シリーズ第一回目となる本展では、京都にゆかりの深い近現代の作家の作品を展覧致します。
明治以降、上代様の古筆が見直され芸術として書が評価されるようになり、京都では多くの文人や学者、書家が集まり、学芸としての書の研究と文化の発展に貢献するため平安書道会が創設されました。その平安書道会で、国学・漢学の学者であり歌人であった山本行範、京都帝国大学教授で国語・国文学を専攻した文学博士の吉澤義則、下御霊神社の神主で有職故実の第一人者であった出雲路敬通は、「昭和の平安三筆」と称されました。この三人ともが書家ではない能書家で、直接古筆から学び研究できる環境にあったことからも、長い歴史の蓄積の上に根ざした文化的、宗教的に豊潤な土壌があり、また京都帝国大学を中心とした学問の都である京都の風土を窺い知ることができます。
この山本行範、吉澤義則、出雲路敬通に加え、彼らに強い影響を受け、識者の間で古筆研究を高く評価された中野越南、各年代にわたり数々の名作を残した現代かな書の巨匠日比野五鳳、書だけでなく歌人としても活躍し自詠書を追い求めた谷邊橘南、さらにはこうした先人達の意思を継ぎ一層の進化発展を担う現代京都のかな書壇を代表する作家の作品をご鑑賞頂けます。王城千年の歴史を持つ京都における、近現代のかな書の歴史性・地域性を書作品から感じ取って頂ければ幸いです。