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レポート
未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命 ― 人は明日どう生きるのか
森美術館 | 東京都
未来は明るいのか、それとも…
森美術館で開催中の展覧会ですが、いわゆる“美術展”とは少し異なります。最先端のテクノロジーとその影響を通じて、近未来の社会や人間のあり方を考える企画。領域を超えた100点超の作品が、所狭しと並びます。
山梨知彦+Loose Interface プロジェクト・チーム(日建設計)《Loose(ルーズな) Interface(インターフェイス):もう一つの世界の誕生と、ティンバー・インターフェイスの可能性》2019年
ミハエル・ハンスマイヤー《ムカルナスの変異》2019年
エコ・ロジック・スタジオ《H.O.R.T.U.S. XL アスタキサンチン g》2019年
エイミー・カール《「インターナル・コレクション」シリーズ》2016-2017年
パトリック・トレセ《ヒューマン・スタディ #1、5 RNP》2012-2018年
アギ・ヘインズ《「変容」シリーズ》2013年
メモ・アクテン《深い瞑想:60分で見る、ほとんど「すべて」の略史》2018年
東京大学 池上高志研究室、大阪大学 石黒浩研究室、ジュスティーヌ・エマール、渋谷慶一郎《オルタ3》[展示期間:11/19~12/25]

多様な切り口で現代美術を紹介してきた森美術館。これまでも「医学と芸術展」(2009-2010年)、「宇宙と芸術展」(2016-2017年)など、美術と科学を組み合わせた展覧会を開催してきました。


今回は、ずばり「未来」がテーマ。AIやバイオ技術など最先端テクノロジーから影響を受けた作品を、5つのセクションで紹介していきます。


1章は「都市の新たな可能性」。都市が抱えるさまざまな問題に対応するため、これまでの枠組みを超えた都市の姿が提示されています。


《江戸のエデン》は、2200年の東京がテーマ。旧市街地は温暖化で海面下に沈み、その上に再び都市が構築されます。


《2025年大阪・関西万博誘致計画案》は、万博招致を勝ち取ったプランを、未来都市のあり方として再構成したもの。模型の前の2カ所でARを楽しめます。



2章は「ネオ・メタボリズム建築へ」。黒川紀章らが1960年代に提言したメタボリズム。有機的に成長する都市や建築を、現代の目線で再び示します。


《H.O.R.T.U.S. XL アスタキサンチン g》は、展覧会のメインビジュアル。埋め込まれた微細藻類が効率よく光合成できるように計算された形が、3Dプリントで出力されています。


白いオブジェのように見える《気分の建築》は、集合住宅のプラン。聞き取り調査などで住人の深層心理を収集して数値化。個人の要望を満たす理想の建築を生み出します。


3章は「ライフスタイルとデザインの革新」。白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫の「三種の神器」を出すまでもなく、技術の進歩は暮らしに大きな変化をもたらします。


《インターナル・コレクション》シリーズは、人間の神経系など、体内組織をテーマにしたドレス。作家自身が皮膚形成不全を患っていました。


《エンタテインメントロボット aibo》は、ご存じソニーの愛玩ロボット。極めて高性能ですが、実用性から離れ、人を楽しませる事が目的になっているのは、ロボットにおける革命ともいえます。


4章は「身体の拡張と倫理」。人々の身体に関わる技術は、倫理的な問題に直面する事もあります。


ぎょっとする子どものモデルは《変容》シリーズ。スポーツ分野で成功するため、空気力学に優れた、尖った鼻の新生児。子どもをデザインする事は、どこまで許されるのでしょうか。


展覧会の目玉のひとつが《シュガーベイブ》。フィンセント・ファン・ゴッホの玄孫の軟骨細胞を用いて、ゴッホが切り落とした左耳を「生きた状態」で再現しました。


5章は「変容する社会と人間」。発達したテクノロジーは、公共とプライバシーの関係など、微妙な問題にも及びます。


《ズーム・パビリオン》は参加者の顔を検出して追跡する、ビデオインスタレーション。監視社会そのものを意識させます。


展示期間が過ぎてしまいましたが《オルタ 3》は強烈なインパクト。機械がむき出しで、上半身だけのアンドロイド。異様な声を発しながら鑑賞者に反応するさまは、得体のしれない恐ろしさを感じます。


全体的に明るさよりも、ダークな未来をイメージさせる作品が印象的でした。「ロボットに支配されるなんて、SFじゃあるまいし」と、思っていないでしょうか。あなたが自分で選んだと思っているレストランは、AIが検索サイトで上位に出しているだけです。


[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2019年11月18日 ]


未来と芸術 Future and the Arts (単行本)未来と芸術 Future and the Arts (単行本)

森美術館 (監修)

美術出版社
¥ 3,520

会場
会期
2019年11月19日(火)~2020年3月29日(日)
会期終了
開館時間
月・水~日曜日10:00~22:00
火曜日 10:00~17:00
(いずれも最終入館時間は閉館の30分前まで)
*展覧会により変更する場合がございます。
*最新情報は、美術館のウェブサイトをご確認ください。
休館日
会期中無休
住所
東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階
電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
03-5777-8600(ハローダイヤル)
公式サイト https://www.mori.art.museum/
料金
一般 1,800円 / 学生(高校・大学生)1,200円 / 子供(4歳~中学生)600円 / シニア(65歳以上)1,500円
展覧会詳細 未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命―人は明日どう生きるのか 詳細情報
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