広島で制作した新作《かりのたより》を特別延長展示
2026年1月25日に終了した前田耕平の個展「コスモレジデンス」で発表された《かりのたより》とその関連作品を、別会期として特別に延長展示します。
広島市内には、川の潮位にあわせて使われてきた階段状の船着場「雁木(がんぎ)」が、今も約400箇所残されています。雁木は、かつての舟運の記憶を今に伝える、広島ならではの風景です。前田はこの雁木に着目し、太田川の支流を舞台に、人々が川を渡っていく参加型プロジェクト「雁の便り」プロジェクト(※)を実施しました。公募で集まった広島にゆかりのある人々とワークショップや対話を重ねながら、「誰かや何かについて考える」行為を軸としたパフォーマンスを共につくりあげていきました。
前田が漕ぐ筏に、7名のパフォーマーがそれぞれの雁木から乗船し、次の雁木で降りていく。その過程で生まれたパフォーマンスの記録は、全貌を一望できないスケールの映像や点描、オブジェ、手紙などによって再構成され、《かりのたより》という作品として展示されています。渡り鳥の雁が隊列を組み、先頭を交代しながら長い旅を続けるように、本作は、自然や歴史という大きな流れの中で、静かに誰かに便りを出し、時には誰かを頼りながら前へ進む私たちの関係性を、いまの広島の風景に重ねて映し出します。
※「雁の便り」プロジェクトについて
令和7年度大学における芸術家等育成事業「ひろしまアーツカレント 里山と川辺の複数種共有空間を開いて、ハイブリッドな学びの場を創発する」の一環として、広島市立大学の主催、リフレクティング・ヒロシマの企画・運営のもと実施された参加型のプロジェクトであり、参加者と共にワークショップや乗船パフォーマンスまで行われました。
今回展示する《かりのたより》は、このプロジェクトを通して生まれた作品です。ただし、作品を構成する映像や平面作品などの編集・制作、ならびに展示については、当館主催の「前田耕平|コスモレジデンス」展の一環として実施されたものであり、令和7年度「大学における芸術家等育成事業」には含まれません。