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    レポート
    国芳の団扇絵 ―猫と歌舞伎とチャキチャキ娘
    太田記念美術館 | 東京都
    江戸の夏では定番アイテム、団扇に描かれた「団扇絵」だけを集めた展覧会
    歌川国芳による団扇絵220点がずらり。国芳の団扇絵だけの展覧会は史上初
    歌舞伎役者の団扇絵は現在の推しグッズ?美人画や戯画などジャンルも多彩

    日差しが厳しくなってきたこの季節。今ならハンディファンですが、江戸時代の夏は団扇が必需品でした。

    団扇絵は、団扇に描かれる浮世絵のこと。団扇は実用的なだけでなくお洒落アイテムでもあったため、人々の求めに応じて、さまざまな団扇絵が描かれました。

    江戸時代後期に活躍した浮世絵師・歌川国芳の団扇絵だけを集めた展覧会が、太田記念美術館で開催中です。


    太田記念美術館「国芳の団扇絵 ― 猫と歌舞伎とチャキチャキ娘」会場
    太田記念美術館「国芳の団扇絵 ― 猫と歌舞伎とチャキチャキ娘」会場


    展覧会は3章構成で、第1章は「戯画とさまざまな題材」。戯画は国芳が得意としたジャンルのひとつで、国芳は団扇絵でも多くの戯画を描いています。

    《道外忠臣蔵五段め》は「仮名手本忠臣蔵」五段目のパロディーです。国芳の団扇絵としては早いもので、本展で初紹介となる作品です。


    太田記念美術館「国芳の団扇絵 ― 猫と歌舞伎とチャキチャキ娘」会場より 《道外忠臣蔵五段め》天保1年(1830)
    《道外忠臣蔵五段め》天保1年(1830)


    《其うら同めんづくし》は、「めん」という言葉が付くものを集めたデザイン。ちりめん、もめん、そうめん、帳めんなどが描かれています。

    国芳は同じ版元から「流行面づくし」(天保13年)というさまざまなお面を集めた団扇絵を刊行しており、その裏面に貼ることを想定していた可能性もあります。こちらも初紹介作品です。


    太田記念美術館「国芳の団扇絵 ― 猫と歌舞伎とチャキチャキ娘」会場より 《其うら同めんづくし》天保後期(1840~44)頃
    《其うら同めんづくし》天保後期(1840~44)頃


    第2章は「役者絵」。浮世絵のなかで役者絵は美人画と並ぶ人気のジャンルで、役者を描いた団扇絵も数多く制作されました。江戸時代の歌舞伎ファンが役者の団扇絵を求めるのは、現代の「推し活」と同じような感覚だったのかもしれません。

    《当国三つの狩 葺かり・ほたりかり・川かり》は、野外での狩りとともに役者を描いた揃物です。描かれているのは左から順に、五代目沢村宗十郎、八代目市川団十郎、三代目岩井粂三郎です。


    太田記念美術館「国芳の団扇絵 ― 猫と歌舞伎とチャキチャキ娘」会場より 《当国三つの狩 葺かり・ほたりかり・川かり》弘化4~嘉永1年(1847~48)
    《当国三つの狩 葺かり・ほたりかり・川かり》弘化4~嘉永1年(1847~48)


    《濡髪長五郎 放駒長吉》は嘉永5年3月に河原崎座で上演された「双蝶々曲輪日記」が題材と思われる作品です。濡髪長五郎は八代目市川団十郎、放駒長吉は三代目嵐璃寛の似顔になっています。

    濡髪と放駒はともに力士で、二人が対峙する緊迫の場面です。


    太田記念美術館「国芳の団扇絵 ― 猫と歌舞伎とチャキチャキ娘」会場より 《濡髪長五郎 放駒長吉》嘉永5年(1852)3月
    《濡髪長五郎 放駒長吉》嘉永5年(1852)3月


    第3章は「美人画」。国芳が団扇絵で最も多く描いたのは美人画で、現存作品の約半数、およそ300点が美人画です。

    《当世三婦苦対》のシリーズ名は「三幅対」をもじったもの。背景に描かれている今戸人形は、三福神、狐拳(狐・庄屋・猟師)、カ土2人と行司で、すべて3つで一対になっています。


    太田記念美術館「国芳の団扇絵 ― 猫と歌舞伎とチャキチャキ娘」会場より 《当世三婦苦対 湯あがり・遊女》天保4年(1833)
    《当世三婦苦対 湯あがり・遊女》天保4年(1833)


    《遊女》に描かれているのは、豪華な髪飾りから高位の遊女とわかります。天保13年6月の町触(まちぶれ)で遊女を描くことが禁じられているため、その前後に制作されたものと思われます。


    太田記念美術館「国芳の団扇絵 ― 猫と歌舞伎とチャキチャキ娘」会場より 《遊女》天保13年(1842)頃
    《遊女》天保13年(1842)頃


    《美立 吼噦》の吼噦(こんかい)は、狂言「釣狐」(つりぎつね)のこと。猟師に一族を釣り取られた老狐の物語で、題名の枠には狐釣りの罠が意匠化されています。


    太田記念美術館「国芳の団扇絵 ― 猫と歌舞伎とチャキチャキ娘」会場より 《美立 吼噦》嘉永2年(1849)
    《美立 吼噦》嘉永2年(1849)


    国芳の団扇絵だけをご紹介する展覧会は、本展がはじめて。約100点の初紹介作品を含めて、前後期あわせて220点を紹介。全ての作品が展示替えされます。

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2024年5月31日 ]

    ※画像はすべて前期展示

    《絵鏡台合かか身 猫》天保13年(1842)頃
    《野馬台詩を読む吉備真備》天保~弘化初期(1830~44)頃か
    《女扇姿まま ねかひかありさう》弘化2~3年(1845~46)頃
    《東都三大橋の内 大川橋・日本橋・両国橋》嘉永6年(1853)3月
    会場
    太田記念美術館
    会期
    2024年6月1日(土)〜7月28日(日)
    もうすぐ終了[あと3日]
    開館時間
    10時30分~17時30分(入館は17時まで)
    休館日
    6月3、 10、 17、 24、 26-28, 7月1、8、16、22日
    住所
    〒150-0001 東京都渋谷区神宮前1-10-10
    電話 050-5541-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/
    料金
    一般 1000円 / 大高生 700円 / 中学生(15歳)以下 無料
    展覧会詳細 国芳の団扇絵 ―猫と歌舞伎とチャキチャキ娘 詳細情報
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