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レポート
角川映画の40年
国立映画アーカイブ | 東京都
映画界に殴りこんだ風雲児
「犬神家の一族」「セーラー服と機関銃」「復活の日」…。映画・原作書・主題歌をメディアミックスで売り込む派手な宣伝で一時代を築いた角川映画は、今年ちょうど40周年を迎えました。その足跡を辿る展覧会が、東京国立近代美術館フィルムセンターで開催中です。
(左から)『セーラー服と機関銃』ポスター / 『ねらわれた学園』ポスター
(左から)『本陣殺人事件』ポスター / 『犬神家の一族』ポスター / 横溝正史『犬神家の一族』文庫版
『野性の証明』初版、文庫版シナリオ、製作ニュースなど
『復活の日』撮影台本、製作ニュースなど
“角川三人娘”出演映画プレスシート
(左から)『時をかける少女』カラースチル写真 / 『探偵物語』製作発表会見写真
第3章「アニメーションと超大作」
(左から)『少年ケニヤ』三ツ矢サイダータイアップポスター / 『幻魔大戦』ポスター
(左から)『リング』 / 『死国』ポスター / 『恋に唄えば♪』ポスター / 『魔界転生』ポスター
角川映画は1976年公開の「犬神家の一族」から、仕掛け人は角川春樹社長です。原作者の横溝正史は、実は当時「忘れられた巨匠」にされていましたが(原作の発表は1950年です)、ブームを仕掛けるため果敢に映画製作に打って出たのです。

当時は、映画は東宝や松竹や東映などの映画会社がつくるのが常識。出版社による映画製作は前代未聞でしたが、結果は大成功。その後もヒット映画を連発し、たちまち日本映画界の寵児となりました。

角川の強みは、柔軟な発想と実行力。「映画の敵」と見なされていたテレビにもCMを出すなど、積極的な広報戦略は時代を華やかに彩りました。


第1章「大旋風 ─ 角川映画の誕生」 会場冒頭には「水面から突き出た足」の撮影コーナーも

1980年の「復活の日」までは大作志向が強かった角川映画ですが、その後は方針を展観。2本立てで上映される、アイドル映画路線を進めていく事となります。

「野性の証明」で高倉健の相手役としてデビューしたのが、薬師丸ひろ子です。当時から抜群の存在感でしたが、その人気は「セーラー服と機関銃」で爆発。薬師丸が歌った主題歌も大ヒットし、トップアイドルに上り詰めました。

第2の薬師丸ひろ子として、コンテストで発掘されたのが原田知世と渡辺典子です。原田知世も「時をかける少女」で大人気に、渡辺典子も「晴れ、ときどき殺人」などで活躍しました。「角川三人娘」は角川映画の絶頂期を象徴する存在といえます。


第2章「“角川三人娘”登場 ─ アイドル映画の時代」

80年代以降は「幻魔大戦」「少年ケニヤ」など、アニメーションにも進出。さらに90年代には大作「天と地と」も手掛けていきます。

良くも悪くも、角川映画といえば話題が先行しているイメージがありますが、実は「蒲田行進曲」や「麻雀放浪記」も角川映画。評論家から高い評価を受けている作品も送り出しています。

1993年からは、新たに角川歴彦社長のもとで再生。「失楽園」や「リング」などの話題作は評判となりました。現在も過去作品のリメイクなどを含め、積極的に映画づくりを続けています。


第3章「アニメーションと超大作」、第4章「再生、そして現代へ」

最後にご紹介したいのが、「当時の中高生男子の部屋をイメージして作った」(展覧会を担当した岡田秀則主任研究員)という特設コーナー。中央の椅子に座ると、左に渡辺典子、正面は原田知世、右には薬師丸ひろ子と、角川三人娘がこちらを見つめている夢のような世界が広がります。角川映画の絶頂期をリアルタイムで楽しんだ男性は、身悶えしてしまうかもしれません。


角川三人娘に囲まれる、夢の特設コーナー

まさに筆者も、角川絶頂期の世代。会場最後では「セーラー服と機関銃 完璧版」など5本の角川映画の予告編も放映されており、往時の熱気が蘇ってきました。ただ、フィルムセンターの若い広報の方(女性)に聞くと「薬師丸ひろ子のイメージは“お母さん女優”」との事。あまりにも大きな世代間ギャップに、めまいがしそうです。

[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2016年7月27日 ]

角川映画 1976-1986(増補版)角川映画 1976-1986(増補版)

中川 右介 (著)

KADOKAWA/角川マガジンズ
¥ 950


■角川映画の40年 に関するツイート


 
会場
会期
2016年7月26日(火)~10月30日(日)
会期終了
開館時間
◆長瀬記念ホール OZU・小ホール
<開映時間>
作品によって開映時間が異なります。
詳細はHP、またはハローダイヤルにお問い合わせ下さい。

◆展示室11:00~18:30(入場は18:00まで)
◆図書室12:30~18:30(入室は18:00まで)
※新型コロナウイルス感染症拡大予防のため、当面の間、土曜日も閉室としております。
休館日
月曜日および9月5日(月)~9日(金)は休室です
住所
東京都中央区京橋3-7-6
電話 03-5777-8600 (ハローダイヤル)
03-5777-8600 (ハローダイヤル)
公式サイト http://www.momat.go.jp/fc/exhibition/kadokawa/
料金
一般210円(100円)/大学生・シニア70円(40円)/高校生以下及び18歳未満、障害者(付添者は原則1名まで)、MOMATパスポートをお持ちの方、キャンパスメンバーズは無料
*料金は常設の「NFCコレクションでみる 日本映画の歴史」の入場料を含みます。
*( )内は20名以上の団体料金です。
*学生、シニア(65歳以上)、障害者、キャンパスメンバーズの方はそれぞれ入室の際、証明できるものをご提示ください。
展覧会詳細 角川映画の40年 詳細情報
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