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    レポート
    ルーヴル美術館展 - 地中海 四千年のものがたり -
    東京都美術館 | 東京都
    ルーヴルが総力をあげた注目展
    ルーヴル美術館の全8美術部門(古代ギリシア・エトルリア・ローマ美術、古代エジプト美術、古代オリエント美術、イスラム美術、絵画、彫刻、美術工芸品、素描・版画)すべてを横断。今夏の東京都美術館は、地中海の名品に彩られます。
    《アルテミス:信奉者たちから贈られたマントを留める狩りの女神 通称「ギャビーのディアナ」》
    《彫像断片:ディアデマ(宝石入り帯状髪飾り)を冠したエジプトの地母神イシスの頭部》(右)
    第二章「統合された地中海」
    《ローマ将軍の英雄的な像:おそらくオクタウィアヌス(後の皇帝アウグストゥス)》
    《幼児キリストに口づけをする聖母像、通称「〈グリュコフィルサ型〉聖母子像」》
    ルイ・ラグルネ《ギリシア神話の英雄ヘラクレスの妻、デイアネイラを掠奪するケンタウロスのネッソス》
    ヤコポ・ネグレッティ、通称パルマ・イル・ジョーヴァネ《ヴェネツィア艦隊提督ヴィンチェンツォ・カペッロ(1467-1541年)の肖像》
    クロード・ベルタン《エジプト最後の女王、クレオパトラの自殺》
    左から、テオドール・シャセリオー《モロッコの踊り子たち:薄布の踊り》/テオドール・シャセリオー《バルコニーにいるアルジェのユダヤ女性たち》
    ルーヴルの全部門が積極的に参画した本展。異例ともいえる試みは、今春ルーヴル美術館の館長に就任したジャン=リュック・マルティネズ氏の監修により実現しました。

    ルーヴル美術館が総力をあげて作ったといえる豪華な展覧会は、ほぼ年代どおりの流れで進みます。

    序章 地中海世界
      ―自然と文化の枠組み―
    1章 地中海の始まり
      ―紀元前2000年紀から前1000年紀までの交流―
    2章 統合された地中海
      ―ギリシア、カルタゴ、ローマ―
    3章 中世の地中海
      ―十字軍からレコンキスタへ(1090-1492年)
    4章 地中海の近代
      ―ルネサンスから啓蒙主義の時代へ(1490-1750年)
    5章 地中海紀行(1750-1850年)


    会場

    「地中海」がテーマなので、作品は約4200年前に作られた黄金の器から19世紀の油彩画まで膨大。さまざまな交流によって生み出された地中海文化を俯瞰していきます。

    1階に上がって(東京都美術館の企画展示室は地下1階→1階→2階と進みます)目に入るのは、逞しい大理石の彫像。

    紀元前30年頃のもので、おそらくオクタヴィィアヌス(後の皇帝アウグストゥス)の像。クレオパトラを滅ぼして地中海世界を統一、ローマ帝国の初代皇帝となりました。


    《ローマ将軍の英雄的な像:おそらくオクタウィアヌス(後の皇帝アウグストゥス)》

    展覧会の目玉は《アルテミス:信奉者たちから贈られたマントを留める狩りの女神 通称「ギャビーのディアナ」》。18世紀にローマ近郊のギャビーで発掘され、1808年にルーヴルに収蔵されて以来、初めて館外に出され、もちろん日本初公開です。

    穏やかな表情と、流れるような布の表現。ポスターでは正面からの写真で紹介されていますが、会場では背後に回って見ることもできるため、マントを摘んでいる指先までじっくり楽しめます。


    《アルテミス:信奉者たちから贈られたマントを留める狩りの女神 通称「ギャビーのディアナ」》

    大理石彫刻ばかりをご紹介しましたが、絵画も数多くの優品が出展されています。

    オリエンタリズムあふれる絵画で知られるテオドール・シャセリオーは《モロッコの踊り子たち:薄布の踊り》と《バルコニーにいるアルジェのユダヤ女性たち》の2点。

    カミーユ・コローの《ハイディ:ギリシアの若い娘、イギリスの詩人バイロン卿(1788-1824 年)による『ドン・ジュアン』の登場人物》は、抒情性豊かな人物画です。


    絵画の展示も充実

    注目の大規模展ながら、巡回せずに東京都美術館だけでの開催です。お見逃しなく。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2013年7月19日 ]

    ルーヴル美術館 収蔵絵画のすべて

    ヴァンサン・ポマレッド (著, 編集), エリック・レッシング (著), アンリ・ロワレット (著), アーニャ・グレーベ (著)

    平凡社
    ¥ 9,030

     
    会場
    会期
    2013年7月20日(土)~9月23日(月・祝)
    会期終了
    開館時間
    9:30~17:30
    休館日
    毎週月曜日、9月17日(火) ただし9月16日、23日は開室
    住所
    東京都台東区上野公園8-36
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://louvre2013.jp/
    料金
    一般 1,500(1,300)円/学生1,300(1100)円/高校生 800(600)円/65歳以上 1,000(800)円
    ※中学生以下無料
    ※()内は前売および20名以上の団体料金
    ※早割りペア 2000円(2枚1組)を4月1日~5月13日までの期間限定で発売
    ※その他各種割引あり
    展覧会詳細 「ルーヴル美術館展─地中海 四千年のものがたり─」 詳細情報
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