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レポート
「魔性の女」挿絵(イラストレーション)展
弥生美術館 | 東京都
危険と知りつつ、はまる魅力
官能的な魅力で男を支配し、ついに破滅させる「魔性の女」。日本では明治末から昭和初期にかけて、魔性の女を題材にした文学が数多く生まれました。
高畠華宵
こちらも高畠華宵。妖艶な眼差しを集めました
高畠華宵の「長恨歌」楊貴妃
左から、橘小夢の《水魔》と《玉藻の前》
鰭崎英朋(ひれざき えいほう)
鰭崎英朋《続風流線》口絵
内藤良治(ないとう ながはる)
伊藤彦造
山六郎(やま ろくろう)
幕末の混乱を経て開国した日本。富国強兵の道を邁進していた頃は文化の面でも硬いテーマが好まれていましたが、日清・日露戦争に勝利して大国の仲間入りをした時期になると、天下国家よりも個人の内面に関心が高まります。

嫉妬、狂気、そして性欲など、人間が持つ影の部分ならではの魅力がクローズアップされるように。泉鏡花や谷崎潤一郎など、文学において「魔性の女」タイプの女性が多く見られるようになりました。


会場

会場1階で強い印象の作品のひとつが、橘小夢(たちばな さゆめ)の《玉藻の前》。玉藻の前は鳥羽上皇の側室となった女官ですが、その正体は「金毛白面九尾の狐」。保元の乱を引き起こした、まさに魔性の女です。

小夢が描いた玉藻の前は色白の美人ながら、その影は9本の尾を持つ狐。艶かしいシルエットが不気味です。


橘小夢

高畠華宵(たかばたけ かしょう)は、弥生美術館ではおなじみ。妖しげな眼差しは、華宵が得意とする表情です。

「長恨歌」の楊貴妃も、誘うような眼差し。すっかり欲に溺れてしまった玄宗皇帝は、とうとう朝の政務をしなくなってしまいます。


高畠華宵

弥生美術館の展覧会では、いつも開催にあわせて一般書籍も発売されます。今回も「魔性の女挿絵集」が刊行されましたが、展覧会には書籍には掲載できなかった作品も出ています。

そのひとりが、伊藤彦造。大正末から昭和40年ごろまで活躍した挿絵画家です。剣戟(けんげき)シーンが得意だった伊藤ですが、目力が強い女性も魅力たっぷり。凄みを感じさせます。


伊藤彦造

満州事変以降のキナ臭い時代になると消えてしまった、魔性の女。安定した社会だからこそ、その存在が支持されるのでしょう。個人的な嗜好もありますが、いつまでも魔性の女が幅を利かせる時代であってほしいものです。(取材:2013年4月11日)

魔性の女挿絵集

中村 圭子 (著)

河出書房新社
¥ 1,680

 
会場
会期
2013年4月4日(木)~6月30日(日)
会期終了
開館時間
午前10時00分~午後5時00分(入館は午後4時30分までにお願いします)
休館日
月曜日休館 ただし4月16日(火)~5月6日(月)無休
住所
東京都文京区弥生2-4-3
電話 03-3812-0012
公式サイト http://www.yayoi-yumeji-museum.jp/
料金
一般 900円/大・高生 800円/中・小生 400円
(竹久夢二美術館もご覧いただけます)
展覧会詳細 「魔性の女」挿絵(イラストレーション)展   詳細情報
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