IM
レポート
特別展 国立劇場開場50周年記念 日本の伝統芸能展
三井記念美術館 | 東京都
伝統芸能の宝庫、ここにあり
各時代・各分野の芸能が伝承されている日本。伝統芸能を保存振興するため、1966年に開場したのが国立劇場です。ちょうど開場50周年を迎えたことを記念し、伝統芸能をテーマにした展覧会が三井記念美術館で始まりました。
(左から)《靫鉄砲蒔絵大鼓胴 銘「泰平丸」》伝折居 / 《楽器蒔絵小鼓胴》伝千草 ともに三井記念美術館
「文楽人形三人遣い」
《舞楽図屏風》日光山輪王寺
《古狂言後素帖》個人蔵
(左から)《五代目松本幸四郎》歌川豊国(初代) / 《大当狂言内 幡随長兵衛》歌川国貞(初代) ともに国立劇場
「文楽の人形首」すべて大江巳之助 国立劇場
(左から)《黒綸子地雪持松文様羽織・着付》六代目尾上菊五郎着用 / 《黒繻子地雪持竹南天雀文様打掛》五代目中村歌右衛門直用 ともに株式会社三越伊勢丹
「愛知県東栄町で開催される神事・花祭で使われる用具」東栄町(東栄町立花祭開館 保管)
豊かな伝統芸能が息づく日本。この国では政権の交代はあっても、革命は無かったとされており、世界でも稀なこの環境が文化的な継承を生み、「伝統芸能の宝庫」を醸成していきました。

芸能の本義は実演であるため、行為が終われば作品も終わり。いつでも見られる美術館の展示とは相反しそうですが、今回は芸能で使われる仮面・楽器・衣裳などや、芸能を描いた美術工芸品などで、伝統芸能の奥深さに触れていただこう、と企画されました。


展示室1

紹介されているのは雅楽/能楽/歌舞伎/文楽/演芸/琉球芸能・民俗芸能の6種。会場の都合もあって資料は混在して展示されていますが、キャプションが色別になっているので、何の資料か理解しやすいと思います。

屏風が揃って見ごたえがあるのが、展示室4。雅楽の舞である舞楽を絵画化した《舞楽図屏風》、歌舞伎のルーツである阿国(出雲の女性芸能者)を描いた《阿国歌舞伎図屏風》、中世以来の芸能地である《四条河原遊楽図屏風》などが紹介されています。


展示室4

人形浄瑠璃とも称される文楽。江戸時代の初期から続く、伝統的な人形劇です。

文楽の人形は三人で操る「三人遣い」です。主遣い(おもづかい)は首(かしら)と右手、左遣いは左手、足遣いは脚を操作。修行を積むと足、左、主遣いの順に進みますが「足十年、左十年」といわれるほど、長い修練が必要です。

現在使われている人形の首は、ほとんどが四代目大江巳之助(1907-97)によるものです。文楽座にあった首は戦災でことごとく焼失しましたが、四代目大江巳之助は戦後三年間で全種類の首を新調しました。文楽を支えた大功労者といえます。


文楽の展示

展示室6には、歌舞伎を描いた浮世絵がずらり。江戸時代のスターである歌舞伎役者を、ブロマイド感覚で世に広めたのが浮世絵です。名だたる浮世絵師による名作・傑作も数多く生まれました。

芝居小屋やの様子や舞台の名場面を描いた作品もありますが、ユニークなのが「楽屋錦絵二編」。舞台以外の役者の姿を描いたもので、現在なら「オフの貴重なプライベート写真」といったところです。


歌舞伎を描いた浮世絵

最後の展示室には、豪華な衣装が展示されています。三越(現三越伊勢丹)は衣裳部で貸衣装業を行っていた事があり、人気歌舞伎役者が着用した「由緒衣裳」を数多く所蔵しています。

七匹の個性豊かな鬼面は、兵庫・長田神社の追儺(ついな)式で使われるもの。「おにやらい」とも称され、節分の豆まきのルーツです。

民俗芸能のスケッチは、日本画家の片山春帆が大正~昭和にかけて取材したもの。戦前の琉球芸能の資料が沖縄戦で失われる中、昭和11年の「琉球芸能大会」を描いているのは貴重な記録です。


展示室7

幸いな事にこれらの伝統芸能は維持・継承されていますが、前述の琉球芸能のように、一端途切れそうになると、途端に危機に見舞われてしまうのが芸能の宿命。文楽を巡る大阪でのやりとりも記憶に残りますが、伝統芸能において短期的な視点での判断は危険です。

この展覧会も、引き継いできた想いにも意識を向けて、鑑賞していただければと思います。

[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2016年11月25日 ]



■日本の伝統芸能展 に関するツイート


 
会場
会期
2016年11月26日(土)~2017年1月28日(土)
会期終了
開館時間
10:00~17:00(入館は16:00まで)
休館日
月曜日休館 および2017年1月10日(火)休館、ただし2017年1月9日(月・祝)は開館 年末年始12月26日(月)~1月3日(火)は休館
住所
東京都中央区日本橋室町二丁目1番1号 三井本館7階
電話 03-5777-8600 (ハローダイヤル)
03-5777-8600 (ハローダイヤル)
公式サイト http://www.mitsui-museum.jp/
料金
一般 1,300(1,100)円/大学・高校生 800(700)円
中学生以下無料
※()内は20名以上の団体料金
※70歳以上の方(要証明)は1,000円
展覧会詳細 特別展 国立劇場開場50周年記念 日本の伝統芸能展 詳細情報
おすすめレポート
ニュース
ご招待券プレゼント
学芸員募集
展覧会ランキング
おすすめコンテンツ