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レポート
紙漉図絵 ~絵巻・和本にみる紙漉工程~
紙の博物館 | 東京都
秘伝だった「紙漉き」のわざ
長い歴史がありながら「紙を漉く」ことを題材にした図絵はごく僅かです。東京・王子の紙の博物館で、絵巻や和本に描かれた紙漉きの様子を紹介する展覧会が開催中です。
江戸・明治時代の紙漉図絵
紙漉きの全工程が図解された最初の書物「紙漉大概」
描かれた人物もユニークな「紙漉重宝記」
中央の腰を屈めた女性が「こしがいたァ」
巻末の検品の模様が厳しい「製紙勤労之図」
有名な紙漉きの美人画「風流職人尽 紙漉」
富田渓仙が描いた「越前紙漉之巻」
常設展示「第3展示室 紙の歴史」
取材は4月3日。桜が咲き始めていました
紙漉きは中国で生み出され、日本には飛鳥時代に伝来しました。紙漉きの工程が書かれた最古の文献は、927年の「延喜式」。以降、江戸時代まで文字・図絵の紙漉き工程はほとんど記録されていません。

これにはいくつかの理由がありますが、ひとつには紙漉きの技法が地方や家ごとに異なり、独自の工夫は門外不出の秘術であったためとも言われています。


紙漉きの全工程が図解された最初の書物「紙漉大概」

紙漉きの全工程が図解された最初の書物は、1784年の「紙漉大概」。肥前国唐津藩の軍師が描いたもので、楮(こうぞ)刈りから紙干しまでの工程が、彩色をした図絵で説明されています。

展覧会では6章にわたり、江戸・明治時代の絵巻や和本から、さまざまな紙漉きの図絵が紹介されています。


海外でも翻訳された「紙漉重宝記」

1798年に初版が発行された「紙漉重宝記」は、紙漉きの苦労が庶民にも分かるように図解された刊本。腰をかがめて作業する女性が「こしがいたァ」とつぶやくなど、マンガのような構成はユニークです。

この紙漉重宝記は後に英語・ドイツ語・フランス語などに翻訳され、海外でも紹介されています。


江戸末期に描かれた「製紙勤労之図」

江戸末期に描かれた「製紙勤労之図」は、津和野藩の絵師・山本琴谷が描いたもの。紙の専売制を取り入れていた津和野藩は、納品された紙を厳しく検査しており、絵巻にも厳しい品質検査の様子が描かれています。

その他にも、和紙を革新に導いた土佐の吉井源太、富田渓仙が描いた昭和初期の絵巻なども展示。紙の歴史ともリンクしていますので、常設展もあわせてご覧いただくことをおすすめします。

 

最後に、紙の博物館についてもご紹介しましょう。

桜の名所としても名高い飛鳥山公園にある、紙の博物館。王子はわが国の洋紙発祥の地で、1950年に開館後、1998年に現在の場所に移転オープンしました。

常設展示では、紙の歴史や現代の製紙産業などについて紹介。古今東西の紙に関する資料を幅広く収集・保存・展示する世界有数の紙の総合博物館です。毎週土・日には、牛乳パックの再生原料を使った紙すき教室も実施しています。


常設展示「第3展示室 紙の歴史」

すぐ近くには北区飛鳥山博物館、渋沢史料館があり、「飛鳥山3つの博物館」で三館共通券も発行しています。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2012年4月3日 ]


 
会場
会期
2012年3月17日(土)~5月27日(日)
会期終了
開館時間
10:00~17:00(入館16:30まで)
休館日
月曜日(祝日の場合は開館)、祝日直後の平日、年末年始、臨時休館日
住所
東京都北区王子1-1-3 (飛鳥山公園内)
電話 03-3916-2320
公式サイト http://www.papermuseum.jp/
展覧会詳細 紙漉図絵 ~絵巻・和本にみる紙漉工程~ 詳細情報
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