1995年に皆川 明によって設立され、30年を迎えたファッション・テキスタイルブランド「ミナ ペルホネン」。オリジナルのテキスタイルと手作業を基盤に、ファッションから生活雑貨、インテリア、家具までを手がけ、幅広い世代から支持されているブランドです。
「ミナ ペルホネン」の手仕事とデザインの思想を紹介する「つぐ minä perhonen」が世田谷美術館で開催中です。会場は「chorus」、「score」、「ensemble」、「humming」、「voice」、「remix」のテーマに分かれて構成されています。テキスタイル・デザインのための原画や服飾、暮らしを彩る品々まで、ミナ ペルホネンの表現を網羅することができます。

「chorus」展示風景
ミナ ペルホネンは、これまで生地からデザインをして洋服をつくる姿勢を貫いてきました。これまでにデザインされたテキスタイルの図案は1,000種類にも及びます。
「score」では、ミナ ペルホネンのクリエイションの根幹といえるテキスタイルとそのプロセスが並ぶ展示が展開されています。ここでは、そのいくつかをご紹介します。

「score」展示風景
切り絵による図案を制作する際に、切り抜かれたあとの大量の紙片に目を向けた「surplus」。意図的ではなく、無意識に作られた形を拾い上げて再構成した図案は、7版ものプリントスクリーンを丁寧に重ねて表現されています。

「surplus」
「tambourine(タンバリン)」は、小さな粒がさまざまに重なり、連なってできた、シンプルながらインパクトを残すデザインです。2000年の秋冬コレクションで発表されて以来、繰り返し登場し、ブランドを代表するデザインになりました。
異なる個性が集まりながら、社会をつくり、共生するという考えも意味する「tambourine」は、輪の形状を楕円型にした「tarte(タルト)」やモチーフを花に置き換えた「anemone(アネモネ)」などのデザインへと派生していきました。

「tambourine」
動植物や幾何学的な文様がひし形のパターンの中に展開しているのは「symphony」です。手書きによる揺らぎが生じることで素朴な味わいが生まれています。一つのデザインから複数の技法や素材に発展している、ブランドの特徴といえるテーマです。

「symphony」

「pot-au-feu」「symphony」「swing camellia」
ミナ ペルホネンのアトリエでは日々、思索と試作が繰り返されながら新たなデザインや企画が生まれています。打合せを重ねるスタッフのやりとりや手作業の音などアトリエの日常を感じさせるインスタレーションも展開されています。

ミナ ペルホネンのアトリエ インスタレーション「fumming」
ミナ ペルホネンの作品作りは、刺繍、プリント、織の3つの技術によって成り立っています。国内の工場でデザイナーが手作業で描いた図案を、職人が読み解き、デザイナーと試行錯誤しながら技術を駆使してかたちが生まれます。「ensemble」では、機械と道具、人の想いによって生まれる調和、アンサンブルを感じることができます。

「ensemble」
会場は2階へと続きます。着る人にとって「特別な日常服」となる一着を作り続けるミナ ペルホネンは、流行に左右されることなく、世代を超えて長く着用されることを見据えた丁寧なものづくりを行っています。新作のテキスタイルもワンシーズン限りのものではなく、繰り返し新たなアイテムとして生まれ変わっているのもブランドが幅広く支持されている所以といえます。
ブランドの設立当初から修繕やお直しを行ってきましたが、展覧会では時間の経過とともに修繕が必要になった服に新たなデザインを加える、公募制のプロジェクトも企画されました。会場では、応募者と服にまつわるエピソードやリクエスト、そしてそれに対してどのようなリメイクが施されたのかを知ることができます。

「remix」

「remix」
「せめて100年つづくブランドに」という思いからスタートしたミナ ペルホネン。数々の作品からは、手仕事と対話を重ねながら、ものづくりを続けてきた姿勢が伝わってきます。その歩みは、これからも受け継がれていくように感じられました。
展覧会はこの後、長野、熊本、富山、栃木へ巡回予定です。