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レポート
いわさきちひろ×佐藤 卓=展
ちひろ美術館・東京 | 東京都
異色の顔合わせによる真剣勝負
穏やかであたたかい絵本画家と、都会的で洗練されたグラフィックデザイナー。担当学芸員も「どんな展示になるか予想できなかった」という異色のコラボ展が、ちひろ美術館・東京で開催中です。
「ちひろ×佐藤卓の実験室」
「佐藤卓のデザイン採集」
巨大なチロリアン人形
(左から)《穂高》《浅間温泉・茶臼荘より岡田村をのぞむ》
「佐藤卓が選んだ、ちひろの絵 ─ ちひろの描く線画 ─ 」
(左から)《チューリップのある少女像》《緑の幻想》
「いわさきちひろ×佐藤卓=バナー」
「いわさきちひろ×佐藤卓=箱」
2階の図書室では、ちひろの絵から抜き出した線に、自由に描き足して絵を描くワークショップ「ちひろの線とコラボレーション」も開催中。優秀作品は展示室で展示されます
「ロッテ キシリトールガム」「にほんごであそぼ」「デザインあ」と、幅広い領域で活躍する佐藤卓さん。ちひろ美術館とも縁が深く、美術館のシンボルマークをはじめ、展覧会ポスターやレターヘッド、包装紙などのデザインを手掛けています。

さらに縁を辿ると、実は佐藤卓さんはちひろ美術館がある練馬区生まれ。幼い頃は武蔵野で昆虫採集をするなど、まさにちひろの絵に出てきそうな少年でした。

会場は展示室1「佐藤卓のデザイン採集」で、佐藤卓さんの仕事の紹介から。代表的な商品デザインや、ちひろ美術館でのグラフィックデザインなどが展示されています。

傑作は千鳥屋総本家の洋菓子「チロリアン」。箱に描かれたチロル民俗衣装の5人は、口の形がチ・ロ・リ・ア・ンになっています。本展では、巨大なチロリアン人形も展示されました。


「佐藤卓のデザイン採集」

展示室2「佐藤卓が選んだ、ちひろの絵 ─ ちひろの描く線画 ─ 」が、本展最大の見せ場です。

9,400点以上のちひろ作品の中から、線に着目して佐藤卓さんがセレクト。学芸員サイドからすると意外な作品も数多く選ばれ、結果的に33点が初公開作品となりました。

ちひろの作品は、確実なデッサン力がベースにあります。硬軟・強弱と線を自在に使い分け、対象に迫っていきます。


「佐藤卓が選んだ、ちひろの絵 ─ ちひろの描く線画 ─ 」

展示室3は「佐藤卓が選んだ、ちひろの絵」。ここには、いわゆる「ちひろらしい」絵が並びます。

モデルなしで、10カ月と1歳のあかちゃんを描き分けられると言われるちひろ。ひとりの母親でもあったちひろは、息子のしぐさや成長を見つめる中で、どんな格好の子どもでも描ける力を身につけました。


「佐藤卓が選んだ、ちひろの絵 ─ ちひろの描く子どもたち ─ 」

展示室4は「ちひろ×佐藤卓の実験室」。展示室2と3、図書室で展示しているちひろの絵に、佐藤卓さんがスパイスを加えました。

ちひろのスケッチから線を取り出してパターンデザインにした「いわさきちひろ×佐藤卓=バナー」。平面のちひろの絵からインスピレーションを受けた立体物を組み合わせた「いわさきちひろ×佐藤卓=箱」。この展示室のみは、来館者による撮影も可能です。


「ちひろ×佐藤卓の実験室」

佐藤卓さんのデザインは、無駄を削ぎ落とす事で本質をあらわにしていきますが、実はちひろの絵も同じ。他の要素には頼らず、対象に誠実に向き合う事で、ちひろは子どもの感情までも描く事ができるのです。

時代を越えた二人のクリエイターによる真剣勝負。いつものちひろ美術館ファンの方からも反応が良い事に加え、本展では若い人の姿も多く見かけるそうです。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2014年8月18日 ]



■いわさきちひろ×佐藤卓 に関するツイート


 
会場
会期
2014年8月6日(水)~11月3日(月)
会期終了
開館時間
10:00~17:00(入館は閉館の30分前まで)
休館日
月曜日(祝休日は開館、翌平日休館。8/10~20は無休)
住所
東京都練馬区下石神井4-7-2
電話 03-3995-0612
公式サイト http://www.chihiro.jp/
料金
大人800円/高校生以下無料 団体(有料入館者20名以上*)、65歳以上の方、学生証をお持ちの方は100円引/障害者手帳ご提示の方は半額、介添えの方は1名まで無料/視覚障害のある方は無料/年間パスポート2500円 *ちひろ没後40年の2014年に限り、有料入館者10名以上から
展覧会詳細 いわさきちひろ×佐藤 卓=展 詳細情報
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