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    レポート
    イサム・ノグチと長谷川三郎―変わるものと変わらざるもの
    横浜美術館 | 神奈川県
    異文化への敬意
    米国の彫刻家・イサム・ノグチ(1904-1988)と、日本の画家・長谷川三郎(1906-1957)。占領下の東京で出会ったふたりは固い友情で結ばれ、それぞれが刺激を受けあって創作に挑んでいきました。ふたりの交友に焦点を当てた展覧会が、横浜美術館で開催中です。
    イサム・ノグチ《庭の要素》1958 個人蔵
    (左から)長谷川三郎《蝶の軌跡》1937 京都国立近代美術館 / 長谷川三郎《柱》1940 学校法人甲南学園 長谷川三郎記念ギャラリー
    (左から)長谷川三郎《無題(木の拓刷)》1952年頃 ティア&マーク・ワッツ・コレクション / 長谷川三郎《無題》1952年頃 学校法人甲南学園 長谷川三郎記念ギャラリー
    (左から)イサム・ノグチ《鳥の歌》1952 イサム・ノグチ財団・庭園美術館(ニューヨーク) / 長谷川三郎《Non-Figure》1953 兵庫県立美術館年頃 / イサム・ノグチ《書》1957 イサム・ノグチ財団・庭園美術館(ニューヨーク)
    (左から)イサム・ノグチ《戦争》1952 一般財団法人草月会 / イサム・ノグチ《白夫人》1952 イサム・ノグチ財団・庭園美術館(ニューヨーク) / イサム・ノグチ《典礼》1952 ジャパン・ソサエティ
    (左から)イサム・ノグチ《幻想のカーテン》1952 / イサム・ノグチ《顔皿》1952 / イサム・ノグチ《女》1952 すべてイサム・ノグチ財団・庭園美術館(ニューヨーク)
    (左から)長谷川三郎《Eco Sum Via Verita》1955年頃 長谷川家コレクション / 長谷川三郎《蝶夢 ─ 荘子より》1956 長谷川家コレクション
    (左から)イサム・ノグチ《鉄瓶》1956 個人蔵 / イサム・ノグチ《エニグマ》1956-57 個人蔵
    (左から)イサム・ノグチ《身ごもる鳥》1958 / イサム・ノグチ《オルフェウス》1958 / イサム・ノグチ《石臼のヴァリエーション #2》1962 すべてイサム・ノグチ財団・庭園美術館(ニューヨーク)
    彫刻家としてだけでなく公園設計や舞台美術などでも活躍したイサム・ノグチと、日本における抽象絵画の先駆者・長谷川三郎。イサム・ノグチの展覧会は何度も開催されていますが、ふたりの関係を主軸にした展覧会は初めての試みです。

    長谷川三郎は1906年、山口県生まれ。小出楢重に油彩を学び、東京帝国大学では美術史を専攻。1936年から抽象的作品を描きはじめ、「自由美術家協会」の創立に関与。日本の前衛美術を牽引した一人です。

    一方のイサム・ノグチは1904年、ロサンゼルス生まれ。幼少期を日本で過ごした後、13歳で単身渡米。ブランクーシの助手を経て、1929年からニューヨークを拠点に彫刻家として活動をはじめました。

    1950年、ノグチは19年ぶりに来日。猪熊弦一郎(画家)、丹下健三(建築家)、剣持勇(デザイナー)ら多くの芸術家と交遊を持ちましたが、特に意義深かったといえるのが、長谷川三郎との出会いです。

    「古い東洋と新しい西洋」の関係に関心を抱いていたノグチと長谷川は、すっかり意気投合。日本美の本質を見極めるため、ふたりは連れ添って京都、大阪、奈良、伊勢を旅行しました。この旅行はノグチの活動に大きな影響を与えるとともに、長谷川にとっても日本美を再発見するきっかけとなりました。



    ふたりが交友を深めた1950年の日本は、連合国軍の占領下。日本の伝統を評価する動きは難しい時代でしたが、ふたりは臆する事なく「古い日本」の美に着目。単なる懐古趣味ではなく、当時求められていた抽象の精神を、日本の伝統の中から見出そうとしました。

    ノグチは日本で創作活動をはじめ、北大路魯山人の窯を自由に使う事を許された事から、陶芸に没頭。光の彫刻〈あかり〉シリーズも、この時期に誕生しました。

    一方の長谷川も、ノグチとの出会いがきっかけになって、芸術の国際交流の場で活躍する事となります。渡米してMoMAで講演、デュシャと交友、個展の開催と精力的に活動を続けますが、癌のため客死。わずか50歳でした。

    会場冒頭に展示されているノグチの作品は、その名も《雪舟》。ノグチは長谷川が所有する雪舟作《山水長巻》(複製)を見せてもらい、感服した経験がありました。前年に病没した親友へのオマージュ作品といえます。

    敵対する日本と米国に生まれた長谷川とノグチですが、互いの文化を尊重しあいながら、ともに自身を高めあっていきました。ふたりの広い視野と自由な精神は、隣国との関係にも苦慮している私たちの胸に響きます。

    展覧会は、イサム・ノグチ財団・庭園美術館(ニューヨーク)と横浜美術館による共同企画展。横浜展の後には、ノグチ美術館(ニューヨーク)、アジア美術館(サンフランシスコ)と米国の2館に巡回します。

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2019年1月11日 ]

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    晋遊舎(編)

    晋遊舎
    ¥ 1,080

     
    会場
    会期
    2019年1月12日(土)~3月24日(日)
    開館時間
    10:00~18:00
    (入館は閉館の30分前まで)
    休館日
    木曜日(2019年3月21日[木・祝]は開館)、3月22日(金)
    住所
    神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1
    電話 045-221-0300
    公式サイト https://yokohama.art.museum/
    料金
    一般 1,500円 / 大学・高校生 900円 / 中学生 600円 / 小学生以下無料
    展覧会詳細 イサム・ノグチと長谷川三郎―変わるものと変わらざるもの 詳細情報
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