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    レポート
    のぞいてびっくり江戸絵画 ─ 科学の眼、視覚のふしぎ ─
    サントリー美術館 | 東京都
    テクノロジー×アート、200年前のコラボ
    蘭学の振興とともに、顕微鏡や望遠鏡などの新しい光学装置が海外から入ってきた江戸時代後期の日本。新しい科学技術は、絵画の表現にも大きな影響を与えました。
    (右から)重要文化財 小田野直武《不忍池図》秋田県立美術館 / 司馬江漢《異国風景図》個人蔵
    (右から)歌川豊広《橋上の二美人図》板橋区立美術館 / 春木南溟《虫合戦図》神戸市立博物館
    (左奥から)イギリス製《反射式覗き眼鏡》町田市立国際版画美術館 / 《泰山鏡(眼鏡絵器具)》町田市立国際版画美術館
    (左から)歌川広重《名所江戸百景 深川洲崎十万坪》個人蔵 / 歌川広重《江戸高名会亭尽 湯嶋》サントリー美術館
    (右手前)オランダ製《屈折望遠鏡》大阪歴史博物館
    (左手前)岩橋善兵衛《長筒望遠鏡》彦根城博物館
    《カルペパー型顕微鏡》ユニオン光学株式会社(古河歴史博物館寄託)
    (右下から)山本溪山《獣類写生》西尾市岩瀬文庫 / 高木春山《本草図説》西尾市岩瀬文庫
    (左下から)歌川国貞《月の陰忍ひ逄ふ夜 頭巾》名古屋市博物館 / 高力猿猴庵 原画、小田切春江 写《新卑姑射文庫 三編》名古屋市博物館
    ぐっと拡大したり、遠くに離れたり、角度を変えたり…。江戸時代の絵師らは、新しい技術によって手に入れた知見を、さまざまな形で表現していきました。

    展覧会の目玉のひとつが、秋田蘭画の創始者のひとり、小田野直武(おだのなおたけ)による《不忍池図》(重要文化財)です。秋田蘭画は伝統的な日本画の画材を使いながらも、西洋画の影響を受けた構図・画題で描かれた絵画で、ごく短い期間のみ久保田潘(秋田藩)で描かれました。強調された遠近法で、何となく落ち着きが悪いように感じます(展示は4/21まで)。


    会場入口から

    館の吹き抜け部には体験できるコーナーは、子ども連れでも楽しめそうです。

    壁面の穴から覗けるのは、錦絵を切り取り、組み立てて楽しんだ「立版古(たてばんこ)」。台上の歪んだ絵は「鞘絵(さやえ)」で、刀の塗り鞘などを立てて湾曲した表面に写すことで、正常な形を見ることができます。


    吹き抜け部には体験コーナーも

    16世紀末にオランダで発明された顕微鏡が日本に流入したのは、18世紀半ば。江戸時代後期には和製の顕微鏡も制作されました。

    顕微鏡で見た雪の結晶は、今まで知らなかった驚きの世界でした。幾何学的な文様は人々の心をとらえ、錦絵や工芸品に取り入れられました。


    第3章「<顕微鏡>で覗くミクロの世界」

    博物学も、西洋から入ってきた新しい知識です。動植物の姿をあくまでも忠実に写し取った博物画は、粉本を踏襲したそれまでの花鳥画とは全く異なります。

    「美しいものを描く」行為とは対局にある博物画ですが、冷徹な視線で描かれた作品からは、逆に研ぎ澄まされた美が漂ってくるようです。


    第4章「<博物学>で観察する」

    200年前にも実現していた、テクノロジーとアートのコラボレーション。とてつもなく長い望遠鏡や、凸レンズがついた「反射式覗き眼鏡」など実機も含め、幅広いジャンルの展示作品でお楽しみください。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2014年3月28日 ]

    秋田蘭画の近代―小田野直武「不忍池図」を読む

    今橋 理子 (著)

    東京大学出版会
    ¥ 6,825

    料金一般当日:1,300円
     → チケットのお求めはお出かけ前にicon

     
    会場
    会期
    2014年3月29日(土)~5月11日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00~18:00
    休館日
    火曜日休館 4月29日(火・祝)、5月6日(火・休)は開館
    住所
    東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3F
    電話 03-3479-8600
    公式サイト http://suntory.jp/SMA/
    料金
    一般 1,300円/大学・高校生 1,000円
    ※中学生以下無料
    ※障害者手帳をお持ちの方は、ご本人と介護の方1名様のみ無料
    ※4月19日(土)は「六本木アートナイト割引」のため一般および大学・高校生は一律500円
    展覧会詳細 「のぞいてびっくり江戸絵画 -科学の眼、視覚のふしぎ-」 詳細情報
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