年末年始の華やぎが交差する冬。忙しい日常から離れ、美術館で特別な時間を過ごしませんか。荘厳な歴史的作品から心躍る現代アートまで、凍てつく季節に情熱を注ぎ込んだ、珠玉の展覧会10選をご紹介します。東京版はこちらです。
芸術から広告まで、シュルレアリスムの軌跡
大阪中之島美術館で12月13日から開催されるのは「拡大するシュルレアリスム」。シュルレアリスムが芸術のみならず広告やファッション、インテリアなど日常にまで拡大した軌跡を紹介します。絵画や彫刻、デザインなど多様なジャンルの優品を通して、夢と無意識に基づく創造が社会全体に与えた影響と本質に迫ります。

大阪中之島美術館「拡大するシュルレアリスム 視覚芸術から広告、ファッション、インテリアへ」
家族が残したゴッホの夢
愛知県美術館「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」では、フィンセント・ファン・ゴッホとその家族が守り続けてきた作品群を紹介します。弟テオや妻ヨー、甥フィンセント・ウィレムによるコレクションの保管と財団設立の歩みを通して、画家の夢が100年を超えて今日まで受け継がれ、後世へ伝えられる過程をたどります。

愛知県美術館「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」
戦後京都で生まれた、日本画の反骨精神
京都市京セラ美術館では「これが日本画?!」と思わず呟いてしまう展覧会「日本画アヴァンギャルド KYOTO 1948-1970」を開催。戦後京都で生まれた前衛的な日本画の創造運動を総覧します。伝統を問い直し革新を模索した若手画家たちの軌跡を紹介し、現代につながる日本画の新たな系譜を紐解きます。

京都市京セラ美術館「日本画アヴァンギャルド KYOTO 1948-1970」
古代エジプト、三千年の謎をたどる
福岡市美術館「ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト」では、彫刻、棺、宝飾品、土器、パピルス、ミイラなど約150点を通して、古代エジプトの高度な文化と人々の営みを紹介します。最新研究や映像も交え、河江肖剰氏の案内のもと、三千年の謎をひも解き、知られざる事実や死生観、建築技術まで体感できる展覧会です。

福岡市美術館「ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト」
箱根から広がる、想像の旅
ポーラ美術館「SPRING わきあがる鼓動」では、春の芽吹きのようにわきあがる生命や創造の力をテーマに、絵画、彫刻、工芸、インスタレーション作品を紹介。見どころは、大巻伸嗣によるインスタレーションや、現代美術家・杉本博司や陶芸家・小川待子による新作。箱根の風土と記憶を出発点に、過去から未来へとつながる想像の旅を誘います。

ポーラ美術館「SPRING わきあがる鼓動」
蝋燭と月に宿る、髙島野十郎の筆致
没後50年をむかえた、洋画家・髙島野十郎の過去最大規模の回顧展が豊田市美術館に巡回。「蝋燭」や「月」など独自の主題を写実的に描いた作品を通して、観る者の心を静かに震わせる野十郎の芸術観と理想、信念に忠実に生きた画家の軌跡を紐解きます。「没後50年 髙島野十郎展」は2026年1月6日から。
平戸藩主親子の個性と想いに迫る
九州国立博物館「平戸モノ語り―松浦静山と熈の情熱―」では、江戸時代の平戸藩主・松浦家の親子、静山と熈に焦点をあてます。静山の収集品や熈が伝えた品々を通して、二人の個性や情熱、そして「モノ」に込められた想いを感じ取ることができる展覧会です。

九州国立博物館「平戸モノ語り―松浦静山と熈の情熱―」
アートでつなぐ、日本と韓国
横浜美術館「いつもとなりにいるから 日本と韓国、アートの80年」では、日韓両国のアートを通して互いの歴史や関係性をあらためて見つめ直します。映画や音楽など身近な文化から、政治や歴史の背景に至るまで、アートを入口に両国の交流や刺激を感じ取り、未来に向けて共に生きるヒントを探る展覧会です。

横浜美術館「いつもとなりにいるから 日本と韓国、アートの80年」
飯川雄大による感覚の冒険の場
水戸芸術館では、現代美術作家・飯川雄大の包括的な展覧会を開催します。時間や知覚の揺らぎに着目し、日常の風景や物事を観察する作品を展示。巨大オブジェやインスタレーションを通じて、鑑賞者の感覚や参加を促し、日常とは異なる光景や「遊び」の可能性を体験できる展覧会。「飯川雄大 大事なことは何かを見つけたとき」は2026年2月28日から。
奈良で花開いたモダンの足跡
奈良県立美術館「奈良のモダン ~美術をめぐる人々」では、近代奈良に足跡を残した美術家、研究者、文学者、美術行政家らの活動を紹介します。明治以降、奈良の歴史や文化が再評価され、多くの文化人が集い交流する中で育まれた美術文化の息吹を、二章構成で概観。独自の文化が花開いた近代奈良の一面を見つめます。