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レポート
スイスの絵本画家 クライドルフの世界
Bunkamura ザ・ミュージアム | 東京都
スイスの国民的絵本画家、日本初の回顧展
小さな生き物を主人公にした絵本で、19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍したスイスの絵本画家、エルンスト・クライドルフ。日本では初めてとなる本格的な回顧展が、Bunkamura ザ・ミュージアムで始まりました。
最初の絵本《花のメルヘン》
会場
右は油彩画《牧歌的な朝》。本格的な絵画も学んでいたことが分かる
《妖精たち小人たち(小人と妖精たちのところで)》
絵本「フィッツェブッフェ」と「眠れる木(第2版)」
絵本を手にとって見られるコーナーも
《くさはらのこびと》
会場入口は明るいイメージ
左は《自画像》。クライドルフはしばしは自画像を描いている
スイスでは今でも読み継がれている国民的な絵本画家、クライドルフ。“アール・ヌーヴォー”のドイツ語圏版にあたる“ユーゲント・シュティール”を代表する絵本画家です。

スイスのベルンに生まれ、画家を夢見てミュンヘンへ。体調を崩して南バイエルンで療養生活を送るうちに、アルプスの大自然の中で感性が磨かれ、花のスケッチから生まれた絵本「花のメルヘン」が大成功しました。以降、生涯で25冊の絵本を制作し、そのほとんどは文章も自分で手がけています。


会場

展覧会の構成は、以下。

 プロローグ:肖像と風景
 第1章:初期の絵本
 第2章:くさはらの中の生き物たち
 第3章:アルプスの花の妖精たち
 第4章:妖精と小人-メルヘンの世界の住人たち
 第5章:子供たちの教育
 エピローグ:夢と現実の間で

展示壁面はシャーベットトーンのグリーンやパープルの明るい雰囲気。約220点の作品とともに、絵本を手にとって見られるコーナーもあります。


《古い俗曲》

やさしい雰囲気の中にも、画家を目指していた的確なデッサン力と、アルプスで培われた自然の描写がクライドルフの魅力です。

《花を棲みかに(春の使い)》は、ダンスと音楽が好きな男女の自然霊「エルフ」を描いた絵本。エルフは花や蝶やイモムシとして描かれており、自然の中の死と再生のサイクルを表現しています。


《花を棲みかに(春の使い)》

《庭の赤いバラ》は、子供のための読み物集。四季で分類された文と詩に、挿絵を描きました。

この本はベルン市小学校三年生用の読本として、1929年に出版されました。日本の教科書も最近はかなり良くなったと思いますが、スイスは80年前でこのレベルです。


《庭の赤いバラ》

ちなみに、クライドルフを「ユーゲント・シュティールの代表的絵本画家」と紹介しましたが、クライドルフ自身は、この世紀末運動の由来となった美術雑誌「ユーゲント」に投稿した「バッタに乗った小人の絵」が不採用になっています。

失意のクライドルフが、その屈辱をバネに作った絵本が小人とバッタがテーマの「くさはらのこびと」。これはクライドルフの絵本で最も人気がある一冊となりました。

本展は巡回展で、この後は福島県の郡山市立美術館(2012年8月4日~9月17日)、富山県立近代美術館(11月10日~12月27日)、横浜のそごう美術館(2013年1月30日~2月24日)とまわります。(取材:2012年6月18日)

くさはらのこびと

エルンスト・クライドルフ (著, イラスト), おおつか ゆうぞう (翻訳)

福音館書店
¥ 1,260

料金一般当日:1,300円
 → チケットのお求めはお出かけ前にicon

会場
会期
2012年6月19日(火)~7月29日(日)
会期終了
開館時間
10:00~18:00(毎週金・土曜日は21:00迄) ※入館は各閉館の30分前まで
休館日
展覧会により異なる
住所
東京都渋谷区道玄坂2-24-1 Bunkamura B1F
電話 03-3477-9413
公式サイト http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/12_kreidolf/
展覧会詳細 スイスの絵本画家 クライドルフの世界 詳細情報
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