読者
    レポート
    国立新美術館「オルセー美術館特別企画 ピエール・ボナール展」
    国立新美術館 | 東京都

    国立新美術館「オルセー美術館特別企画 ピエール・ボナール展」

    文 [エリアレポーター]松田佳子 / 2018年9月25日
    「日本かぶれのナビ」と呼ばれたピエール・ボナールは、19世紀末から20世紀前半に活躍したナビ派の画家です。ナビ派の特徴ともいえる平面的・装飾的な画面に加えて、ボナールは日本美術の影響を強く受けているといわれます。

    この展覧会の冒頭に出てくる細長い画面は、掛け軸を思わせますし、華奢な全身像の女性たちは、美人画のようにも見え、「日本かぶれのナビ」を感じることができます。


    庭の女性たち 左から《白い水玉模様を着た女性》《猫と座る女性》《ショルダー・ケープを着た女性》《格子柄の服を着た女性》
    こちらの4枚のパネルでは、女性たちの色とりどりのドレスの柄や、背景の植物を装飾化しているところが印象的でした。


    左からポスター《百人展》《版画とポスター》《創作版画展》
    ボナールは、ポスターや書籍・楽譜の挿絵も手がけました。当時のパリの風俗や柔らかなタッチで描かれた動物たちは、温かみがありなんとも愛らしいものです。


    左から《浴盤にしゃがむ裸婦》《浴室の裸婦》
    今回の展覧会では、「近代の水の精(ナイアス)たち」という章を設け、多数の浴槽の裸婦たちが展示されています。

    裸婦の連作はボナールの特徴の一つでもあります。
    それらは神経症の治療のため入浴が欠かせなかった妻マルトを描いたと言われていますが、マルトとの結婚後自殺したルネという女性の影響もあるとも言われています。

    浴槽の女性たちの肌はいずれも滑らかで柔らかい室内の光の中で輝いています。


    左から《猫と女性 あるいは 餌をねだる猫》《食卓の母と二人の子ども》
    ボナールは家庭という身近な場面を描いていることから「親密派」とも呼ばれています。
    今回もボナールの家族や飼われていた猫たちが登場する食卓の場面がありました。

    ぼんやりと見える画面は「ふいに部屋に入った時一度に見えるもの」を描きたかったからだというボナールの言葉が残されています。

    私はその画面に幸せな光景の中に潜む不安な空気を感じます。それは、20世紀初頭の不安定な社会情勢が絵の中に溶け込んでいるのかもしれません。


    左から《にぎやかな風景》《地中海の庭》
    展覧会終盤では、自然あふれるノルマンディー地方や南フランスなどの風景画が並びます。
    青い空や豊かな木々の茂みは見ていてくつろいだ気持ちにさせられるものでした。
    室内画のイメージが強かったボナールの違った一面も感じることができました。



    ボナールの絵に登場した動物たちのオリジナルグッズも可愛かったです。
    また絵の中の白猫ちゃんを演じた神田沙也加さんの音声ガイドもおすすめです。

    近年注目度急上昇のナビ派の代表的な画家であるボナール。芸術の秋に足を運んでみてはいかがでしょうか。

    会場国立新美術館 企画展示室 1E
    開催期間2018年9月26日(水)~2018年12月17日(月)
    休館日火曜日
    開館時間10:00~18:00、金・土曜日は20:00まで(入場は閉館の30分前まで)
    所在地東京都港区六本木 7-22-2
    03-5777-8600(ハローダイヤル)
    HP : http://bonnard2018.exhn.jp
    料金一般 1,600円、大学生 1,200円、高校生 800円、中学生以下 無料
    展覧会詳細へ 「オルセー美術館特別企画 ピエール・ボナール展」 詳細情報
    エリアレポーターのご紹介
    松田佳子 松田佳子
    湘南在住の社会人です。子供の頃から亡き父のお供をして出かけた美術館は、私にとって日常のストレスをリセットしてくれる大切な場所です。展覧会を楽しくお伝えできたらと思います。

    エリアレポーター募集中!
    あなたの目線でミュージアムや展覧会をレポートしてみませんか?
    会場
    国立新美術館
    会期
    2018年9月26日(水)〜12月17日(月)
    会期終了
    開館時間
    <企画展>
    10:00~18:00
    ※当面の間、夜間開館は行いません。
    ※入場は閉館の30分前まで
    <公募展>
    10:00~18:00
    ※美術団体によって、異なる場合があります。
    ※入場は閉館の30分前まで
    休館日
    火曜日
    住所
    〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2
    電話 050-5541-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://bonnard2018.exhn.jp
    料金
    一般 1,600(1,400)円 / 大学生 1,200(1,000)円 / 高校生 800(600)円

    ※( )内は前売券および20名以上の団体料金
    ※中学生以下は無料
    ※団体券は国立新美術館でのみ販売(団体料金の適用は20名以上)
    ※障がい者手帳をご持参の方(付き添いの方1名を含む)は無料
    ※11月14日(水)~11月26日(月)は高校生無料観覧日(学生証の提示が必要)
    ※前売券販売期間:2018年7月4日(水)~9月25日(火)各プレイガイドで販売
    展覧会詳細 国立新美術館「オルセー美術館特別企画 ピエール・ボナール展」 詳細情報
    おすすめレポート
    学芸員募集
    (公財)サントリー芸術財団 サントリー美術館 職員(運営担当)募集 [サントリー美術館]
    東京都
    読売新聞東京本社事業局 中途採用者募集! [読売新聞東京本社(大手町)]
    東京都
    笠間日動美術館 学芸員募集中! [笠間日動美術館]
    茨城県
    さいたま市職員採用選考【学芸員(考古)】 [さいたま市教育委員会等]
    埼玉県
    人と防災未来センター 震災資料専門員(会計年度雇用職員)の募集 [人と防災未来センター 資料室]
    兵庫県
    展覧会ランキング
    1
    東京ドームシティ Gallery AaMo(ギャラリー アーモ) | 東京都
    逆境回顧録 大カイジ展
    もうすぐ終了[あと11日]
    2024年3月16日(土)〜5月12日(日)
    2
    大阪中之島美術館 | 大阪府
    没後50年 福田平八郎展
    もうすぐ終了[あと5日]
    2024年3月9日(土)〜5月6日(月)
    3
    東京オペラシティ アートギャラリー | 東京都
    宇野亞喜良展 AQUIRAX UNO
    開催中[あと46日]
    2024年4月11日(木)〜6月16日(日)
    4
    SOMPO美術館 | 東京都
    北欧の神秘 ― ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画
    開催中[あと39日]
    2024年3月23日(土)〜6月9日(日)
    5
    国立西洋美術館 | 東京都
    モネ 睡蓮のとき
    開催まであと157日
    2024年10月5日(土)〜2025年2月11日(火)