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    レポート
    ピーター・ドイグ展
    東京国立近代美術館 | 東京都
    現代の「画家の中の画家」
    【6/12から再開、会期延長】英国出身の画家、ピーター・ドイグ(1959-)。どこかで見たことのあるようなイメージを用いながら、独自の世界を描いた作品は、オークションで高額で落札されるなど、現在のアートシーンの最前線を走っています。日本初となる大規模展が、東京国立近代美術館で開催中です。
    (左から)ピーター・ドイグ《若い豆農家》1991年 ヴィクトリア・アンド・ウォレン・ミロ / ピーター・ドイグ《ロードハウス》1991年 ヤゲオ財団コレクション、台湾
    ピーター・ドイグ《街のはずれで》1986-88年 作家蔵
    (左から)ピーター・ドイグ《プロッター》1993年 リバプール国立美術館 ウォーカー・アート・ギャラリー / ピーター・ドイグ《スキージャケット》1994年 テート
    (左から)ピーター・ドイグ《エコー湖》1998年 テート / ピーター・ドイグ《カヌー=湖》1997-98年 ヤゲオ財団コレクション、台湾
    (左から)ピーター・ドイグ《山の風景のなかの人物(アイ・ラブ・ユー、ビッグ・ダミー)》1999年 個人蔵 / ピーター・ドイグ《ペリカン(スタッグ)》2003年 個人蔵 / ピーター・ドイグ《オーリンMKⅣ Part2》1995-96年 ヤゲオ財団コレクション、台湾
    (左から)ピーター・ドイグ《夜のスタジオ(スタジオフィルムとラケット・クラブ)》2015年 個人蔵 / ピーター・ドイグ《ピンポン》2006-08年 ローマン家
    (左から)ピーター・ドイグ《赤い男(カリプソを歌う)》2017年 マルグリッド・スティード・ホフマン / ピーター・ドイグ《水浴者(カリプソを歌う)》作家およびマイケル ヴェルナー・ギャラリー、ニューヨーク/ロンドン
    (左から)ピーター・ドイグ《夜の水浴者たち》2019年 作家蔵 / ピーター・ドイグ《花の家(そこで会いましょう)》2007-09年 ニューヨーク近代美術館
    (左から)ピーター・ドイグ《ブルーベルベット》2003年 ヴィーホフ・コレクション / ピーター・ドイグ《カビリアの夜》2003年 ヴィーホフ・コレクション
    過去の巨匠になぞらえて「画家の中の画家」とも評されるピーター・ドイグ。本展は初期から最新作まで72点で、その歩みをたどります。

    展覧会は3章構成で、1章「森の奥へ 1986年~2002年」から。ピーター・ドイグはスコットランドのエジンバラ生まれ。幼少期はカリブ海の島国トリニダード・トバゴとカナダで育っており、その影響は後年の作品から感じることができます。

    ロンドンで美術を学び、カナダで舞台美術などの仕事をしながら絵画を制作。再びロンドンに戻って、90年にチェルシー・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインで修士号を取得しました。

    本展は、かなり早い時期の作品も出展されているのも特徴的。冒頭の《街のはずれで》は、全く無名だった時代の作品です。ムンクを思わせる奇妙なかたちの樹木、男は友人をモデルにしています。



    90年代の英国は、当時若手だった現代美術家が、ヤング・ブリティッシュ・アーティスト(YBAs)として注目を集めていた時期。

    ダミアン・ハースト(1965-)によるホルマリン漬けの動物、トレイシー・エミン(1963-)によるコンドームが散らかるベッドなど、センセーショナルな立体作品に比べると、ドイグの絵画は地味にも思えます。

    この時期のテーマは、主にカナダの風景です。ただ、映画や広告などからイメージを参照して描いているため、実際の風景とは距離があり、どこか不気味な印象を抱かせます。

    1992年に英国の美術雑誌「フリーズ」(frieze)で作品が取り上げられたのに続き、94年にはターナー賞にノミネートされた事で、一躍トップランナーに。

    《のまれる》は1990年の作品。2015年のクリスティーズ・オークションで、約2,600万米ドル(当時約30億円)で落札されました。

    第2章は「海辺で 2002年~」。ドイグは2000年にトリニダード・トバゴでの滞在制作に招待された後、2002年には同所で本格的な活動を開始。幼い頃に暮らしたこの島国で、制作に没頭していきます。

    「島国での制作」から、タヒチ時代のゴーギャンと比較される事がありますが、ゴーギャンと違い、ドイグはこの島国を理想郷として捉えているわけではありません。トリニダードで日常的に目にするモチーフも使いますが、全く関係ないイメージも重ねながら、作品を練りあげています。

    この時期から、海辺の風景がモチーフに。また画面も、厚塗りから薄塗りに変化していきます。

    前章の《のまれる》を含め、多くの作品に登場するモチーフがカヌー。映画「13日の金曜日」(第1作)の、主人公がカヌーの上で襲われるシーンからの着想です。不穏な気配は、映画の影響もあるのでしょうか。

    第3章は「スタジオフィルムクラブ ─コミュニティとしてのスタジオフィルムクラブ 2003年~」。

    スタジオフィルムクラブとは、ドイグのスタジオで定期的に開催されていた映画の上映会。誰でも無料で参加でき、上映の後は懇談や音楽ライブになる、文化的サロンのようなプロジェクトです。

    ドイグは近隣住人などに上映会を周知するため、ドローイングを制作。一般的な映画ポスターに見られる説明はなく、ここでも独特の世界観を見ることができます。

    若い方の関心を集めそうな展覧会で、会場は撮影も自由です(フラッシュ、三脚、自撮り棒、接写、動画は不可)。巡回はせず、東京のみでの開催となります。

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2020年2月26日 ]

    Peter Doig (Rizzoli Classics) Peter Doig (Rizzoli Classics)

    Peter Doig (著), Richard Shiff (著), Catherine Lampert (著)

    Rizzoli; Revised, Updated版
    ¥ 7,128

     
    会場
    会期
    2020年2月26日(水)~10月11日(日)※会期延長
    開館時間
    10:00~17:00(入館は16:30まで)
    ※金曜・土曜は20:00まで開館(入館は19:30まで)
    休館日
    月曜日(ただし8月10日,9月21日は開館)、8月11日,9月23日
    住所
    東京都千代田区北の丸公園3-1
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト https://peterdoig-2020.jp/
    料金
    一般 1,700円 / 大学生 1,100円 / 高校生 600円
    展覧会詳細 ピーター・ドイグ展 詳細情報
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