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    レポート
    北斎×富士 ~冨嶽三十六景 富嶽百景 揃いぶみ~
    すみだ北斎美術館 | 東京都
    「富士づくし」の展示室
    2016年11月に開館して多くの人で賑わっている、すみだ北斎美術館。開館記念展の最後を飾るのは、美術館の構想から約25年間で墨田区が取集した作品群を紹介。北斎が富士を描いた二大作品「冨嶽三十六景」と『富嶽百景』が揃いぶみしています。
    (奥左から)《冨嶽三十六景 諸人登山》 / 《冨嶽三十六景 武陽佃島》 / (右手前)《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》
    (左から)《冨嶽三十六景 甲州石班沢》 / 《冨嶽三十六景 江都駿河町三井見世略図》
    (左から)《冨嶽三十六景 駿州江尻》 / 《冨嶽三十六景 甲州犬目峠》
    (左奥から)《冨嶽三十六景 相州江の島》 / 《冨嶽三十六景 身延川裏不二》 / 《冨嶽三十六景 従千住花街眺望ノ不二》
    『富嶽百景』
    (左奥から)《登龍の不二》『富嶽百景』二編より / 《夢の不二》『富嶽百景』二編より
    (左から)《不二の麓》『富嶽百景』二編より / 《来朝の不二》『富嶽百景』三編より
    『富嶽百景』初編
    会場
    会場は2つの企画展示室で、それぞれ「冨嶽三十六景」と『富嶽百景』を紹介。まずは上階の「冨嶽三十六景」からです。

    北斎が72歳の頃に出版された「冨嶽三十六景」。富士講や旅ブームもあって人気を博し、10図が追加されて46図が出版されました。

    世界的な名作といえる「冨嶽三十六景」ですが、実は謎だらけ。そもそも制作年も「天保2(1831)年~天保6(1835)年頃まで」が有力ですが、様々な説があります。

    絵の内容にも不明点があります。「従千住花街眺望ノ不二」の背景は、タイトルからすると吉原ですが、屋根上に天水桶が無いため、別の町かも。「諸人登山」は山頂を描いた絵と伝わりますが、左下には樹木の姿が。富士山の山頂に木は生えません。


    第1章「冨嶽三十六景」

    下のフロアは『富嶽百景』。3冊の版本に全102図。今回は額装されて1図1図が見られるように展示されています。

    版本のため色はついていませんが、濃淡の薄墨を効果的に使用。彫師も北斎が信頼していた人を使い、広告では「我真面目(わがしんめんぼく)の画訣(がけつ)この譜に尽せり」と自信たっぷりに語るなど、北斎による富士図の集大成といえます。

    展示は「構図」「遠近」「伝説」などのテーマごとに分類して紹介。冨嶽三十六景と類似する作例も解説されています。

    展示室の最後には『富嶽百景』初編の跋文(あとがき)が紹介されていますが、ひょっとすると『富嶽百景』そのものより有名かもしれません。

    75歳ごろに書いたものですが「70歳までに描いたものは取るに足らない、73歳でようやく動植物について悟り、80歳でますます上達し、90歳で奥意を極め、100歳で神の域に達し、110歳を超えれば一点一画が生きているようになる」と豪語。老いてなお盛ん、というか、そもそも老いたと思っていない北斎の胆力には驚かされます。


    第2章「富嶽百景」

    会期は全体で約2カ月ですが、デリケートな浮世絵作品という事もあり3期に分けて展示されます(Ⅰ期は6月27日~7月9日、Ⅱ期は7月11日~7月23日、Ⅲ期は7月25日~8月20日)。北斎を代表する三役は「神奈川沖浪裏」がI期、「山下白雨」がII期、凱風快晴がⅢ期に展示されます。

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2017年6月26日 ]

    浮世絵ぬり絵 葛飾北斎 冨嶽三十六景 其の一浮世絵ぬり絵 葛飾北斎 冨嶽三十六景 其の一

    クールジャパン研究部 (編集)

    インターブックソリューションズ
    ¥ 702


    ■すみだ北斎美術館 に関するツイート


     
    会場
    会期
    2017年6月27日(火)~8月20日(日)
    会期終了
    開館時間
    午前9時30分~午後5時30分(入館は閉館の30分前まで)
    休館日
    毎週月曜日 ※7月17日(月・祝)開館、7月18日(火)休館
    住所
    東京都墨田区亀沢二丁目7番2号
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://hokusai-museum.jp/
    料金
    一般 1,200円/高校・大学生 900円/65歳以上 900円/中学生 400円/障がい者 400円
    ※小学生以下は無料。
    ※中学生・高校生・大学生(高専、専門学校、専修学校生含む)は生徒手帳または学生証をご提示ください。
    ※65歳以上の方は年齢を証明できるものをご提示ください。
    ※身体障害者手帳、愛の手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、被爆者健康手帳などをお持ちの方及びその付添の方1名まで障がい者料金でご覧いただけます(入館の際は、身体障害者手帳などの提示をお願いします)。
    ※開館記念展のチケットは、会期中観覧日当日に限り、常設展もご覧になれます。
    展覧会詳細 「北斎×富士 ~冨嶽三十六景 富嶽百景 揃いぶみ~」 詳細情報
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