東京・品川の閑静な住宅街。その一画にあったかつての原邸。鬱蒼とした樹々の深い緑に囲まれたモダニズム建築を舞台に、1979年、原美術館はスタートしました。
現代美術に魅せられた創設者の原俊夫は、1970年代半ばより、自らの感性で作品を選び収集し続けています。可能なかぎり作家に会いに行き、親交を深めながら、一人のコレクターの視点に基づき集められたそれらは、世界のどこにもない、唯一無二のコレクションです。
「虹のつくり方」と題した本展では、そのコレクションの中から、1979~1990 年の原美術館の活動にスポットを当て、作品を展示します。仮に「原美術館創成期」と名付けるこの時期は、日本における現代美術館の先駆けとして現代美術の普及を目指し、世界的な作家の個展開催のほか、日本の若手作家に発表の場を提供する意欲的なグループ展「ハラ アニュアル」を開催しました(1980-1990年、全 10 回、出品作家 97 名)。さらに、1980年にジャン=ピエール レイノー、1989年に宮島達男が旧邸宅ならではの空間を活かした常設インスタレーションを制作し、原美術館らしさを特徴づける作品となって行きました。
1988年には、現代美術作品の大型化に伴い、新たな展示空間として群馬県渋川市に別館ハラ ミュージアム アーク、現在の原美術館ARCが開館しました。
当館を運営する財団の名称「アルカンシエール(Arc-en-Ciel)」は日本語で虹という意味です。また現館名である「原美術館ARC」の「ARC(アーク)」は、「Arc-en-Ciel」の綴りから引用したもの。人と人が、人種を越え、国境を越え、美術を通じて対等に交流する架け橋のような存在であるため、当館は今日まで走り続けています。
この展覧会を通じて、原美術館が原美術館“ARC”という虹に至るまでの軌跡を皆さまと一緒に辿ることができましたら幸いです。なお、本展「虹のつくり方」から始まり今後3年間、毎年春夏季に、原美術館開館以来の歴史を追う、収蔵作品を用いた展覧会を開催予定です。