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トーマス・ルフ展

■「写真家」に留まらない、ベッヒャー派の中心人物
【会期終了】 1990年代から現代の写真表現をリードしてきたトーマス・ルフ(1958-)。その作品は日本の美術館やギャラリーでもたびたび紹介されてきましたが、本格的な回顧展が日本の美術館で開催された事はありませんでした。ファン待望の展覧会が、東京国立近代美術館から始まりました。
トーマス・ルフは、デュッセルドルフ芸術アカデミーで、ベルント&ヒラ・ベッヒャー夫妻に学んだ「ベッヒャー派」。ベッヒャー夫妻は、給水塔や溶鉱炉などを客観的な視線で撮影し、機能種別に組み合せたタイポロジー(類型学)の作品で知られ、写真史に大きな変革をもたらすとともに、優れた後進を数多く育成しました。

ルフは、代表的なベッヒャー門下生のひとり。ちなみに2013年に大規模な展覧会が開催されたアンドレアス・グルスキーもベッヒャー派です。

展覧会は、デュッセルドルフ芸術アカデミー在学中の「Interieurs」(室内)、評価を高めた「Porträts」(ポートレート)をはじめ、最新作まで含む全18シリーズで構成。作品の選択はもちろん、展示構成もルフ自身が参加しています。


会場

「nudes」シリーズは1999年に誕生。ヌードの撮影はカメラの黎明期から始まっているため、「ヌード写真」は古典的といえるジャンルです。ただ、ネットの普及によって、その流通は大きく変化しました。

ルフの「nudes」シリーズは、ネット上に氾濫しているヌード画像を用いた作品です。元画像の色調を変えたり、ぼかしたり、細部を削除するなどさまざまな加工を施した結果、ヌードの痕跡はわずかです。


「nudes」シリーズ

ルフの最新作が、2015年から発表されている「press++」シリーズです。報道機関から入手した写真原稿の画像面と裏面をスキャンし、画像処理ソフトで1つの画面にしたものです。

中には読売新聞社から提供されたプレス写真を素材とした作品も。こちらは世界初公開となります。


「press++」シリーズ

近年はデジタルテクノロジーを積極的に活用しているルフ。写真も自身が撮影していない素材を用いたり(「nudes」「press++」など)、写真を用いない3Dプログラム使ったシリーズ(「zycles」)も進めており、その活動は「写真家」とは言い難いほどです。展覧会にあわせて来日した58歳のルフは精気にあふれており、この先がどこに向かうのかも楽しみです。

東京国立近代美術館での展示は、11月13日まで。東京展の後は、金沢21世紀美術館に巡回します(2016年12月10日~2017年3月12日)。

[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2016年8月29日 ]



■トーマス・ルフ展 に関するツイート


 
会場東京国立近代美術館
開催期間2016年8月30日(火)~11月13日(日)
所在地 東京都千代田区北の丸公園3-1
TEL : 03-5777-8600(ハローダイヤル)
HP : http://thomasruff.jp/
展覧会詳細へ トーマス・ルフ展 詳細情報
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