
《まつ黒くすみたる馬の目の中に釜無川(かまなしがわ)が流れいる》 山崎方代 軸装
山崎方代(ほうだい)(歌人 1914~1985)は山梨県甲府市右左(うば)口(ぐち)町(ちょう)生まれ。地元青年団活動の中で短歌を始めました。1938(昭和13)年、母を亡くし病身の父とともに横浜の姉を頼って離郷。1941年に召集され、南方戦線で右眼を失明、左目も視力の大半を失ってしまいます。終戦後帰国し、しばらくの放浪生活の中で短歌の創作・同人誌活動を行い、1972年、鎌倉市に居を定めました。歌集に『方代』『右左口』『迦葉(かしょう)』など。
この短歌は、「流れいる」を「流れている」として「短歌」1975年5月掲載、歌集『こおろぎ』に収録されました。
担当者からのコメント
馬の真っ黒い目に映る釜無川を詠んだこの歌には、故郷の風景や生活への方代の温かい眼差しが感じられます。本作品は、「新収蔵品展 創作の生まれるところ」(会期1/31~3/22)で展示します。
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