『バンクス植物図譜』は、1768年から1771年のキャプテン・クックの第1回世界探検航海に科学班の責任者として同行したジョゼフ・バンクス卿(1743–1820)の指揮により、寄港先で採集した植物標本と現地で画家に描かせたスケッチや水彩画をもとに制作された植物図譜です。当初『バンクス植物図譜』はバンクス卿らの帰国後1771年から84年にかけて、収集した資料をもとに原版を彫り、あわせて掲載する研究論文を用意するなど出版に向けて準備が進められましたが、諸般の事情により発行には至りませんでした。しかし、原版作成から200年を経て、植物学はもちろん、科学や歴史における学術的価値が高いことから、1980年代に原版を用いた限定100セットの植物図譜が印刷されました。
国際基督教大学図書館は『バンクス植物図譜』の全743点を所蔵しており、1996年より順次展示紹介してきました。通算8度目となる今回は、航海の最初の寄港地であったマデイラ島、次のブラジル、そして最後の採集地となったジャワ島部分の植物画全64点を展示いたします。バンクス卿が活躍した18世紀後半は、ヨーロッパ大陸以外の新たな世界に対する関心の高まりを受けて、植物学の分野でも世界中の有用な新種の調査研究に情熱が傾けられました。その結果生まれた植物画のひとつの形を紹介できれば幸いです。またあわせて18–19世紀刊行の『ボタニカル・マガジン』(ICU図書館所蔵)から、図譜と同じ植物が描かれた植物画も数点ご紹介いたします。