ティラノサウルスとトリケラトプス。説明不要の有名恐竜ですが、恐竜の研究は常に進化を続けています。
例えばティラノサウルスは、以前は立って地面に尾を垂らした姿で描かれていましたが、この格好では動くたびに尾が地面に触れてバランスが悪いので、現在は尾は水平に伸びていたという説が主力。トリケラトプスも前足の肘が横に突き出て腕立て伏せのように描かれていましたが、手の甲が外側を向いていたことが明らかになりました。今回の展示では最近の研究成果に沿った新しい恐竜の姿が紹介されています。
向き合う姿のティラノサウルスとトリケラトプス。すごい大きさです。驚きのひとつが、恐竜を食べていた哺乳類の存在。恐竜時代にいた哺乳類は、細々と隠れるように生きていたイメージがありますが、哺乳類であるレペノマムスの胃の部分からは恐竜の子どもの骨や歯が見つかりました。つまり、哺乳類が恐竜を食べていた可能性があるということ。我々が従来持っていたイメージとは、だいぶ変わっているのに驚かされます。
また今年は「始祖鳥」が1861年に命名されてからちょうど150周年の記念すべき年。これまでに発見されている11点の始祖鳥の標本から、最も保存状態がいい「サーモポリス標本」が日本初公開されました(実物化石は7/2~10の期間限定)。始祖鳥も150年の間に研究が進み、最近の調査では足の親指の向きが他の鳥類と違うため、枝にとまる能力が低かった可能性も示唆されるなど、まだまだ分かっていないことも多いのです。
ジュラ紀のコーナー。アロサウルスとヘスペロサウルス。後半のシアターは、大迫力のCG映像。ティラノサウルス類が羽毛で覆われていたという研究成果に基づき、半身が羽毛で覆われたティラノサウルスが登場します。対決する相手は、もちろんトリケラトプス。しゃがんだ姿勢で待ち伏せるティラノサウルス。悠然と歩くトリケラトプスに遅いかかりますが、トリケラトプスも必死の反撃。果たしてスター対決の結末は…ぜひ会場でご覧ください!
第2会場は東日本大震災復興支援企画として、被災地での標本レスキュー活動が紹介されています。陸前高田市「海と貝のミュージアム」に展示されていたツチクジラの剥製を救出した様子などとともに紹介されていたのは、泥まみれの本「猫の事務所」(宮沢賢治・著)。賢治は陸前高田の博物学者・鳥羽源蔵(とばげんぞう)と親交があり、猫の事務所にはトバスキーとゲンゾスキーというネコが登場しています。陸前高田市立図書館は津波で蔵書の大分部を失いましたが、猫の事務所は偶然発見された、とのこと。文化財復興支援の募金も受け付けていました。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2011年7月1日 ]