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レポート
光琳を慕う ― 中村芳中
千葉市美術館 | 千葉県
大坂発の「ぽってり」琳派
ぽってりとした微笑ましい作品を数多く残した江戸時代後期の絵師、中村芳中(なかむらほうちゅう)。芳中を大きく取り上げた展覧会は、関東圏では初めてです。
中村芳中『光琳画譜』 左から「乾七 仔犬」「抻二 鶏頭と朝顔」
(右から)尾形光琳《三十六歌仙絵 小大君像》 / 尾形光琳《大黒図》 / 尾形乾山《色絵槍梅図茶碗》 / 尾形乾山《吉野山図》
中村芳中《扇面画帖》 左下から「白梅」「紅梅」
(左から)中村芳中《白梅図》 / 中村芳中《白梅小禽図屏風》
(右手前から)中村芳中《鶏頭図》 / 中村芳中《菊図》 / 中村芳中《鶏頭に朝顔図》 / 中村芳中《朝顔図》
(右から)中村芳中《鹿図》 / 中村芳中《燕図扇面》 / 中村芳中《鳩図》 / 中村芳中《鶏図》
中村芳中《許由巣父・蝦蟇鉄拐図屏風》
(左上から)中村芳中他『芝翫賞賛帖』 / 中村芳中他『諸家画帖』
ミュージアムショップ
江戸時代の琳派といえば、近年高い人気を誇っているのは酒井抱一。芳中は抱一とほぼ同時期に大坂(今の大阪)で琳派風の作品を描いていましたが、残念ながら知名度では劣っているかもしれません。

芳中を取り上げた展覧会も、京都の細見美術館で2003年に開かれた事はありますが、関東圏では初めて。会場の千葉市美術館では、尾形光琳から芳中に至る琳派の画家や、当時の大坂画壇の作品もあわせて紹介していきます。


会場入口から。第1章は「芳中が慕った光琳」

京都で生まれ、大坂で活躍した芳中ですが、生まれた年も含めてその来歴ははっきりしません。南画風の山水画や指頭画(しとうが:筆ではなく指や爪などを使って描いた絵画)を描いていましたが、尾形光琳の画に傾倒。"たらし込み"を駆使した、琳派風の作品を手掛けるようになりました。

その作品は、穏やかでほんわかした趣き。団子のような白梅、口が半開きで喋りだしそうな鳥など、ユーモラスで温かい表現です。


中村芳中《白梅小禽図屏風》 / 中村芳中《白梅図》

《許由巣父・蝦蟇鉄拐図屏風》は、現在知られる芳中の作品で最大のものです。人物の描写は、曽我蕭白を思わせるアクの強さ。人の着衣、牛・蝦蟇(がま)の体などは、得意の"たらし込み"です。

乾かないうちに他の色を垂らし、にじみの効果を生かす"たらし込み"。琳派の絵師が数多く用いた技法ですが、芳中は特にこの技法を好みました。中には"たらし込み"が目的になっているような作品もあります。


中村芳中《許由巣父・蝦蟇鉄拐図屏風》

芳中の作品で特に人気が高いのが、『光琳画譜』に収められている仔犬。ミュージアムショップにも、この仔犬をモチーフにしたグッズが、数多く並んでいます。

"光琳"と名がつく光琳画譜ですが、中身はすべて芳中の作品です。芳中はこの版本で、自らが琳派に連なる画家である事をアピールしたのかもしれません。

また、芳中は俳諧にも親しんでいました。会場には絵入りの俳書や、俳人の句が載った刷り物類も展示されています。


第4章「芳中と版本」

会期中には大幅な展示替えが行われる本展(前期4/8~4/20、後期4/22~5/11)。展覧会チケット(有料)半券を提示すると、会期中2回目以降の観覧料が半額になるリピーター割引も実施中です。

琳派では傍流のような位置づけの芳中ですが、大らかで味があるその絵は、もっと注目されてもいいはず。本展は巡回しますが、関東では千葉市美術館のみです。

巡回展は2014年5月24日(土)~6月29日(日)に細見美術館、2014年9月26日(金)~11月3日(月・祝)に岡山県立美術館です。

[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2014年4月10日 ]

光琳を慕う中村芳中

 

芸艸堂
¥ 2,700

 
会場
会期
2014年4月8日(火)~5月11日(日)
会期終了
開館時間
午前10時-午後6時 (入場は午後5時30分まで)
金曜日・土曜日は午後8時まで (入場は午後7時30分まで)
休館日
4月21日(月)、5月7日(水)
住所
千葉県千葉市中央区中央3-10-8
電話 043-221-2311
公式サイト http://www.ccma-net.jp/
料金
一般 1000円(800円)/大学生 700円(560円)/小・中学生、高校生無料
※( )内は前売券、団体20名様以上、および市内在住65歳以上の料金
※障害者手帳をお持ちの方とその介護者1名は無料
☆リピーター割引 本展チケット(有料)半券のご提示で、会期中2回目以降の観覧料が半額になります。
展覧会詳細 光琳を慕う―中村芳中 詳細情報
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