IM
    レポート
    クリスチャン・ボルタンスキー ― Lifetime
    国立新美術館 | 東京都
    逃れようがない、日常的な「死」
    ポートレート、電球、衣類…。モチーフを組み合わせて、集団や個人の記憶、そして宗教や死にまつわる作品を発表してきたクリスチャン・ボルタンスキー(1944-)。独特の世界は高く評価され、現代のアートシーンを代表する美術家のひとりです。日本では過去最大規模の展覧会が、国立新美術館で開催中です。
    (中央)《ぼた山》2015年
    (手前)《青春時代の記憶》2001年
    《ヴェロニカ》1996年
    《幽霊の廊下》2019年
    (左から)《死んだスイス人の資料》1990年 / 《聖遺物箱(プーリム祭)》1990年
    《三面記事》2000年
    (下中央)《モニュメント》1986年 / (上)《皺くちゃのモニュメント》1985年
    《黄昏》2015年
    《その後》2013年
    第二次世界大戦の最中、解放されたばかりのパリで生まれたボルタンスキー。名前から分かるように父はユダヤ系で、告発から逃れるため隠れて生活するなど、複雑な境遇で育ちました。

    13歳の時に作ったオブジェを兄に褒められた事をきっかけに、アーティストの道に進みました。当初は具象絵画を描いていましたが、限界を実感して断念。映画制作に方針を転換します。

    1968年に短編映画と、映画で使った人形(ひとがた)を用いたインスタレーションを発表。翌年には兄が主人公を演じた《なめる男》《咳をする男》を制作しました。本展の会場冒頭では、この映像作品も紹介されています。

    1970年代からは、写真を用いた作品を発表。1972年にはドイツのカッセルで開かれた国際現代美術展のドクメンタに参加し、国際的に活動していきます。

    1988年の巡回展「暗闇のレッスン」は、ボルタンスキーの転機といえます。金属フレームに入った子どもの写真と白熱電球による〈モニュメント〉シリーズや、影絵の手法を利用した《影》など、今日のボルタンスキーを代表する作品が登場しました。



    ボルタンスキーの作品は、しばしば「死」が感じられます。新聞の死亡告知欄に掲載された人の写真を集めた作品のほか、展覧会の会期中に電球が順に消え、最後には真っ暗になる作品《黄昏》も、死に向かっての時間を意味しています。

    ユダヤ系という出自もあり、どうしてもその表現はホロコーストと結び付けたくなりますが、必ずしも一致していません。前述の新聞の死亡写真も、戦争や死のイメージからは遠い、スイス人の写真です。

    虐殺のような特別な出来事ではなく、誰にでも必ず訪れ、逃れようがない日常的な「死」。静かな表現の中から、漆黒の闇が迫ってくるようです。

    ボルタンスキーは、展覧会の会場全体をインスタレーションとして捉えています。今回も、高い天井高も含め、国立新美術館の広い空間を見事に使いました。ダイナミックな場面転換も、展覧会の大きな見せ場です。

    日本でボルタンスキーは以前から人気が高く、「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」には第1回(2000年)から参加。近年も2016年に東京都庭園美術館で個展を開催し、2006年には高松宮殿下記念世界文化賞を受賞しています。

    今夏の六本木は、現代美術の大型展が両立しており、ほぼ同時期に森美術館で「塩田千春展:魂がふるえる」が開催(6/20~10/27)されます。現代美術好きには、暑い夏になりそうです。

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2019年6月11日 ]

    ※写真、映像はすべて「クリスチャン・ボルタンスキー ― Lifetime」展 2019年 国立新美術館展示風景


    料金一般当日:1,600円
     → チケットのお求めはお出かけ前にicon

     
    会場
    国立新美術館 企画展示室2E
    会期
    2019年6月12日(水)~9月2日(月)
    開館時間
    <企画展>
    10:00~18:00
    ※毎週金・土曜日は20:00まで夜間開館します
    ※入場は閉館の30分前まで
    <公募展>
    10:00~18:00
    ※美術団体によって、異なる場合があります。
    ※入場は閉館の30分前まで
    休館日
    火曜日
    住所
    東京都港区六本木7-22-2
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト https://boltanski2019.exhibit.jp
    料金
    一般 1,600(1,400)円 / 大学生 1,200(1,000)円、高校生 800(600)円 / 中学生以下は入場無料

    ※ 障害者手帳をご持参の方(付添の方1名含む)は入場無料
    ※ ( )内は前売券および20名以上の団体料金
    展覧会詳細 クリスチャン・ボルタンスキー ― Lifetime 詳細情報
    展覧会ランキング
    国立西洋美術館 | 東京都
    ロンドン・ナショナル・ギャラリー展
    開催中[あと98日]
    2020年6月18日(木)〜10月18日(日)
    熊本城ホール | 熊本県
    特別展 ミイラ「永遠の命」を求めて
    開催中[あと55日]
    2020年5月21日(木)〜9月5日(土)
    国立新美術館 | 東京都
    古典×現代2020―時空を超える日本のアート
    開催中[あと43日]
    2020年6月24日(水)〜8月24日(月)
    静岡県立美術館 | 静岡県
    みんなのミュシャ
    開催中[あと56日]
    2020年7月11日(土)〜9月6日(日)
    東京国立博物館 | 東京都
    特別展「きもの KIMONO」 
    開催中[あと42日]
    2020年6月30日(火)〜8月23日(日)
    おすすめレポート
    IM レポート
    細見美術館 | 京都府
    春画展(前期)
    IM レポート
    IM レポート
    IM レポート
    PLAY! MUSEUM | 東京都
    「PLAY! MUSEUM」がオープン
    読者 レポート
    大分県立美術館 | 大分県
    坂茂建築展
    学芸員募集
    石川県教育委員会事務局職員(埋蔵文化財専門調査員)募集(R3.4採用) [文化財課、金沢城調査研究所、石川県埋蔵文化財センターなど]
    石川県
    令和2年度吉野ヶ里町職員(文化財保護主事)採用統一試験のお知らせ [吉野ヶ里町役場]
    佐賀県
    短時間勤務特別雇用職員(文芸企画員1名)募集 [三鷹市山本有三記念館]
    東京都
    熊谷市一般職の任期付職員(遺跡発掘調査員)の募集 [熊谷市江南文化財センター、池上遺跡(熊谷市池上地内)等]
    埼玉県
    美術館内諸業務 マネージャー候補 [清春芸術村]
    山梨県