
《二条城行幸図屏風》より 徳川三代将軍 家光の馬 作者未詳、江戸時代・17世紀、京都市指定文化財
寛永3年(1626)9月の寛永行幸は、後水尾天皇を二条城にお迎えした徳川秀忠による世紀のおもてなし。泰平の世を告げる歴史的出来事でした。その初日、京の町をゆく行幸行列を活写した屏風には、騎馬姿の公家・大名がぎっしり。そのなかに誰も乗っていない馬が一頭。力強く土を蹴る黒毛の凜々しさは群を抜きます。その総飾りは他とは違い、特別な位にしか許されない紫の厚総。主人が他ならぬ将軍徳川家光であることを示しています。
担当者からのコメント
細密描写が魅力のこの屏風。馬は時に権威や武威の象徴ともなり、画家も力が入ったのでしょう。牛車に乗っていて見えない将軍の姿を仮託したとも見えます。若々しく覇気に満ちた姿。真っ赤な目は漲る力の現れか、ただの充血か。獣医さんに聞いてみたいものです。ちなみに本年は寛永行幸400周年。午年とともに記念の一年がスタートします。
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