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    瀬戸内国際芸術祭2022(レポート その4 高松港周辺・沙弥島)
    岡山県 | 岡山県

    今日は高松港周辺と、春会期のみの開催となる沙弥島。島とはいえ、沙弥島は地続きなのでJRで移動します。

    高松港周辺にも作品がいくつかあり、港にそびえ立つ2本の柱《Liminal Air -core-》もそのひとつです。カラフルな柱は一部が鏡面になっていて、周囲の情景が映し出されます。



    tk01《Liminal Air -core-》大巻伸嗣 [通期展示]


    高松港のそば、ことでん高松築港駅の前にあるのは、地元産の石などを用いたジュリアン・オピーの作品。道ゆく人と一緒に歩くように並びます。

    高松には、少し離れた屋島と竜王山にも作品があります。



    tk03《「銀行家、看護師、探偵、弁護士」》ジュリアン・オピー(イギリス) [通期展示]


    高松駅から坂出駅までは快速で約15分。坂出駅からはバス移動です。

    砂と映像、増減する水を用いたインスタレーション作品は《幻海をのぞく》。気候変動や埋め立てなどで変化を続ける瀬戸内海の風景を表現しています。



    sm11《幻海をのぞく》南条嘉毅 [春のみ、新作]


    カラフルなベンチの彫刻作品は《八人九脚》。実際に椅子として使うことが可能で、腰掛けると目の前にあるのが瀬戸大橋です。

    瀬戸大橋は3つのルートがある本四連絡橋の中で一番早く、1988年(昭和63年)に全線開通。この橋で初めて四国と本州が陸路で結ばれました。



    sm10《八人九脚》藤本修三 [春のみ]


    瀬戸大橋をのぞむ旧沙弥小・中学校全体を使った大規模なインスタレーションは《月への道》です。

    作品は月をモチーフにした映像、写真、オブジェなど。真っ暗な教室を月面に見立てるなど、詩的なアプローチは印象に残りました。



    sm12《月への道》レオニート・チシコフ(ロシア) [春のみ、新作]


    sm12《月への道》レオニート・チシコフ(ロシア) [春のみ、新作]


    作家のレオニート・チシコフは、現代ロシア美術を代表するアーティスト。今年のいちはらアート×ミックス(千葉県)にも、多くの作品が出展されていました。

    このインスタレーション作品は、与島へと続きます。



    sm12《月への道》レオニート・チシコフ(ロシア) [春のみ、新作]


    sm12《月への道》レオニート・チシコフ(ロシア) [春のみ、新作]


    瀬戸大橋記念公園内には、東山魁夷せとうち美術館もあります。魁夷の祖父が坂出市櫃石島の出身です。

    美術館の建築設計は谷口吉生です。ちなみに瀬戸大橋のライトグレー色は、東山魁夷による提案です。



    東山魁夷せとうち美術館


    美術館で春の特別展を鑑賞した後、館内のカフェでひと休み。ここでも窓から瀬戸内海と瀬戸大橋が一望できます。

    美術館の開館を記念して生まれたお菓子が「銘菓あまも」。上用饅頭に青海苔を練り込み、塩餡を包んだ美味しいお菓子です。



    「銘菓あまも」(150円)


    沙弥島から坂出駅に戻った後、ふたたびバスで与島・鍋島灯台へ。

    灯台へと至る最後のバス停には、月へと旅立つ宇宙飛行士のオブジェがありました。



    sm12-I《月への道》レオニート・チシコフ(ロシア) [春のみ、新作]


    作品の最後は、与島の南端で明治初期以来150年にわたって航海の難所を照らしてきた鍋島灯台。

    旅の終点となる灯台の内部には、100万個の星をもつ宇宙の立方体のインスタレーションが展示されています。



    鍋島灯台


    sm12-I《月への道》レオニート・チシコフ(ロシア) [春のみ、新作]


    ここまで来たらぜひ訪れて欲しいのが、隣の丸亀市にある、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(略称:MIMOCA)。

    坂出駅から丸亀駅まで2駅。南口を出たら嫌でも目に入るほどの巨大な建物は、谷口吉生による設計です。



    丸亀市猪熊弦一郎現代美術館


    猪熊弦一郎から作品の寄贈を受けて開館したMIMOCA。猪熊はMIMOCAが新しいものを積極的に紹介する「現代美術館」である事を強く希望したそうです。

    建物は天井が高く、自然光をふんだんに取り込んだ開放的な空間です。猪熊の作品を常設展で紹介するとともに、現代美術を中心とした企画展を開催しています。



    丸亀市猪熊弦一郎現代美術館


    ご紹介した行程は、一部、日程が前後していますが、ほぼこのスケジュールで進みました。

    定休日がある館もあり、直島、東山魁夷せとうち美術館、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館は月曜休館。豊島、犬島、高松港周辺(四国村ミウゼアム)は火曜休館。その他についても、公式サイトで必ず確認してからお出かけください。

    あっという間の4日間。大満足の瀬戸芸でした。



    高松空港



    【タイムスケジュール】
     (高松に宿泊) 高松港周辺の作品を鑑賞 ※全ての作品は鑑賞していません
     07:55~08:26 高松~坂出 JR予讃線
     08:40~09:10 坂出~与島(浦城) バス
     09:15~10:30 sm12-I《月への道》レオニート・チシコフ を鑑賞 バス停と灯台の2カ所
     10:35~11:05 与島(浦城)~坂出 バス移動の後、坂出で昼食
     12:35~12:55 坂出~沙弥島 バス
     13:00~15:15 沙弥島の作品、東山魁夷せとうち美術館 鑑賞[徒歩]
     15:30~15:50 沙弥島~坂出 バス
     16:00~16:08 坂出~丸亀 JR予讃線
     16:15~17:30 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 鑑賞
     17:45~18:21 丸亀~高松


    [ 取材・撮影・文:M.F. / 2022年4月22日~25日 ]


     → 瀬戸内国際芸術祭 2022(レポート その1)

     → 瀬戸内国際芸術祭 2022(レポート その2)

     → 瀬戸内国際芸術祭 2022(レポート その3)

     → 瀬戸内国際芸術祭 2022(レポート その4)


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    会場
    直島 / 豊島 / 女木島 / 男木島 / 小豆島 / 大島 / 犬島 / 沙弥島[春のみ] / 本島[秋のみ] / 高見島[秋のみ] /粟島[秋のみ] / 伊吹島[秋のみ] /
    高松港・宇野港周辺 / 広域・回遊
    会期
    2022年8月5日(金)〜11月6日(日)
    会期終了
    住所
    岡山県
    公式サイト https://setouchi-artfest.jp/
    展覧会詳細 瀬戸内国際芸術祭2022(レポート その4 高松港周辺・沙弥島) 詳細情報
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    「兵馬俑と古代中国」は京都からスタート。大阪の藤田美術館はリニューアルオープン。大分県立美術館では「コシノジュンコ 原点から現点」展。「瀬戸内国際芸術祭2022」「越後妻有 大地の芸術祭 2022」も始まります。
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