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レポート
わが青春の「同棲時代」 上村一夫×美女解体新書展
弥生美術館 | 東京都
時代を創った劇画家
イラストレーターの卵・次郎と、広告会社のOL・今日子。純粋な愛の形として同棲を選んだふたりは、予期せぬ妊娠から破滅の道へ…。70年代初頭に「同棲時代」で時代を席巻した漫画家・上村一夫(かみむらかずお:1940~1986)の全貌を原画・資料など約500点で振り返る企画展が、弥生美術館で開催中です。
《漫画アクションコミックス「同棲時代」》など
「スポーツニッポン」に連載されたイラスト付きエッセイ「浮世絵シリーズ」1974年~1979年
(左から)《「ヤングコミック」表紙原画》1973年7月11日号 / 《「ヤングコミック」表紙原画》1973年9月1日号
(左から)《マリア VOL3 薔薇の男》「Weekly漫画アクション」1971年9月16日号 / 《マリア VOL12 少年期》「Weekly漫画アクション」1971年12月9日号
《赤とかげ 其ノ参 地獄の花吹雪》「週刊漫画TIMES」1975年8月2日号
《紅花牢》「漫画ボン」1972年5月
《悪の華 第4話 淫獣博覧会》「漫画エロトピア」1975年3月6日号
(左右ともに)《「素肌美人」資生堂広告ポスター》1980年
上村一夫さんは横須賀生まれ。思春期の頃にホステスが身近にいる五反田の花街で暮らしていた事が、後の創作にもさまざまな影響を与えました。

武蔵野美術大学ではデザインを学び、卒業後はイラストレーターとして活動。アルバイト先で出会った阿久悠とは、生涯を通じて親しく交わっています。

漫画家としてのデビューは1967年。アクションが主流だった劇画の世界で、男性の添え物的な役回りを強いられていた女性を抒情豊かに描き、注目を集めていきました。

本展でも、主役は女性です。上村さんの作品から美女50人が選ばれ、印象的なセリフとあわせて紹介されています。


「50人の美女」が並ぶ会場

上村さんの代表作といえば、もちろん「同棲時代」。一般の人には縁遠かった「同棲」を、若者の新しいライフスタイルとして示したこの作品は、時代の風を受けて圧倒的な共感を呼びました。

当初は10回程度の予定で始まった作品ですが、人気になったため80回の長期連載に。TVドラマ(演:梶芽衣子、沢田研二)、映画(演:由美かおる、仲雅美)にもなり、大信田礼子が歌った主題歌も大ヒットしています。


「劇画史に一時代を画した」と評される「同棲時代」

その画風から「昭和の絵師」「劇画界の竹久夢二」ともいわれた上村さん。上村さん自身も、好きな画家として葛飾北斎、小村雪岱とともに竹久夢二の名前を挙げています。

上村さんは「夢二 ゆめのまたゆめ」「菊坂ホテル」と、夢二を題材にした作品も2点描いています。実は「菊坂ホテル」第一話の扉絵に描かれた夢二の作品が、弥生美術館に隣接する竹久夢二美術館でちょうど展示中です。


夢二を題材にした作品も

会場では漫画の原画だけでなく、ポスターやレコードジャケット、雑誌の表紙原画なども紹介されています。

1985年の夏頃からは、大判のイラストも制作。将来の個展に備えた意欲的な下絵が展示されていますが、同年秋に入院した時には、すでに下咽頭癌がステージ4まで進行していました。翌年1月に死去、まだ45歳の若さでした。

映画「キル・ビル」の影響もあり(同作は上村さんの作品「修羅雪姫」映画版へのオマージュが随所に見られます)、近年は海外での評価も高まっている上村さん。特にフランスでは大きな賞を受賞するなど、絶大な指示を集めています。海外での出版物を見ると、横文字と上村さんの絵との意外な相性の良さにも驚きます。


海外での評価も高まっています

酒を愛し、フラメンコギターもセミプロ級と、誰からも好かれた上村さん。最盛期には月産400枚という驚異的なペースで傑作を量産しながらも、決して締切を破らない優等生でもありました。

会場に並ぶ作品には、いわゆる成人漫画に含まれるものもありますが、巧みな心理描写は同性の心にも響くのでしょうか。来館者は女性の姿も多いという事です。[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2016年1月5日 ]

上村一夫 美女解体新書上村一夫 美女解体新書

松本品子 (編集)、上村一夫 (イラスト)

国書刊行会
¥ 3,456


■上村一夫×美女解体新書 に関するツイート


 
会場
会期
2016年1月3日(日)~3月27日(日)
会期終了
開館時間
午前10時00分~午後5時00分(入館は午後4時30分までにお願いします)
休館日
月曜日 ※ただし、1月11日・3月21日(月祝)開館、翌1月12日・3月22日(火)休館
住所
東京都文京区弥生2-4-3
電話 03-3812-0012
公式サイト http://www.yayoi-yumeji-museum.jp/
料金
一般900円/大・高生800円/中・小生400円
(竹久夢二美術館もご覧いただけます)
展覧会詳細 わが青春の「同棲時代」 上村一夫×美女解体新書展 詳細情報
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