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レポート
一休 ─ とんち小僧の正体 ─
五島美術館 | 東京都
「狂雲集」を著した、前代未聞の破戒僧
「好き好き好き好き、好きっ好きっ」で始まるテーマソングが印象的な、テレビアニメの一休さん。その実像は、室町時代の禅僧、一休宗純(1394~1481)です。“とんち”こそ使いませんが、およそ仏門の枠には収まらない破天荒な人物でした。
自賛《一休宗純像(朱太刀像)》室町時代 酬恩庵蔵 / 重要文化財 自賛《一休宗純像(半跏像)》室町時代 真珠庵蔵 / 重要文化財 自賛《一休宗純像(半跏像)》室町時代 酬恩庵蔵
南江宗沅賛・伝 曽我蛇足画《一休宗純像(円僧・朱太刀像)》1506(永正3)年 真珠庵蔵 / 岐翁紹偵賛《一休宗純像(半身像)》1506(永正3)年 真珠庵蔵 / 重要文化財 張応麒賛《一休宗純像(半身像)》室町時代 真珠庵蔵
重要文化財《七仏通戒偈》室町時代 真珠庵蔵
《譲羽尸陀寺屋敷売券》1482(文明14)年 真珠庵蔵 / 《尸陀寺絵図》江戸時代 真珠庵蔵
伝 小松天皇下賜・一休宗純所用《石硯》室町時代 酬恩庵蔵 / 伝 一休宗純所用《朱漆塗印箱》室町時代 酬恩庵蔵
《一休ばなし》1668(寛文8)年刊
月岡芳年《一休地獄太夫之話》1886(明治19)年刊 / 歌川豊国《一休禅師遊君地獄》1854(安政元)年刊
伝 一休宗純所用《団扇》室町時代 酬恩庵蔵
大川屋書店《一休諸国物語》1904(明治37)年刊 / 金桜堂《一休和尚》1898(明治31)年刊 / 駸々堂《一休禅師》1896(明治29)年刊
2つの展示室で開催中の本展。展示室Ⅰでは一休の実像を、展示室Ⅱでは死後広まった一休像を紹介します。

京で生まれた一休、後小松天皇の落胤とも言われています。詩才に長けた人ですが、奇行もしばしば。木剣の柄を叩いて堺を闊歩したのは「人を切る事ができない木刀=兄弟子による偽りの教え」という痛烈な皮肉で、長い朱太刀とともに描かれた「朱太刀像」の肖像画も残ります。

戦乱が続く洛中を避けて各地を転々とし、70を過ぎてから出会った盲目の女性「森女」を寵愛。その行動はおよそ仏門には相応しくありませんが、戒律を逸する事で悟りの境地を現す「風狂」の体現者とも言われます。

展示されている資料では、著作「狂雲集」が強烈です。兄弟子や為政者の批判も去ることながら、性描写があまりにも…。「吸美人婬水」(美人の淫水を吸う)、「美人陰有水仙花香」(美人の陰に水仙の花香有り)と、漢字の文面を追うのが恥ずかしくなる程です。

他にも展示室Ⅰには、一休の肖像や書(一休は能筆で知られます)、さらに一休が使ったと伝わる道具も並びます。


展示室Ⅰ

展示室Ⅱの前にも、一休所用と伝わる道具が。《青磁鉢》と《石硯》は後小松天皇から下賜されたと伝わるので、あるいは「父から子への贈り物」なのかもしれません。

奇行の破戒僧だった一休が「とんち小僧」になったきっかけと言えるのが、一休が亡くなって約200年後の江戸時代に刊行された「一休ばなし」です。変わり者だった一休の言動を仕立て直し、創作も交えて独立した話を寄せ集めた「狂歌話集」といえるもの。現在でも伝わる「このはしわたるべからず」はこの書に記されています。

この創作はヒットし、後を受けた「一休もの」が次々に誕生。芝居や浮世絵の題材にもなる事で、一休の受容は急速に広がっていきました。

明治維新の後も一休の人気は続き、書籍のほかに講談や新聞小説の題材にも。戦後は1975年から放映されたテレビアニメ「一休さん」が大ヒット。その人気は隣国にも飛び火し、台湾ではアニメの話を絵本にした出版もされました。


展示室Ⅱ

創作が多い一休の話ですが、例えば美しい遊女・地獄太夫を弟子にした話などは、前述の森女との関連から生まれたと考えられるなど、実像とリンクしたストーリーも見受けられます。

愛され続ける「破戒の僧」。実像も創作もあわせてお楽しみいただける、楽しい企画展です。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2015年10月23日 ]



■五島美術館 一休 に関するツイート


 
会場
会期
2015年10月24日(土)~12月6日(日)
会期終了
開館時間
10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日
毎月曜日(11月23日は開館)、11月24日[火]
住所
東京都世田谷区上野毛3-9-25
電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
03-5777-8600(ハローダイヤル)
公式サイト http://www.gotoh-museum.or.jp/
料金
一般1200円/高・大学生900円/中学生以下無料
展覧会詳細 一休 ─とんち小僧の正体─ 詳細情報
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