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レポート
全面開館した皇居三の丸尚蔵館で出会う「皇室の至宝」(レポート)
皇居三の丸尚蔵館 | 東京都
皇居三の丸尚蔵館全面開館、皇室ゆかりの名品を集めた特別展で新たな出発
皇居内で初公開となる正倉院宝物、螺鈿紫檀琵琶など古代の華麗な美を紹介
若冲の鳳凰から明治工芸の傑作へ、受け継がれてきた皇室の美の世界に迫る

皇居三の丸尚蔵館が、2026年11月3日(火・祝)にグランドオープン。2023年の一部開館を経て、展示室や収蔵庫などの整備が完了し、全面開館を迎えます。

こけら落としとなる特別展「皇室の至宝―美いづるところ」では、皇居三の丸尚蔵館の代表的な収蔵品に加え、正倉院宝物や法隆寺献納宝物など、皇室ゆかりの名品を紹介。前期・中期・後期を通して約190件が公開されます。

皇居三の丸尚蔵館「皇室の至宝―美いづるところ」会場入口
皇居三の丸尚蔵館「皇室の至宝―美いづるところ」会場入口

展示は第1会場「日本美術の精華」から。歴代の天皇をはじめとする皇室は、学問や文化芸術と深く関わり、さまざまな文物を集めてきました。

皇居三の丸尚蔵館にも、皇室の日々の活動や生活を伝える幅広い作品が収蔵されています。平安時代から江戸時代にかけての名品を通して、多彩な宮廷文化と日本美術の歩みを紹介します。

皇居三の丸尚蔵館「皇室の至宝―美いづるところ」 「日本美術の精華」展示風景
「日本美術の精華」展示風景

国宝《春日権現験記絵》は、鎌倉時代末期の公家・西園寺公衡が、藤原氏一門の繁栄を願って制作した絵巻。春日社にまつわる8~14世紀の霊験譚を描いています。

宮廷絵師の高階隆兼が、絵巻としては異例の絹地に鮮やかな色彩で物語を表現。明治時代前期に鷹司家から皇室へ献上された、日本の絵巻物を代表する名品です。

皇居三の丸尚蔵館「皇室の至宝―美いづるところ」 国宝《春日権現験記絵 巻五》高階隆兼筆 鎌倉時代・延慶2年(1309)頃
国宝《春日権現験記絵 巻五》高階隆兼筆 鎌倉時代・延慶2年(1309)頃

伊藤若冲の《旭日鳳凰図》は、宝暦5年(1755)に描かれた初期の大作。朝日とともに鳳凰が鳴き、竹の実だけを食べるという古代の伝承をもとに、華やかな鳳凰を描いています。

後の代表作《動植綵絵》を予感させる作品で、自らの絵画観を記した若冲の自賛も見られます。明治22年(1889)、僧侶の大谷光尊から皇室に献上されました。

皇居三の丸尚蔵館「皇室の至宝―美いづるところ」 伊藤若冲《旭日鳳凰図》江戸時代・宝暦5年(1755)
伊藤若冲《旭日鳳凰図》江戸時代・宝暦5年(1755)

第2会場は、前期限定の「正倉院宝物―古代の輝き」。奈良・東大寺の正倉院には、天平勝宝8歳(756)に光明皇后が献納した聖武天皇の遺愛品をはじめ、文書や楽器、調度品、仏具など約9,000点の宝物が伝わっています。

天皇親署の勅封による管理のもと、大切に守られてきた正倉院宝物。高度な工芸技術や国際性を伝える品々から、古代の文化交流の広がりがうかがえます。

皇居三の丸尚蔵館「皇室の至宝―美いづるところ」 「正倉院宝物―古代の輝き」展示風景
「正倉院宝物―古代の輝き」展示風景

《螺鈿紫檀琵琶》は、中国・唐時代または奈良時代の8世紀に制作された琵琶。『国家珍宝帳』に記された四絃琵琶と同じ形状で、長梨形の胴と後方に折れ曲がった頸が特徴です。

紫檀製の槽の背面には、ヤコウガイの螺鈿と玳瑁(タイマイ)を用いて、宝相華唐草や迦陵頻伽、鳥、雲などを表現。華やかな装飾から、古代の優れた工芸技術が伝わってきます。

皇居三の丸尚蔵館「皇室の至宝―美いづるところ」 《螺鈿紫檀琵琶》中国・唐時代または奈良時代(8世紀) 正倉院
《螺鈿紫檀琵琶》中国・唐時代または奈良時代(8世紀) 正倉院

第3会場の「明治―帝室技芸員の誕生」も、前期限定の展示です。明治時代には、展覧会への行幸や作品の御買上など、皇室による美術振興の取り組みが進められました。

明治23年(1890)には、優れた美術家や工芸家を保護・奨励する「帝室技芸員」制度が創設。作品を通して、近代日本美術の発展に皇室が果たした役割をたどります。

皇居三の丸尚蔵館「皇室の至宝―美いづるところ」 「明治―帝室技芸員の誕生」展示風景
「明治―帝室技芸員の誕生」展示風景

重要文化財《菊蒔絵螺鈿書棚》は、明治天皇の御料として、構想から完成まで11年をかけて制作された明治工芸の傑作。六角紫水が図案を手がけ、川之邊一朝が蒔絵、海野勝珉が金具を担当しました。

菊の花の間で遊ぶ小鳥を、金の高蒔絵と多数の螺鈿で華やかに表現。棚の表裏や細い柱、厨子の内部まで文様が途切れることなく続き、当時の職人たちの卓越した技術を伝えています。

皇居三の丸尚蔵館「皇室の至宝―美いづるところ」 重要文化財《菊蒔絵螺鈿書棚》六角紫水(図案)、川之邊一朝(蒔絵)、海野勝珉(金具) 明治36年(1903)
重要文化財《菊蒔絵螺鈿書棚》六角紫水(図案)、川之邊一朝(蒔絵)、海野勝珉(金具) 明治36年(1903)

旭玉山による《官女置物》は、明治34年(1901)に制作された牙彫作品。十二単をまとった女性が、右手に檜扇、左手に鏡を持ち、そっと鏡を覗き込む姿を表しています。

2本の大きな象牙から部品を彫り出し、組み上げた精巧な作品。旭玉山は髑髏の彫刻でも知られる名工で、本作には髑髏と対比させ、命の儚さを表現する意図もあったといわれています。

皇居三の丸尚蔵館「皇室の至宝―美いづるところ」 旭玉山《官女置物》明治34年(1901)
旭玉山《官女置物》明治34年(1901)

古代の正倉院宝物から、江戸時代の絵画、近代の美術工芸まで。皇室のもとで大切に守り伝えられてきた品々から、日本の文化形成に皇室が果たしてきた役割が見えてきます。

本展は前期・中期・後期の3期で構成され、各期ですべての作品が入れ替わります。目当ての作品がある方は、公式サイトの出品リストで展示期間を確認してから訪れるのがおすすめです。

全面開館を迎えた皇居三の丸尚蔵館で、長い歴史を通して受け継がれてきた皇室の美の世界に触れられる展覧会です。

[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2026年11月2日 ]

《日月山水図屏風》室町時代(16世紀) 東京国立博物館
海北友松《浜松図屏風》江戸時代、慶長10年(1605)
会場
皇居三の丸尚蔵館
会期
2026年11月3日(Tu)〜2027年1月24日(Su)
開催まであと1日
開館時間
午前9時30分~午後5時  
(入館は午後4時30分まで)
毎週金曜・土曜は夜間開館。午後8時まで開館。
(入館は午後7時30分まで)
休館日
月曜日   (ただし、令和8年(2026)11月23日、令和9年(2027)1月11日を除く)、 および、令和8年(2026)11月24日、11月25日、12月22日、12月28日~12月31日、令和9年(2027)1月1日~1月3日、1月12日
住所
〒100-0001 東京都千代田区千代田1-8 皇居東御苑内
電話 050-5541-8600(ハローダイヤル)
050-5541-8600(ハローダイヤル)
公式サイト https://shozokan.nich.go.jp/feature/grand-opening/beauty/
料金
一般2,500円
本展は日時指定制です。会場での当日券販売はございません。
無料入場対象の方(一部の方を除く)も事前予約が必要です。
※小中高大生および満23歳未満の方は無料。
展覧会詳細 皇室の至宝—美いづるところ 詳細情報
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