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みらい美術館で出会う、魅惑のガラスたち(読者レポート)

ガラス工芸で定評のあるエミール・ガレ(以下ガレ)は、ガラスという素材に哲学的な思想と感性を吹き込みました。その作家性は、没後の工房作品においても、一部に継承されていることを感じさせる作品が展示されています。

さらにガレに続く作家たちは、パート・ド・ヴェールという鋳造技法で、新たなガラスの世界を広げました。ガレから次世代の作家への系譜を追う展覧会です。


みらい美術館入口
みらい美術館入口


メインビジュアルのランプは、没後のガレ工房によるものです。作品を左から右に移動しながら鑑賞すると、水墨画のような景色が移り変わります。


ガレ 鷹に風景文ランプ 1918-1931
ガレ 鷹に風景文ランプ 1918-1931


ランプの形を巧みに利用し、奥へ延びる川が遠近感をより深めています。右側に移動すると一本の高い樹木が手前にそびえ、手前と奥という日本的な遠近法で表現。一つのランプに西洋と日本の構図が同居する作品です。

こちらを見た瞬間、トンボが水に落ちる黒色ガラスを思い浮かべました。水面に映る姿を探していると、次第に羽根のような筋が浮かんできます。それは幻影を見ているようでした。


ガレ トンボ文花器 1904‐1906
ガレ トンボ文花器 1904‐1906


ガレの愛好家であれば死の喪失感を埋めるために、この作品を手元におきたいと思うはず。その心をくすぐり色を変える戦略はお見事です。

こちらの工房作品は、あえて裏側を見せて展示しています。隠れて見えない部分も細かな造作がほどこされています。裏からスポットライトで表の彫刻に光をあてつつ、その光を背後にして見る演出も一興です。


ガレ 工房作品
ガレ 工房作品


海を表したシリーズ。金属を使い錆のように見せるパチネ技法と対比させたようなキラキラ感。


ガレ 海底文花器 1925
ガレ 海底文花器 1925


一見すると、生前作品に見えますが、没後の工房作品です。そう思って見ると、ちょっとキラキラしすぎな気もします。生前のガレが渾身の力を注いだ技術。それに追随するかのような作品が没後にも制作されていました。

展示室入口の作品も目を奪われます。こちらは本展のもう一つのテーマ、パート・ド・ヴェール技法の作品です。粉ガラスを型につめて焼き上げ、柔らかい光の質感を持つのが特徴です。


デコルシュモン 蛇双耳杯 1925
デコルシュモン 蛇双耳杯 1925


近づくとその繊細さがさらに際立ちます。台の下に仕込んだ光は、底の部分やマーブル模様に妖艶な気配を加えているようです。


デコルシュモン 蛇双耳杯 1925 部分
デコルシュモン 蛇双耳杯 1925 部分


取手の部分はとぐろを巻いた蛇で尻尾までリアルです。ガラスの表面は鱗をイメージしており手の込んだ作品になっています。

こちらはA.ルソーのコンポート皿。真横から見ると、ガラスを透過する光が模様を浮かび上がらせ、足の部分が発光しているように見えます。上から覗き込むと、ガラスの中は別世界が広がっていました。


A.ルソー フラミンゴコンポート 1925
A.ルソー フラミンゴコンポート 1925


皿の周囲に緑のフラミンゴを配し、内部は彫刻したような繊細な羽根と滴のような光の粒で埋める。中心部は光を通した青。魅惑的な世界にため息がでます。


A.ルソー フラミンゴコンポート 1925 部分
A.ルソー フラミンゴコンポート 1925 部分


外の展示室には、同じくA.ルソーの小型作品を展示。歯科技工師の経験から遠心機を利用した技術で薄く仕上げることに成功しました。


A.ルソーの小型作品
A.ルソーの小型作品


厚さの違いや、色や質感など唯一無二の作品を作り出し、そこに込めた作家たちの詩や哲学。ぜひ触れてみてください。

[ 取材・撮影・文:コロコロ / 2026年3月15日 ]


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