本年、没後35年を迎える洋画家鴨居玲の回顧展です。1985(昭和60)年9月に57歳で急逝、その後5年ごとに開催されてきた巡回展も今回で7回目を迎えます。その他にも亡くなって間もないころから、追悼個展や回顧展が全国各地で開かれています。没後もこれほど永く人々に愛され、新たなファンを獲得し続ける画家は希有でしょう。
鴨居玲は、新聞記者である父が金沢に赴任してきた1928(昭和3)年、金沢に生を受けました。その後を京城(ソウル)、大阪と転居し金沢へ戻ります。そして金沢美術工芸専門学校(現金沢美術工芸大学)の一期生として卒業するまで青春時代を、当地で暮らしました。
常に「人間とは何か」を問い、自らの内面をえぐるように見つめつづけた鴨居玲。その軌跡を見つめ直す機会になれば幸いです。