インターネットミュージアム
美術館・博物館・イベント・展覧会 インターネットミュージアム
  インターネットミュージアム  >  取材レポート  >  交流するやきもの 九谷焼の系譜と展開

交流するやきもの 九谷焼の系譜と展開

■開窯360年、古九谷から三代徳田八十吉まで
【会期終了】 石川県を代表する伝統工芸、九谷焼。明暦元年(1655年)に創始されてから、今年で360年を迎えました。古九谷から現代の作品まで116点でその歩みを辿る展覧会が、東京ステーションギャラリーで開催中です。
北陸新幹線開業の記念展でもある本展、石川県九谷焼美術館小松市立博物館能美市九谷焼資料館が所蔵する作品を中心に、九谷焼360年の全貌を展観する企画です。

展覧会はまず冒頭に、全6章の代表的な作品を並べました。九谷焼「五彩手」の五色(紺青、緑、黄、紫、赤)と、明治時代に加えられた「金襴手」の金色を各章のテーマカラーとし、床から壁に記されたラインで各章の見どころを紹介します。

展覧会の本編は、古九谷の紹介から。江戸前期に始まった九谷焼は、日本における最初期の色絵磁器のひとつです。古九谷には謎も多く、有田で焼かれた説が有力視されるなど、産地も含めて論争が続いています。

古九谷は50年ほどで断絶。約100年を経た後に、加賀藩によって九谷焼の再興が計られました。第2章では若杉窯で焼かれた日用雑器などが展示されています。


会場冒頭でのダイジェスト展示から、第1章「古九谷の魅力と謎」、第2章「再興九谷 新たな始まり」

再興九谷を代表するのが、豪商・豊田伝右衛門が私財を投じた吉田屋窯です。古九谷の伝統を踏襲しつつ、新しい画風も取り入れて高い評価を得た吉田屋窯。「古九谷」という呼称も、「九谷焼」と称した吉田屋窯の製品と区別するために呼ばれるようになったものです。

その吉田屋窯で最高の給金を得ていた名工が、粟生屋源右衛門。源右衛門は小野窯、松山窯などでも技術指導にあたり、後の九谷焼指導者となる人物を数多く育成しました。

源右衛門は陶磁とは思えない作品も多く手がけています。中でも《透彫葡萄棚香炉》は、竹の葡萄棚をリス、トンボ、カタツムリなどが彩る装飾性豊かなデザイン。エミール・ガレが活躍したアールヌーヴォーより半世紀も前に、日本でこのような陶磁が作られていたのです。


最も大きなスペースで紹介されている、第3章「再興九谷 吉田屋窯と粟生屋源右衛門」

明治時代に入ると、各窯業地では輸出向けの陶磁器が盛んに作られるようになります。九谷焼もその風を受けて、欧米向けの陶磁を量産。九谷庄三(くたにしょうざ)は西洋から入った顔料を取り入れた「彩色金欄手」を確立して人気を博し、九谷焼は明治20年には瀬戸や美濃を抜いて輸出陶磁首位に躍進しました。

この時期の九谷焼は、精緻な意匠が特徴的。小田清山による《御製細字高台付酒器》は、遠目ではグレーの模様に見える部分に、明治天皇の御製和歌1687首が書かれています。「細かな文字」などと言えないレベルで、どうやって書いたのか驚くばかりです。


第4章「九谷庄三と明治期の輸出陶磁」には、人気の"超絶技巧"がずらり

展示後半は、近・現代の九谷焼について。陶芸家として初めて文化勲章を受章した板谷波山が作陶を始めたのは、久谷焼に触れたのがきっかけ。人間国宝の富本憲吉も、昭和初期に九谷で色絵を学んでいます。

現代の九谷焼を代表するのが、三代徳田八十吉。釉薬で群青色の鮮やかなグラデーションを表現した個性的な器は、ご覧になった事がある方も多いのではないでしょうか。

記者内覧会当日には、能美市九谷焼資料館施設長の佐久間忍氏によるろくろ成形実演も実施されました。


第5章「近代の九谷焼」、第6章「現代の九谷焼 三代徳田八十吉」 会場出口で実演も

高い知名度を誇る九谷焼ですが、360年の歴史を通覧する展覧会は東京初開催です。ポイントを絞った構成で、華やかな九谷焼の世界をお楽しみいただけます。

ただ、あくまでもここで紹介されるのは九谷焼の一端。より深くその魅力を堪能したい方は、ぜひ石川県にお越しください。足はもちろん、北陸新幹線で。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2015年7月31日 ]

※会場の撮影は主催者からの許可を得ています。

ふでばこ 特別號 加賀ノ國九谷焼ふでばこ 特別號 加賀ノ國九谷焼

尾崎 正明 (監修)

白鳳堂
¥ 1,944


■九谷焼の系譜と展開 に関するツイート


 
会場東京ステーションギャラリー
開催期間2015年8月1日(土)~9月6日(日)
所在地 東京都千代田区丸の内1-9-1 JR東京駅 丸の内北口 改札前
TEL : 03-3212-2485
HP : http://www.ejrcf.or.jp/gallery/
展覧会詳細へ 交流するやきもの 九谷焼の系譜と展開 詳細情報
取材レポート
上野の森美術館「フェルメール展」
フェルメール展
東京都美術館「ムンク展 ― 共鳴する魂の叫び」
ムンク展
国立西洋美術館「ルーベンス展 ─ バロックの誕生」
ルーベンス展
国立新美術館「オルセー美術館特別企画 ピエール・ボナール展」
ピエール・ボナール
東京国立博物館「マルセル・デュシャンと日本美術」
M・デュシャン
東京国立近代美術館「アジアにめざめたら:アートが変わる、世界が変わる 1960-1990年代」
アジアにめざめたら
サントリー美術館「扇の国、日本」
扇の国、日本
出光美術館「江戸絵画の文雅 ― 魅惑の18世紀」
江戸絵画の文雅
三菱一号館美術館「フィリップス・コレクション展」
フィリップス展
国立科学博物館「明治150年記念 日本を変えた千の技術博」
千の技術博
Bunkamura ザ・ミュージアム「国立トレチャコフ美術館所蔵 ロマンティック・ロシア」
ロマンティック
21_21 DESIGN SIGHT「民藝 MINGEI -Another Kind of Art展」
「民藝」展
Gallery AaMo「バッドアート美術館展」
バッドアート美術館
森美術館「カタストロフと美術のちから展」
カタストロフと美術
前橋文学館「企画展「この二人はあやしい」」
この二人はあやしい
国立国際美術館「ニュー・ウェイブ 現代美術の80年代」
ニュー・ウェイブ
国立西洋美術館「ルーベンス展 ― バロックの誕生」
[エリアレポート]
ルーベンス展
上野の森美術館「フェルメール展」
[エリアレポート]
フェルメール展
大阪市立美術館「ルーヴル美術館展 肖像芸術 ――人は人をどう表現してきたか」
[エリアレポート]
ルーヴル美術館展
東京都美術館「ムンク展 ― 共鳴する魂の叫び」
[エリアレポート]
ムンク展
あべのハルカス美術館「生誕120年 イスラエル博物館所蔵 ミラクル エッシャー展」
[エリアレポート]
エッシャー展
東京ステーションギャラリー「吉村芳生 超絶技巧を超えて」
[エリアレポート]
「吉村芳生」展
東京都写真美術館「建築 × 写真 ここのみに在る光」
[エリアレポート]
建築 × 写真
国立科学博物館「明治150年記念 日本を変えた千の技術博」
[エリアレポート]
千の技術博
第3回 インターネットミュージアム検定
ミュージアグッズのオンラインショップ ミュコレ
2019年の展覧会予定(東京近郊・大阪近郊) 博物館・美術館の情報
皇室がご覧になった展覧会 博物館・美術館の情報
テレビでミュージアム 博物館・美術館の情報
エリアレポート(読者による取材記事) 博物館・美術館の情報
ニュース
一覧
東日本大震災・ミュージアム関連情報サイト MUSEUM ACTION
イベント検索ランキング
生誕110年 東山魁夷展 没後50年 藤田嗣治展 ルーベンス展 ー バロックの誕生 国立トレチャコフ美術館所蔵 ロマンティック・ロシア
江戸絵画の文雅 ―魅惑の18世紀 クリムト展 ウィーンと日本 1900 フェルメール展 ムンク展―共鳴する魂の叫び
博物館・美術館検索
ミュージアム干支コレクションアワード 干支コレクションアワード「猪」
いよいよスタートです
ミュージアムキャラクターアワード2018 ミュージアムキャラクターアワード
2018、グランプリは
「雷切丸くん」 でした
人気の展覧会 ブログパーツ アクセス数が多い展覧会を地域別にご紹介、ご自由にどうぞ。
刀剣乱舞(とうらぶ)に登場する刀たち 「刀剣乱舞-ONLINE-」に実装された刀、IM取材分をまとめました。
パートナーサイト 関連リンク集

             

博物館、美術館、展覧会の情報登録
博物館、美術館、展覧会に最適。広告のお問い合わせ
インターネットミュージアムへのお問い合わせ

Copyright(C)1996-2018 Internet Museum Office. All Rights Reserved.
ミュージアム・博物館・美術館の情報サイト[インターネットミュージアム]は、丹青グループが運営しています
協力/ (株)丹青研究所 、編集・制作/ (株)丹青社