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レポート
志村ふくみ ─ 母衣(ぼろ)への回帰 ─
京都国立近代美術館 | 京都府
60年の創作を総覧
草木から抽出した自然染料で糸を染める「草木染め」の第一人者、志村ふくみ(1924-)さん。同じ植物で染めても、いつも同じ色になるとは限らないという奥深い世界で、60年にわたり創作を続けています。活動初期の作品から新作まで一堂にした展覧会が、京都国立近代美術館から始まりました。
(左から)《三部作 蘆刈》2015年 / 《三部作 雪炎》2015年 / 《三部作 青湖》2015年
《母衣曼荼羅》2016年
色とりどりの作品が並ぶ
《光の徑》2014年
《小裂帖(夏)》2012年
《雛形(模様)》2006年
(左から)《フローラ》2014年 / 《風露》2000年 / 《流砂》2008年
会場後半は、新しい作品から古い作品の順で展示されている
(左から)《秋霞》1959年 / 富本憲吉《色絵金彩羊歯模様大飾壺》1960年 / 《鳰の湖》1959年
国内外から高い評価を受けている志村さん。1990年に紬織の重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定、1993年に文化功労者、2014年に京都賞と、華々しく活躍しています。本展は、文化勲章受章(2015年)の記念展として開催されています。

会場冒頭にある《母衣曼荼羅》は、母の小野豊が残した糸で作った新作です。「母衣(ぼろ)への回帰」という展覧会名は、この作品から名づけられました。

続く右手には、志村さんが大切にしている「藍」「白」「黄金」を基調にした三部作の着物。こちらも2015年と新しい作品です。

1983年には大佛次郎賞を受賞するなど、文筆にも才能を発揮する志村さん。会場各所にある解説は、志村さんによる直筆です。


会場冒頭は《母衣曼荼羅》から

白橡(しろつるばみ)、青藍(せいらん)など、日本の色の名が付いた無地の着物が並ぶコーナーは、志村さんの真骨頂。志村さんは自らの創作について「大切な命をいただいて作っている」という意識を持っており、その作品には生命や自然への感謝の念が深く込められています。

奥に進むと、43色の糸を使ったインスタレーション《光の徑》。織機にピンと張られた経糸の美しさに想を得た作品で、美しいグラデーションが展示室に映えます。


無地の着物の先には、インスタレーション作品《光の徑》

会場後半は、志村さんの創作の軌跡を現在から過去に遡る流れです。

滋賀県近江八幡に生まれた志村さん。民藝運動の柳宗悦から織物への道を勧められ、母・小野豊の指導の元で創作を開始。母が以前用いた糸を染め直して作った作品で第四回日本伝統工芸展に入選し、頭角を現しました。

志村さんの創作を振り返ると、母・小野豊をはじめ、黒田辰秋や富本憲吉などの工芸家など、大きな転機となった人物が何人かあげられます。京都国立近代美術館初代館長で、気鋭の美術評論家だった今泉篤男もそのひとり。工芸における近代について教示を受け、大きな影響を受けました。

その縁もあって「京都国立近代美術館での志村ふくみ展」は何度も検討されましたが、周辺他館での開催が相次いだ事もあり、なかなか実現に至りませんでした。本展の開催で、ようやく悲願が実現した事になります。


現在から過去に遡ります

京都での展覧会の後は、志村さん自身が多くの影響と教えを受けたという沖縄で開催(沖縄県立博物館・美術館:2016年4月12日~5月29日)。その後、東京に巡回します(世田谷美術館:2016年9月10日~11月6日)。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2016年2月5日 ]

つむぎおり 志村ふくみつむぎおり 志村ふくみ

志村ふくみ (著)

求龍堂
¥ 38,800

料金一般当日:900円
 → チケットのお求めはお出かけ前にicon


■京都国立近代美術館 志村ふくみ に関するツイート



※会期中一部展示替えがあります
 
会場
会期
2016年2月2日(火)~3月21日(月)
会期終了
開館時間
9:30~17:00、金曜・土曜日は~20:00

※入館は閉館30分前まで
※開館時間、休館日は臨時に変更する場合があります
休館日
毎週月曜日 ※ただし、3月21日(月・祝)は開館
住所
京都府京都市左京区岡崎円勝寺町
電話 075-761-4111
公式サイト http://www.momak.go.jp/Japanese/exhibitionArchive/2015/411.html
料金
一般 900(600)円/大学生 500(250)円
※高校生・18歳未満は無料
※()内は20名以上の団体料金
※心身に障がいのある方と付添者1名は無料。
 (入館の際に証明できるものをご提示ください)
※本料金でコレクション展もご覧いただけます。
展覧会詳細 志村ふくみ ―母衣(ぼろ)への回帰― 詳細情報
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