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レポート
生誕100年 松本竣介展
神奈川県立近代美術館 葉山 | 神奈川県
36歳で早世、都会を愛した洋画家
戦前から画壇で活躍し、大戦中は軍による芸術への干渉に抗議する文を美術誌に発表したことでも知られる、洋画家の松本竣介。生誕100年を記念した展覧会が、神奈川県立近代美術館 葉山で開催されています。
会場。左は《立てる像》
会場入口
青い風景の作品が続く
右は《街にて》。女性を中心に街の風景をモンタージュのようにあしらった代表作のひとつ
右は《画家の像》。《立てる像》の前年(1941年)に描かれた
街の風景画。戦時下を思わせる暗い配色。
繰り返し描かれた《Y市の橋》。モデルとなった横浜の月見橋は、取り壊しが決まった
女性の肖像。左は《A夫人》
妻と共同で創刊した雑誌「雑記帳」
松本竣介は1912(明治45)年に東京で生まれ、岩手で育ちました。病気で聴力を失った後は、将来の道を画家に定めて上京。1935(昭和10)年に二科展で初入選、以後も精力的に大作を発表し、着実に美術界で頭角を現していきます。

戦後はキュビスムなどの新境地にも意欲を見せますが、1948(昭和23)年に気管支喘息で死去。まだ36歳の若さでした。


会場入口から

会場の冒頭に掲げられているのは「私は今、街の雑踏の中を原っぱを歩く様な気持で歩いてゐる」。都会を愛していた竣介を象徴する文章です。

会場構成は4章
  1:前期
  2:後期・人物
  3:後期・風景
  4:展開期

自身が撮影した写真、知人や家族に宛てた手紙、妻と共同で創刊した雑誌「雑記帳」などの関連資料も豊富に紹介し、人間・松本竣介を深く掘り下げます。


会場「2:後期・人物」

冒頭で紹介した軍への抗議は、1941年(昭和16年)の事件です。

美術誌「みずゑ」の昭和16年1月号に掲載された座談会記事『国防国家と美術』で、出席していた軍人達は、画家は国家のために絵を描くべきだという暴論を展開します。

他の画家たちが沈黙を続けるなか、竣介は4月号の同誌に『生きてゐる画家』という一文を発表。画家は「作者の腹の底まで染みこんだもの」しか描くことはできないと主張しました。

竣介は当局から目をつけられ、暫くは内偵がついていたといいます。


《立てる像》

そして、この《立てる像》は、騒動の翌年にあたる1942年に描かれた作品です。

大地を踏みしめて立つ姿は『生きてゐる画家』の竣介の発言と結びつけられ、反戦思想の現れとして解説されることが多い作品ですが、一方でイデオロギーとは切り離された解釈もあり、現在でも様々な議論を呼んでいます。

あらためてじっくり見てみると、綿密に描きこまれながらも、どこか存在感が希薄なような印象も。ただこれは、竣介が若くして亡くなったことを、こちらが意識しすぎているからかもしれません。


会場「1:前期」

短い画家人生ながらも、日本美術界に鮮烈な足跡を残した松本竣介。岩手県立美術館から巡回してきた本展は、この後は宮城県美術館(2012年8月4日~9月17日)、島根県立美術館(9月29日~11月11日)、世田谷美術館(11月23日~2013年1月14日)に巡回します。(取材:2012年6月13日)

松本 竣介 線と言葉

コロナ・ブックス編集部 (編集)

平凡社
¥ 1,680

会場
会期
2012年6月9日(土)~7月22日(日)
会期終了
開館時間
9:30~17:00(入館は16:30まで)
休館日
月曜日(ただし、7月16日は開館)
住所
神奈川県三浦郡葉山町一色2208-1
電話 046-875-2800
公式サイト http://www.moma.pref.kanagawa.jp
料金
一般 1000円(団体900円)
20歳未満・学生 850円(団体750円)
65歳以上 500円
高校生 100円
※団体料金は20名様以上から適用されます。
※中学生以下、障害者手帳をお持ちの方は無料です。
※詳細はホームーページをご覧下さい。
展覧会詳細 生誕100年 松本竣介展 詳細情報
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