このたび大阪浮世絵美術館では、企画展「巨匠の愛した北斎、広重」と題しまして、世界に衝撃を与えた葛飾北斎と歌川広重の作品をメインに、江戸・明治期に摺られたオリジナルの浮世絵版画を約60点展示いたします。
時は19世紀後半、ヨーロッパの芸術家たちはルネサンス以降、新しい時代をどう表現するか模索していました。そんな中、浮世絵の近景と遠景が極端な「大胆な構図」、背景・影・線などを「省略した美しさ」は、見たままを描く「写実性」が重要とされていたそれまでの常識を覆す全く新しい芸術…、まさに求めていたものでした!ゴッホやモネ、ドガやゴーギャンなど巨匠と呼ばれる名だたる芸術家たちが浮世絵を愛し、浮世絵から影響を受けたと言われています。
本企画展では、世界的に有名な冨嶽三十六景「神奈川沖浪裏」や絵手本として版行され海外にも渡った「北斎漫画」、ポスト印象派の画家ゴッホが模写したことで有名な名所江戸百景「亀戸梅屋舗」や「大はしあたけの夕立」など、北斎・広重の人気作品を一挙に展示。たいへん見ごたえのある展示となっています。
また、当館名物の関西ゆかりの浮世絵版画も多数展示。五雲亭貞秀が大阪全体を九枚続の大画面で描いた「大坂名所一覧」や長谷川小信が明治4年に開場した造幣局を描いた「浪花川崎鋳造場の風景」、歌川広重が四条河原や金閣寺など京都の名所を描いたシリーズ「京都名所之内」など、当時の美しい関西の風景が見て取れる浮世絵版画をご紹介いたします。
浮世絵師たちが趣向を凝らして描きあげ、 名も無き彫師・摺師が手がけ、世界の芸術家たちに愛された浮世絵版画を間近でじっくりとお楽しみください。