IM
    レポート
    トスカーナと近代絵画 もうひとつのルネサンス
    SOMPO美術館 | 東京都
    ブックレットも必見、休館前の最後の企画展
    フィレンツェの美術といえば、まず思い起こすのはルネサンス。では19~20世紀の美術は? 知られざるトスカーナの近代絵画の全貌を展観します。
    会場
    ヴィンチェンツォ・カムッチーニの帰属作品《ルイージ・カラファ・ディ・ノハ准尉の肖像》19世紀初頭(左手前)
    アントニオ・フォンタネージ《サンタ・トリニタ橋付近のアルノ川》1840年代-1867年(右)
    アンドレア・ピエリーニ《煉獄におけるダンテとベアトリーチェの出会い》1853年(左手前)
    ラファエッロ・セルネージ《麦打ち場》1865年(左手前)
    会場。奥はジョヴァンニ・ファットーリ《従姉妹アルジアの肖像》1858-1860年頃
    会場のパネルでは、マッキアイオーリとフランス印象派の比較などについて解説
    ジョヴァンニ・ファットーリ《偵察騎兵隊》1885-1887年頃(右手前)
    アルベルト・サヴィニオ《オルフェウスとエウリュディケ》1951年(右手前)
    イタリア中西部のトスカーナ州、州都はフィレンツェ。アルノ川の西岸に位置するピッティ宮殿はトスカーナに大公の宮殿としても使われ、現在は3階が近代美術館になっています。

    その所蔵作品で、ゴッホやピカソが活躍した時代のトスカーナの絵画を紹介する本展。損保ジャパン東郷青児美術館の後には千葉、群馬、鳥取と全国巡回します。


    会場

    会場はほぼ時代別に4章で構成されています。

    冒頭は、ロマン主義の絵画から。歴史画、肖像画などに並んで、風景画の中にはアントニオ・フォンタネージによる《サンタ・トリニタ橋付近のアルノ川》もありました。

    フォンタネージは明治政府のお雇い外国人で、浅井忠などを指導した画家です。


    アントニオ・フォンタネージ《サンタ・トリニタ橋付近のアルノ川》1840年代-1867年

    展覧会メインビジュアルの肖像画は、2章の「新たなる絵画 マッキアイオーリ」で紹介されています。

    マッキアイオーリは「斑点派」。1850年頃にフィレンツェのカフェに集まった若い画家たちによる描き方で、大きな明暗と色彩の対比で形をとらえ、大まかな色斑で塗っていく手法です。

    「イタリアの印象派」とも言われるマッキアイオーリ。「斑点派」という呼称が侮蔑的に使われていたのも、印象派に似ています。

    作品はマッキアイオーリの代表的な画家であるジョヴァンニ・ファットーリの《従姉妹アルジアの肖像》。故郷でいとこを描いた油彩です。


    ジョヴァンニ・ファットーリ《従姉妹アルジアの肖像》1858-1860年頃

    最後は20世紀のイタリア絵画。

    1922年に首相に就任したムッソリーニ。古代やルネサンス時代のような「偉大なイタリア」を目指す動きの中で、画家たちも新しいイタリアの絵画を模索していきます。

    軍靴の音が大きくなるにつれて芸術家の活動に国が関わるようになり、やがて開戦。この時代の芸術の流れは、どこの国でも似ています。


    第4章「20世紀の巨匠たち イタリア絵画における主役たちの諸傾向」

    本展では子ども向けに「ジュニア版ブックレット」も制作しました。全16ページの小冊子ですが関連コラムも充実しており、大人でも読み応え充分。会場で販売中(300円)です。

    なお損保ジャパン東郷青児美術館は、本展の後は美術館改修工事のため休館。再開は2014年1月11日(土)からとなります。ゴッホ《ひまわり》を見たい方も、この機会に。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2013年10月2日 ]

    (c)Galleria d'arte moderna di Palazzo Pitti


    料金一般当日:1,000円
     → チケットのお求めはお出かけ前にicon

     
    会場
    会期
    2013年9月7日(土)~11月10日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00~18:00
    ※入館は閉館の30分前まで
    休館日
    月曜日休館 ただし9月16日(月・祝)、9月23日(月・祝)、10月14日(月・祝)、11月4日(月・祝)は開館。
    住所
    東京都新宿区西新宿1-26-1 損保ジャパン本社ビル42F
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://www.sompo-japan.co.jp/museum/exevit/index_pitti.html
    料金
    一般 1,000(800)円/大・高校生 600(500)円※学生証をご提示ください/シルバー(65歳以上) 800円※年齢のわかる物をご提示ください/中学生以下無料※生徒手帳をご提示ください
    ※障害者手帳(身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者手帳)のご提示によりご本人とその介護者(1名まで)は無料。ただし、被爆者健康手帳をお持ちの方は、ご本人のみ無料。
    ※( )内は20名以上の団体料金 および前売り料金
    展覧会詳細 「トスカーナと近代絵画 もうひとつのルネサンス」 詳細情報
    おすすめレポート
    学芸員募集
    北海道標津町文化財担当職員募集 [標津町ポー川史跡自然公園]
    北海道
    新居浜市美術館 学芸員募集中 [あかがねミュージアム(新居浜市美術館および新居浜市総合文化施設)]
    愛媛県
    京都市埋蔵文化財研究所 技術職員(調査員)募集 [京都市埋蔵文化財研究所事務所ほか]
    京都府
    【美術品の展示・会場設営】美術品オークション会社・アルバイトスタッフ募集!未経験OK【(株)毎日オークション】 [東京都江東区有明3-5-7 TOC有明ウエストタワー5階]
    東京都
    瑞穂町郷土資料館 けやき館 学芸員募集 [瑞穂町郷土資料館 けやき館]
    東京都
    展覧会ランキング
    1
    東京都美術館 | 東京都
    ミロ展
    開催中[あと19日]
    2025年3月1日(土)〜7月6日(日)
    2
    三菱一号館美術館 | 東京都
    ルノワール×セザンヌ ―モダンを拓いた2人の巨匠
    開催中[あと82日]
    2025年5月29日(木)〜9月7日(日)
    3
    東京国立博物館 | 東京都
    イマーシブシアター 新ジャポニズム ~縄文から浮世絵 そしてアニメへ~
    開催中[あと47日]
    2025年3月25日(火)〜8月3日(日)
    4
    TOKYO NODE | 東京都
    デザインあ展 neo
    開催中[あと98日]
    2025年4月18日(金)〜9月23日(火)
    5
    CREATIVE MUSEUM TOKYO | 東京都
    HOKUSAI - ぜんぶ、北斎のしわざでした。展
    開催まであと88日
    2025年9月13日(土)〜11月30日(日)