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    レポート
    とある美術館の夏休み
    千葉市美術館 | 千葉県
    日常とは違う特別な経験をする夏休み。では、美術館にとっての夏休みは?
    現代美術家の新作と古美術作品、アート作品とプロダクト。異例のコラボ
    表現者14組が参加、目の肥えた現代アートファンも喜んでいただける展覧会

    旅行やお墓参りなど、いつもとは少し違う経験をする夏休み。「美術館の夏休み」も、いつもの美術館は少し違う雰囲気です。

    現代美術家の表現と古美術作品、アートとプロダクトなど、普段は一緒に展示されることが少ない作品がコラボレーションする、ユニークな展覧会が千葉市美術館で開催中です。



    千葉市美術館「とある美術館の夏休み」会場入口


    展覧会は3章構成。1章「美術館をときほぐす」では、中﨑透、ミヤケマイ、清水裕貴、津田道子の作品を展示。普段注目される「作品」以外で、あまり意識されない側面から美術館を見つめ直します。

    中﨑透は、開館当初から千葉市美術館に関わっているベテラン学芸員2名にインタビュー。学芸員の言葉と所蔵作品、中﨑の作品で、展示空間を構成しています。

    学芸員による開館に至るまでのプロセスの説明と、現在アートシーンについての考え方は、つい読みふけってしまいます。やや裏話的なコメントもあり、ちょっとドキドキします。



    中﨑透


    津田道子は、恩地孝四郎の版画作品を使ったインスタレーションです。恩地の《白亜(蘇州所見)》は白い壁に囲まれた空間の作品ですが、津田は作品をバラバラのパーツにしたかと思えば、正面のモニターには《白亜》そっくりの風景が。千葉市美術館の中に《白亜》そっくりの場所を見つけて、動画として上映しています。

    さらに奥には、恩地の《空旅抒情》をテーマにしたインスタレーションもあります。



    津田道子


    2章「作品と出会い直す」は、目[mé]、小川信治の作品。千葉市美術館が所蔵している現代美術家の作品について、その作家があらためて自分の作品と出会い直し、新たなインスタレーションとして構成します。

    架空の初期ルネサンス風肖像画である、ポルティナーリ家のマリアとマルゲリータは、小川信治の作品です。肖像画は背景の左右が繋がっており、顔の部分で切断しても、背景の風景が成立する円環の世界になっています。謎を孕んだ空間表現は、小川が得意とするところです。



    小川信治


    3章「日常で表現する」は、華雪、きぐう編集室、山野英之、井口直人×岩沢兄弟、Mitosaya薬草園蒸留所、井上尚子、文化屋雑貨店。奥のエリアは(new) service(西舘朋央+Rondade)が手がけました。さまざまな時代において、作家たちは日常と地続きで表現活動を行います。それらの表現が「作品」になり、美術館に蓄積されていきます。

    井上尚子は、所蔵作品から食物の五味である甘・酸・辛・苦・鹹(しおからい)をテーマに掛け軸を選び、各作品から想起される匂いを、ガラスの瓶に入れました。

    ガラス瓶は、ダクトをイメージさせる緑色の什器に入っており、鑑賞者は蓋を取って匂いを嗅ぐことができます。



    井上尚子


    会場最後は、圧倒的な物量の文化屋雑貨店。役者絵や美人画、動物など、「顔力」があるさまざまな江戸時代のモチーフを、ユニークな雑貨にしました。

    ミュージアムショップでも文化屋雑貨店の商品を販売しています。



    文化屋雑貨店


    ポップなメインビジュアルのイメージから、いわゆる「夏休みの子ども向け」を意識した展覧会かと思っていると、良い意味で予想を裏切られます。

    目の肥えた現代アートファンも喜んでいただける、重量感あふれる展覧会です。

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2022年7月19日 ]

    ミヤケマイ
    清水裕貴
    目[mé]
    華雪
    きぐう編集室
    山野英之
    井口直人×岩沢兄弟
    Mitosaya薬草園蒸留所
    会場
    千葉市美術館
    会期
    2022年7月16日(土)〜9月4日(日)
    会期終了
    開館時間
    午前10時-午後6時 (入場は午後5時30分まで)
    金曜日・土曜日は午後8時まで
    休館日
    7月25日(月)、8月1日(月)、8月15日(月)
    住所
    〒260-0013 千葉県千葉市中央区中央3-10-8
    電話 043-221-2311
    料金
    一般1,200円(960円) 大学生700円(560円) 小・中学生、高校生無料

    ※( )内は前売券、および市内在住65歳以上の料金
    ※障害者手帳をお持ちの方とその介護者1名は無料

    ◎ナイトミュージアム割引:金・土曜日の18:00以降は観覧料半額。
    ◎本展チケットで5階常設展示室「千葉市美術館コレクション選」もご覧いただけます。
    ※割引の併用はできません
    展覧会詳細 とある美術館の夏休み 詳細情報
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