寒さが深まり、静かに内省する冬。美術館の澄んだ空気の中で、芸術と向き合うひとときは格別です。心温まる名作から、研ぎ澄まされた現代表現まで、感性を豊かに満たす珠玉の展覧会10選をご紹介。全国版はこちらです。
モネ、風景の核心に迫る
オルセー美術館から、クロード・モネの作品40点以上が一挙来日。当初2020年に開催を予定をしていた展覧会が、ついに実現となります。アーティゾン美術館をはじめとする国内の美術館や個人所蔵の作品を加えた、約140点を通して、風景画家としてのモネの魅力に迫る「クロード・モネ -風景への問いかけ」は2026年2月7日から。

アーティゾン美術館「クロード・モネ -風景への問いかけ」
天才建築家ガウディの世界を、時を超えて体感 [PR]
サグラダ・ファミリアを築いたスペインの天才建築家、アントニ・ガウディ。「没後100年公式事業 NAKED meets ガウディ展」では、彼の思想と革新性を光・映像・音を融合させた体験型アートで巡ります。手記やスケッチなどの世界初公開資料も展示し、学術と体験が融合した新たな視点からガウディの精神世界に迫ります。寺田倉庫G1ビルにて。

寺田倉庫G1ビル「ガウディ没後100年公式事業 NAKED meets ガウディ展」
北欧の自然や人々に光をあてて
東京都美術館「スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき」では、19~20世紀のスウェーデン絵画を、スウェーデン国立美術館の協力により紹介します。フランスでレアリスムを学んだ画家たちは、帰国後、自然や人々、日常の光景を“スウェーデンらしい表現”として描き出しました。北欧の光と、暮らしに寄り添う温かなまなざしを感じられる展覧会です。

東京都美術館「スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき」
清親から新版画へ、光と影の継承
三菱一号館美術館では2026年2月から「トワイライト、新版画」を開催。小林清親が黄昏や灯りの表情を描いた「光線画」から、吉田博・川瀬巴水へと続く風景版画の展開を紹介。スミソニアン国立アジア美術館のロバート・O・ミュラー・コレクションを通して、日本の風景版画が見いだした“新しい光”を辿ります。

三菱一号館美術館「トワイライト、新版画―小林清親から川瀬巴水まで」
小出楢重、色彩のモダン
府中市美術館では、大正から昭和初期に独自の油絵表現を追究した洋画家・小出楢重(1887–1931)の回顧展を開催。軽妙なデフォルメと艶やかな色彩で静物画や裸婦像に新たな魅力をもたらした楢重の仕事を、日本画・ガラス絵・装幀、随筆や研究所での活動とともに紹介し、そのモダンな芸術の全貌に迫ります。「小出楢重 新しき油絵」は12月20日から。

府中市美術館「小出楢重 新しき油絵」
仏像は何と戦い、何を護るのか
目を見開き武装する仏像の多様な姿を紹介するのは、静嘉堂文庫美術館「たたかう仏像」。浄瑠璃寺旧蔵の十二神将立像をはじめ、彫刻や絵画を通して、仏像が何と戦い、何を護っているのかを探ります。また、神将像の鎧のルーツである唐時代の神将俑も丸の内で初公開されます。

静嘉堂文庫美術館「たたかう仏像」
現代アートの“いま”を知る、8度目のクロッシング
森美術館が3年に一度、日本の現代アートシーンを総覧するシリーズ展「六本木クロッシング2025」が今年も開催。国内外で活躍する21組のアーティストが「時間」をテーマに、絵画、映像、陶芸、刺繍、ZINE、コミュニティプロジェクトなど多彩な表現を展開。儚くも貴い時間の交差を通して、現代アートの現在地を体感できる展覧会です。

森美術館「六本木クロッシング2025展:時間は過ぎ去る わたしたちは永遠」
日本が描いたユートピア
パナソニック汐留美術館20世紀日本の美術、工芸、建築にみる「美しいユートピア」を紹介します。暮らしをめぐる課題と理想を追求した運動や共同体の試みを通して、当時の理想の世界を振り返り、未来のユートピアを考える手がかりを探ります。

パナソニック汐留美術館「美しいユートピア 理想の地を夢みた近代日本の群像」
英国90s、アートの熱狂を体感
国立新美術館「テート美術館 ― YBA & BEYOND 世界を変えた90s英国アート」では、1990年代の英国美術を中心に、世界に衝撃を与えた約60名の作家・約100作品を紹介。ダミアン・ハーストやジュリアン・オピーらの絵画、彫刻、写真、映像、インスタレーションを通して、サッチャー政権後の英国社会と個人的・社会的テーマに挑んだ実験的創造の軌跡をたどります。

国立新美術館「テート美術館 ― YBA & BEYOND 世界を変えた90s英国アート」
歴史を塗り替える女性たち
東京国立近代美術館「アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦」では、1950~60年代の日本の女性美術家14名の挑戦を紹介。草間彌生や田中敦子らの作品を通して、近現代美術史をジェンダーの視点から再解釈します。

東京国立近代美術館「アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦」