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    レポート
    特別展 国宝 燕子花図屏風 歌をまとう絵の系譜
    根津美術館 | 東京都
    庭のカキツバタも見ごろです
    根津美術館のこの時期といえば、国宝《燕子花図屏風》です。いつもテーマを定めて紹介していますが、今年のテーマは「歌」。和歌と関わりをもつさまざまな絵画作品が紹介されています。
    国宝《燕子花図屏風》尾形光琳筆
    (左から)《南天双鳩図》呉春筆 日野資枝・烏丸光祖賛 / 《砧打ち美人図》窪俊満筆
    《吉野龍田図屏風》
    《扇面歌意画巻》
    《武蔵野図屏風》
    《燕子花図》中村芳中筆
    《伊勢物語絵巻》
    テーマ展示「部屋を飾る小品たち」(展示室5)
    テーマ展示「初風炉の茶」(展示室6)
    かな文字が生まれ、和歌が発達すると、絵画の世界も和歌との関連性が強い作品が見られるようになります。

    展覧会では和歌と関わりが深い絵画を紹介。会場に入ると、絵画作品の前のガラス面に、絵画と関連がある和歌が示されています。

    吉野の桜、龍田川の紅葉(楓)の対比が鮮やかな《吉野龍田図屏風》。画面を覆いつくす桜と紅葉に目を奪われてしまいますが、良く見ると和歌が記された短冊が画中に描かれています。


    会場

    尾形光琳による国宝《燕子花図屏風》。人物や風景は一切なく、金地の背景の他に描かれているのは燕子花のみですが、モチーフは伊勢物語の第九段「東下り」の一節と思われます。

    東国へ下る男の一行が、三河の国の八橋で美しいカキツバタを見て、カキツバタの五文字を入れて詠んだ歌が「から衣 着つつなれにし つましあれば はるばるきぬる 旅をしぞ思ふ」。(着慣れた衣のように)慣れ親しんだ妻が都にいるのに、はるばる遠くまで来た旅を侘しく思う、という意味です。


    国宝《燕子花図屏風》尾形光琳筆

    本展では、その「伊勢物語」を描いた個人蔵の絵巻も特別に出展されています。室町時代に描かれた作品で、全125段の本文と、40段分の絵で構成。もちろん八橋の部分も展示されており、歌を詠む男たちの先には、ちゃんと8本の橋と、カキツバタも描かれています。

    絵巻の絵は素朴ですが、なかなか魅力的。草むらに隠れた男女に追手が迫る12段「武蔵野」、なかなか会えない女と会ったのに夜明けの鶏が鳴く53段「あひがたき女」、滝の見物からままならぬ世を嘆く歌を詠みあう87段「布引の滝」など、お楽しみください。


    《伊勢物語絵巻》

    根津美術館の公式サイトによると、庭園のカキツバタの開花も進んでいるとの事(4月23日の更新情報)。今なら国宝とセットで、お楽しみいただけそうです。

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2016年4月12日 ]

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    守屋 正彦 (監修)

    東京美術
    ¥ 1,728


    ■燕子花図屏風 歌をまとう絵の系譜 に関するツイート


     
    会場
    会期
    2016年4月13日(水)~5月15日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00~17:00(入館は16:30まで)
    休館日
    月曜日 ただし5/2(月)は開館
    住所
    東京都港区南青山6-5-1
    電話 03-3400-2536
    公式サイト http://www.nezu-muse.or.jp/
    料金
    一般1300円、学生[高校生以上]1000円
    *中学生以下は無料
    展覧会詳細 「特別展 国宝 燕子花図屏風 歌をまとう絵の系譜」 詳細情報
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