藤田美術館 外観

明治期に活躍した実業家、藤田傳三郎らが収集した美術品を展示・公開する藤田美術館（大阪）が、リニューアルオープンする。

明治時代における大阪財界の重鎮だった藤田傳三郎は、若い頃から古美術への造詣が深く、亡くなる直前まで熱心に古美術を収集。その意を汲んで息子の平太郎と徳次郎も収集を続け、1954年には藤田美術館が開館した。

現在は国宝9件、重要文化財53件を含む、約2,000件のコレクションを所有。中でも国宝《曜変天目茶碗》は、世界に3碗しか現存しない曜変天目茶碗のひとつとして名高い。

旧美術館は、藤田家邸宅の蔵を改装して再利用したものだったが、展示スペース不足などの問題があり、2017年6月から一時休館に。このたび、旧美術館と同じ立地で、新たな美術館が建設された。

新美術館は、旧館で使われていた扉や梁などの部材を各所に用いるなど、新しさの中にも旧館からの伝統と記憶を引き継いで設計。展示スペースは、稼働式の間仕切り壁面や、壁面としても利用できる展示ケースなど、随所に工夫が凝らされており、展覧会の内容によって柔軟に対応できる。

広々としたエントランス部には、美術館としては珍しくオープンキッチン形式の茶店「あみじま茶屋」も設置（2021年に先行オープン）。茶碗や盆は若手作家の作品を用いており、気軽に文化や芸術に接してもらう場になる事を目指している。

多くの人に鑑賞機会を提供するため、美術館は年末年始を除いて無休。また、未来を支える若い人たちこそ文化芸術を楽しんでもらいたいという気持ちから、19歳以下は入館無料とした。

リニューアルオープンは2022年4月1日（金）。開館記念の展覧会は「赤・朱　古今東西」「コレクターのコダワリ」「曜変天目の青、禅僧の黒」で、入館料は1,000円。

藤田美術館 展示風景

藤田美術館蔵 国宝《曜変天目茶碗》

藤田美術館 エントランスの土間

藤田美術館 茶店「あみじま茶屋」