム。施設工事のための約1年間休館を経て、2026年1月21日にリニューアルオープンしました。

    従来の壁を撤去し、1階の奥まで見渡すことのできる開放感のあるエントランス。館内にはバリアフリー設計を取り入れ、展示ケースもより見えやすくなっただけでなく、絵本や歴史漫画を自由に閲覧できる“東洋学入門図書コーナー”も新設されました。


    東洋文庫ミュージアム
    東洋文庫ミュージアム


    会場では、リニューアルオープン記念展として「ニッポン再発見 -異邦人のまなざし-」が始まりました。展覧会の構成は5つに分かれ、日本と異文化との出会いと交流の軌跡、そして外から見た日本像の変遷をたどっていきます。


    東洋文庫ミュージアム「モリソン書庫」
    東洋文庫ミュージアムを代表するスポット「モリソン書庫」


    古代から中世にかけて、日本についての海外の記録は中国など東アジアを中心に残されてきました。一方、中央アジアや西アジア、ヨーロッパでも、日本の存在は地誌や世界地図、文献を通して断片的には知られていました。第1章では、実際の交流がほとんどなかった時代に、外国人が書物の中でどのように日本を想像し描いていたのかを探ります。


    第1章 書物なかの「日本」を探す
    第1章 書物なかの「日本」を探す


    13世紀、ヴェネツィアの商人のマルコ・ポーロによる『東方見聞録』により、日本は「ジパング」として紹介されています。東洋文庫は、コレクションとしては世界最大級の約80種類もの出版年・出版地・言語が異なる『東方見聞録』を所蔵しています。会場では、所蔵の中で最も古い版の展示がされています。


    第1章 書物なかの「日本」を探す
    『東方見聞録』


    15~16世紀の大航海時代には、ヨーロッパ諸国が貿易とキリスト教布教を目的に世界へ進出しました。その流れの中で、日本も次第にヨーロッパの関心を集めるようになります。商人や宣教師たちは日本を訪れ、その文化や社会に強い印象を受けました。

    1611年4月18日、貿易商船隊司令官のジョン・セーリスは日本での貿易を目的にイギリスを出帆しました。出帆から1614年9月27日の帰国まで、セーリスが丹念につけた日記が残されています。東洋文庫は、セーリスがフランシス・ベーコンに渡したとされる清書本を所蔵しています。


    第1章 書物なかの「日本」を探す
    重要文化財『ジョン・セーリスの航海日記』


    まだ聞き書きが中心だった17世紀半ば。日本に一度も訪れたことがないヨーロッパの人たちが、自身の解釈で描いた日本の姿も残っています。アムステルダム生まれの牧師・モンタヌスが、イエズス会の報告書や学識から想像上の日本を描き出した『日本誌』はベストセラーにもなりました。


    第1章 書物なかの「日本」を探す
    モンタヌス『日本誌』


    江戸時代初期、日本はオランダとの限定的な交流を続け、出島を拠点に知的・学術的な接触が行われました。商館員や医師たちは、日本の自然や文化を研究し、帰国後に多くの著作を残しています。これらはヨーロッパにおける日本理解を深めました。また、世界地図の中での日本像も、探検や情報の蓄積によって次第に更新されていきました。


    1823年に長崎に来日したドイツ人医師のシーボルトは、鳴滝塾を開設し西洋医学を中心に蘭学を教授しています。『NIPPON』は、日本の歴史・地理・言語・風俗など多岐にわたる分野について、シーボルトが調査・収集した成果をまとめた、日本研究の集大成といえる著作です。


    第1章 書物なかの「日本」を探す
    シーボルト『NIPPON』


    18世紀後半以降、列強諸国の接近により、日本は鎖国体制の見直しを迫られました。ペリー来航を契機に開国が進み、幕末には国際関係の緊張が高まります。こうした激動の時代を、外国人たちは日本の内情から距離を保ちながら記録しました。本章では、幕末から明治初期にかけての異文化交流の姿を紹介しています。


    第4章 異邦人が目撃した幕末
    第4章 異邦人が目撃した幕末


    開国後の日本は、国際社会の一員として近代化を進めていきました。万国博覧会への参加は、日本文化を世界に発信する重要な機会となり、ジャポニスムの流行を生み出します。明治期には外交官や学者、旅行者など多様な外国人が来日しました。彼らの記録から、当時の日本の姿や国際交流の実態を振り返ります。

    風刺画のイメージが強いフランスの画家、ジョルジュ・ビゴーですが、スケッチや水彩画、油絵など幅広い画集も発表しています。ジャポニスムの影響を受けたビゴーは、1882年ごろに日本美術の研究のため来日し、日本人の日常に焦点を当てた29枚の素描をもとにした銅版画集も出版しています。


    第4章 異邦人が目撃した幕末
    第5章 旅して暮らして記録して - 明治日本紀行


    会場には、「耳なし芳一」や「ろくろ首」などを収めた『怪談(KWAIDAN)』で知られるラフカディオ・ハーン(小泉八雲)と、日本で親交を深めたイギリス出身のチェンバレンとの往復書簡も展示されています。チェンバレンは、「君が代」や『古事記』の英訳でも知られる日本研究者で、展示されているのは、ハーン来日後の1890年以降に両者が交わした直筆の手紙です。


    第4章 異邦人が目撃した幕末
    第5章 旅して暮らして記録して - 明治日本紀行


    リニューアルした東洋文庫ミュージアムは、東洋文庫の歴史と伝統を継承しつつ新たなロゴも誕生し、新しい歩みを始めました。長年にわたる活動が評価され、博物館法に基づく登録博物館にも登録されています。

    鑑賞後は、併設する中庭やオリエント・カフェで、展示を通して出会った「異邦人のまなざし」に思いを巡らせてみてはいかがでしょうか。


    第4章 異邦人が目撃した幕末
    東洋文庫ミュージアム 中庭


    [ 取材・撮影・文:坂入 美彩子 / 2026年1月20日 ]

    東洋文庫ミュージアム
    オリエントホール
    オリエントホール
    「ニッポン再発見 -異邦人のまなざし-」 会場
    第5章 旅して暮らして記録して - 明治日本紀行
    第4章 異邦人が目撃した幕末
    会場
    東洋文庫ミュージアム
    会期
    2026年1月21日(水)〜5月17日(日)
    開催中[あと114日]
    開館時間
    10:00〜17:00(入館は16:30まで)
    休館日
    毎週火曜日
    住所
    〒113-0021 東京都文京区本駒込2-28-21
    電話 050-5541-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト https://toyo-bunko.or.jp/
    展覧会詳細 「ニッポン再発見 -異邦人のまなざし-」 詳細情報
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